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【変神(ヘンシン)】で俺の考えた最強ヒロインをプロデュース!…したはずが、彼女たちの熾烈な争奪戦のターゲットになってました!?  作者: のびろう。
第3章 炎の変神(ヘンシン)!その名はセーラー・フレア

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叫べ、その名を!『変神』とは魂の爆発だ!

(アルトのために。お父さん、お母さんのために。この村のために…私が、ヒーローに…!)


リゼットの覚悟が、恐怖を塗りつぶす。

彼女は、アルトの魂の檄に応え、守りたいと願う心のすべてを、その喉に乗せた。


「変神っ!――プリズム・チェンジッ!!」


それは、ただの起動コマンドではなかった。

絶望の淵から這い上がろうとする少女の、世界に対する宣戦布告。魂そのものの爆発だった。


叫びと同時、彼女の腕にはめられた『プリズム・チャーム』が、心臓のように力強く脈動を始めた。刻まれた魔法陣が灼熱の光を放ち、ブレスレットから溢れ出したエネルギーがリゼットの全身を駆け巡る。熱い。だが不思議と、焼かれるような苦痛はない。むしろ、身体の奥底から力が湧き上がってくるような、心地よい高揚感があった。


光は、天を突く紅蓮の柱となって立ち上り、戦場の喧騒と魔獣の咆哮を刹那、完全に沈黙させた。

リゼットに襲い掛かっていた魔獣の爪は、彼女に届く寸前で光の奔流に触れ、一瞬にして蒸発霧散する。光は、変身という神聖な儀式を誰にも邪魔させないとでも言うように、彼女の周囲に絶対不可侵の光球領域を展開していた。


「おお…おおおっ…!」


その光景を目の当たりにしたアルトは、もはや科学者としての冷静さを保ってはいられなかった。彼は、幼い頃にテレビの前でヒーローの登場に胸を躍らせた、ただの少年に戻っていた。その瞳には、自らの夢が現実となる様を見届け、滂沱の涙が溢れていた。


(始まった…!僕の計算式と、彼女の勇気が奏でる奇跡のコンチェルト…!変身シークエンス、全フェーズ、グリーンライト!)


光の繭の中で、リゼットの身体がふわりと宙に浮く。

炎の奔流が、優雅なリボンとなって彼女の身体に絡みつき、着ていた村娘の衣服を光の粒子へと優しく分解していく。裸身となった彼女のシルエットを、誰の目にも触れさせぬよう、より一層眩い光が包み込む。

そして、創造が始まった。


無数の光の糸が、まるで意思を持つかのように集い、織り上げられていく。

まず、純白の生地が彼女の身体を覆い、セーラーカラーのトップスを形成する。次いで、胸元で深紅の光が弾け、炎のように揺らめくリボンを結んだ。腰には黄金のベルトが巻き付き、バックルが荘厳な輝きを放つ。そこから迸った火の粉が、幾重にも重なる深紅のプリーツスカートを編み上げていく。足元では、光が足首から駆け上がり、編み上げのショートブーツを実体化させた。

仕上げとばかりに、彼女の栗色のポニーテールが炎の色を吸い込み、燃え盛るようなスカーレットレッドへと染め上げられていく。その瞳に宿るのは、もはや恐怖の色ではない。すべてを焼き尽くさんばかりの、不屈の闘志の炎だった。


光が収束し、変身を終えた少女が、灼熱のオーラを孔雀の羽のように広げながら、静かに大地に着地する。

その一挙手一投足が、洗練された英雄のそれだった。


「――炎の魔法戦士。セーラー・フレア!」


凛とした声で、彼女は自らの名を高らかに告げた。

その完璧すぎる名乗りに、アルトは感動のあまり天を仰ぐ。

「素晴らしい…!ポージング、声の張り、タイミング…!僕の理想を寸分の狂いもなく体現している!僕のヒーローは、今、ここに、確かに生まれたんだ…!」


グルルル…!

創造の儀式が終わったことで、魔獣たちの恐怖も解けた。彼らは、目の前の小さな少女が、先程までとは比較にならぬほどの強大な魔力を放っていることに気づきながらも、その凶暴な本能のままに再び殺到する。

だが、セーラー・フレア――リゼットは、もう何も恐れなかった。


「もう二度と、この村を傷つけさせない!」


彼女の身体が、地を蹴る。それは、もはや人間の俊敏性ではなかった。炎の矢となって迸り、巨大なオークが棍棒を振り下ろすよりも速く、その懐へと潜り込んでいた。

彼女は、生まれ変わった力に戸惑うことなく、本能のままに華奢な拳を固く握りしめる。その拳に、周囲の熱が渦を巻いて収束していく。


「フレア・ナックル!」


爆ぜた。

少女の小さな拳から放たれたとは思えない炎の衝撃波が、オークの巨体を内側から破裂させる。断末魔の叫びを上げる間もなく、魔獣は黒い炭となって崩れ落ちた。

返す刀で、彼女は背後から迫る狼型の魔獣に向かって、流れるような回し蹴りを放つ。


「スパイラル・キック!」


足から放たれた炎の螺旋が、直線上にいた三体の魔獣をまとめて貫き、焼き尽くした。

舞うように敵の攻撃を避け、踊るように炎の連撃を叩き込む。その姿は、死と再生を司る、戦場の不死鳥。


数分後。

リゼットたちの周囲を囲んでいたはずの魔獣の群れは、その一体残らずが黒い塵となり、熱い風に吹かれて消えていく。

荒い息をつきながら、炎のオーラを静かに揺らめかせて立つ一人の少女。

絶望的なスタンピードの流れを、たった一人でこじ開けた、紅蓮の英雄がそこに立っていた。

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