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調査によると・・・

「ホラ!これもう絶対そうでしょ!!」


 付箋の付いた葛根湯を鼻息荒く悪友達に差し出し大はしゃぎするのは、今年中間管理職に昇進した四十二歳の大の大人である。


「確かにね?!距離が近いとか笑顔で挨拶してくれるとかは新入社員だからで済ますことはできるわよ?!でもフツー上司としか思ってない女に葛根湯は渡さないでしょ?!」


 目をギラつかせその場で飛び上がりまくる麻里奈と、科捜研の如く葛根湯を隅から隅まで調べる四人。


「怪しい成分なんて出てこないわよ!奏士君のアタシに対する気持ち以外ね!!」

「確かに異物混入の形跡はないね~」

「飲みなさいよ、せっかく差し入れしてもらったんだから」

「もったいなくて飲めないわよ!」


 葛根湯を奪い返し両手で包みながら、ホレ見ろと言わんばかりに勝ち誇った顔で床の上で麻里奈は転がる。


「やっぱこれは脈アリじゃあ~~~ん!!!」

「あ~・・・まあ・・・脈ナシではないのかな・・・」

「ただの職場のオバさん以上には思って・・・る・・・?」


 さすがに葛根湯という証拠を前に、イマイチ歯切れが悪くなる四人を見て麻里奈は満足極まりないが、ここで梓が重要なポイントを指摘した。


「てか麻里奈ちゃんはその新卒ボーイのこと好きなの?」


 四人の視線が突き刺さる。


「そう、問題はそれだよ」

「麻里奈が新卒ボーイのこと好きじゃなければ今までの自慢もなんのイミもないからね?!」

「タダの若い子に好かれてる自慢だったら金輪際(こんりんざい)耳貸さないわよ」


 考えたこともなかったことだが、麻里奈もやや意地になり答える。


「そ・・・そりゃあ~・・・いいと思ってるから恥を忍んでみんなに言うんじゃなあ~い?好みだから気になるんだしー・・・」

「好きって言質(げんち)が取れてませんけど、姐さん」


 オス猫のアルマと一緒に麻里奈ににじり寄る雨季。


「そのボーイと手え繋ぎたいんだよねえ?ちゅーしたいんだよねえ??あわよくば全裸でぶつかり合いたいんだよねえ?!」

「ちょおっ・・・!生々しいこと口にしないでよ!!」

「好きってそういうコトだろうが!!」


 かつて何百人というダーリンがいた色狂いの麻里奈が、雨季の尋問にしどろもどろになる様子を他の三人は爆笑しながら眺める。


「いや~!麻里奈ちゃんが年下君に夢中になるなんてね!」

「いいじゃん~!頑張っちゃいなよ~!」


 手の平を返してワッショイワッショイと応援の姿勢に転ずる悪友達。


「それで?新卒ボーイのプロフィールは?」

「攻略するにはまず対象をよく理解しないとだかんね」

「え~・・・ゆうてもアタシもまだそこまで深くは知らないけどお~・・・」


 まんざらでもない表情の麻里奈はとりあえず把握している範囲の情報を伝えるが、大学は立教と言うと四人の顔色が変わる。


「・・・立教・・・?」

「え?なによ?」

「・・・MARCHか・・・」

「な、なによダメなの?!十分立派じゃない!!」

「いや、立派だろうけどさ・・・」


 眉間に皺を寄せながら渋い表情の四人は、麻里奈にある事実を突きつける。


「ウチら慶應だぜ・・・?」

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