7 マナ・パワー (しいな ここみ)
第7走者:しいな ここみ
我は目覚めた。
中途覚醒させられたのである。
我を目覚めさせたのは、タクマであった。
「マナ! 冷凍睡眠中に起こしてすまない! どうしてもおまえの神の力『マナ・パワー』が必要な事態が生じたんだ!」
如何にも。
私は神の力をもつ人間であり、反キリストの求道者である。性は『かぐつち』──漢字で表記するならば『軻遇突智』。この神の力を必要とするとはとはとは、何事が起きたというのだ?
ココミが説明した。
「よくわかんないけど大変なの!」
クレイが説明し直してくれた。
「俺たち、意識を操作されてるようなんだ」
なるほど──
敵──かどうかはわからないが、相手はどうやらサポートAIのAJUであるようである。サポートAIであった件の機械が意識を持ち、キュゥートな10歳位の容姿をもつ子を創り出し、夢見る機械と化し、何かを目論んでいる……ということであるのであるのか?
この船の目的は、宇宙に新天地を探し求め、運命背負い、遥か遠くへ旅立つ、そういうものであったはずだ。そして『必ず地球へ帰ってくる』などという星は、我らにはない。我らは我らの母星を、殺したのだ。おぉ……、楽園は何処にある!
その目的が書き換えられていたというのか? 笑わせる!
「マナ……。おまえは『世界の終わりから二番目を統べるもの』だ」
タクマが言った。
「AJUに勝てるとしたら、おまえしかいない! 力を貸してくれ! そして支配されている俺たちのアタマを正常に戻してくれ!」
我は、答えた。
「それは無理な話でおじゃる」
「は?」
「は……?」
「おじゃる?」
彼らはびっくりしたように我を見つめた。我はその視線を照れ臭く感じた。照れ隠しに空中に絵を描いた。女子高生のスカートの中へ入り込もうとする柴犬を、怒りのぱんつが撃退する、そんな絵をである。
確かに彼らの言う通り、我は神でおじゃる。
しかし、神だからといって、何でも出来るというものなのであろうか?
否!
ここに一遍のリレー小説がある。これを統べるのは、作者という名の神である。神には物語を好きに動かせる力があるというのか?
否! 百万遍否!
読者という存在が、それを許さぬのである!
「そういうのいいから」
ココミに言われた。
「四の五の言わずに力を貸して?」
仕方なし──
我が『マナ・パワー』を降り注がせる時は今であろう。
我は両手を掲げ、全力をそこに集中させたが、パワーがまだ足りない。ので、お願いした。
「パワーが足りない! みんなのパワーをオラにくれ!」
でかくなる──
元気ダ……否、マナ・パワーが、どんどんでっかくなる──
我は叫んだ。
「はあああああっ!」
そんな我を、ニコニコしながら見つめている女の存在に、気づいた。柱の陰から飛雄馬のお姉さんのように、しかし涙は流さずに、余裕の表情で、我を見守っている。あれが……AJUなのか……。
その瞬間、我は悟った、凍りつく背筋とともに──
勝てぬ!
あれには我は勝てぬ!
あれは世界の一番最後を統べるものなのだ! と。
しかし我は描いた!
渾身の力を以て、宇宙空間に巨大なる絵を描いた!
沿道からちいさな旗を振り、我らを応援してくれる、かわいいひとたちの絵を!
フレー、フレー
フレーメン現象
そうだ──
その時、我は悟った。
世界の最後を統べるのは、AJUだと決まってはいない!
一番遅刻しそうなひとが、この後に控えている! その者になら、勝てる気がする!
好きなようにはさせぬぞ、AJUめ!
「マナ・パワーーーっ!」
我の叫びが宇宙にこだました。
タカミツが、うろたえたような声で、呟いた。
「な……、なんだこれ……」
しいな ここみ選手。再び区間タイム新記録!
1時間30分! 自己ベストを大幅に更新してきました!!
(何度も言うけど、区間タイム賞はないからね)
しかし、Ajuからひと言。。
ストーリー(ト)を走れよ。ギャラリーの中(場外)を走るなって。。(^皿^;)
楽屋オチだけで話進んでないやん! 面白いけどね。。
(ちょっとは進んでるか。。。マナパワーって何だ?)
またまた新たな謎が‥‥。
さて!
あっという間にタスキは幕田さんに。。。
今回は情け容赦なく13時ジャストに公開します。締切は27日午後1時となります。
ぐあんばってね〜。(^o^)




