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8 回想? そうかい……  (幕田卓馬)

第8走者;幕田卓馬


 面倒を叩き潰せる、理不尽なほどに圧倒的なパワーが欲しかった。


 迸る『マナ・パワー』の濁流に圧倒されながら、タクマは昔を思い出していた。


 十数年前。


 アカデミーの学生だったタクマには、想いをよせる女性がいた。

 暗い部屋の中、液晶のブルーライトで肌を焼き、CPUファンの風で涙を乾かす。そんな終わっている青春を送っていたタクマにとって、アカデミーで出会った彼女は、初めて差した青春の光であり――


 そして、影でもあった。


 彼女はA子といった。

 とても優しく、朗らかで、笑顔が可愛らしい女性だった。

 

 しかし、A子には思い人がいた。それは同じサークルのイケメン――B男。それだけなら俗にいう三角関係、若者らしい青春のトライアングルと言えただろう。

 

 だがB男は、A子など全く眼中になかった。彼は同じサークルのC子の事が好きだったからだ。

 

 そしてC子はバイト仲間のD男のことが好きであり、D男はA子の妹であるE子が好きだった。

 

 さらに、E子はB男の親友であるF男が好きで、F男はバイト先で知り合ったG子が好きだった。

 

 さらにさらに、G子が合コンで一目惚れしたのはH男はD男のルームメイトであり、H男は隣の部屋のI子をストーキングしていた。

 

 そして、I子は図書館でいつも同じ本を借りているタクマの事を『ヤなやつ!ヤなやつ!』と思いながらも、めちゃくちゃ気になっていた。


 タクマ周りの人間関係は、異常なまでに複雑化していた。誰かが一つ行動を起こせば、それは導火線のように炎を連鎖させ、やがて破滅の花火を打ち上げるだろう。


 だからタクマは、ただ流されるままに生きる事を選んだ。


 沈思黙考タイプと思われがちなタクマだったが、その実、自分の願望をうまく表現する事が出来ないだけだった。考えるふりをしながら、ただ周りの意思に流されているだけだった。


 もしあの頃、自分にあの複雑な関係性をぶち壊すだけの強いパワーがあれば、A子との明るい未来が開けていたのかもしれない。

 

 タクマは時折、そんな甘い妄想に耽る。

 

 ただ周りに流れるままに、ゆきずりの相手と関係を持ったり、なんとなく所属した政府組織でよくわからない宇宙船に乗せられたり、その結果、人類の存続にも関わる、あんな事やこんな事に巻き込まれたり……。

 こんな未来、本当は一度だって望んじゃいない。


 だからタクマは『マナ・パワー』に救いを求めた。


 今、この船のクルーたち、そしてAIのAJUや、今後登場するであろう新たな登場人物は、まるで『小説の伏線』のような複雑怪奇な鋼の糸で、がんじがらめにされているようだ。

 次々と発生する謎。

 様々な思惑、そして策略。


 そんなもの全て引きちぎってしまえ! とばかりに、タクマはマナを呼び起こしたのだった。


 しかし――


 本当に、これでよかったのだろうか?


 自分の思いとは別のところで、強大な神の力を振りかざそうとするマナ。

 そして物語は、さらなる深みへと滑り落ちていく。


 タクマは自分の物語を諦め、この物語の行く末について沈思黙考――という名の逃避に走るのだった。



きました!

26日、午前9時24分!

幕田卓馬 様 から原稿が届きました。

「仕事忙しくて26日に頑張るしかない」と言っていた幕田様。 早っ!!!Σ(°Д°;)

すごく幕田様らしい区間走です。


これでAjuのアンカー確定です。。。(・・;)


 以下は幕田卓馬 様 の後書きです。

   ー   ー   ー


 全く話が進まない、謎の過去回想です(*´Д`*)

 というわけでよろしくお願いします!(ぶん投げ)


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― 新着の感想 ―
ラスト3話を残しての幕田卓馬様がぶんなげたぁぁー!?∑(・□・;)<というか、マナ・パワーを更に引っ張ってるし!? ラスト手前|ω・)<きっとクレイジーエンジニア様が何とか・・(と思いつつ、ひどい方…
2回続いて話が動いていない、に笑いました笑。 しかし幕田さんらしさのあふれるパート。 リレー小説の難しさと面白さが詰まってますね……! みなさん本当にすごいです。 前回の唐突なまなパワーにも笑いました…
これは幕田卓馬選手。 トリッキーでありながら、この走者でなければ走れない、独特の走行と余韻を残しつつ、危なげなく区間を走り抜けました! 青春の苦さ、という味わい。 幕田卓馬の世界ですね♪ 沈思黙考タ…
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