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初めての依頼

今日は、『輝く希望』集合の日だ

前回は俺が一番遅かったからなぁ、今日は早めに出よう

宿屋を出て冒険者ギルドに着くと、待合室を覘いてみた

メンバーは誰もいない。よし。

アルトゥール!一番乗り!

待合室テーブルの椅子に腰かける。

取り合えず、ずっと思ってるのがナタリーとの顔合わせが

気まずくならないか?という事だ。

そうこう考えていると、三人連れ立って冒険者ギルドに入ってきた。

「おはようございますリーダー。」

「アルくんおっはよー!」

「おはようございますアルさん。」

「みんなおはよう、一週間はどうだったかな?スキル振りはできたかな?」

俺が聞くと、みんなバッチリとばかりに頷いた。

取り合えずナタリーは普通に接してくれてるようで安心した。

「じゃあ、今回は何か依頼を請けたいと思うけどみんなはどう?」

本当はまだレベル上げしたい所だけれど

無茶すると、またナタリーが怒られそうだしなぁ。

ついでに俺も怒られるだろう。それは避けたい。

「いいですね」「OK♪」「問題ありません」

それぞれ返事が返ってくる。全員一致だ。今回は依頼を請けよう。

「うん、では依頼掲示板に移動しよう。それぞれ目を通して

目ぼしいのがあったら、皆で相談して依頼を受けよう」

そう言い皆で掲示板へ移動。

俺は少し離れたところから掲示板付近を眺める。

三人それぞれが気になった依頼を見て決めよう。

必要に迫られなければ基本、俺は受け身なのだ。

何やら三人で話し合ったみたいで

掲示板から依頼を剥がして持ってきた。

えーっと、近郊の農村で、通常よりも巨大で凶暴なイノシシが畑を荒らし

村人にケガ人が出ている。村の生活と村人の安全を守るため

このイノシシの討伐を依頼したい。との事。

いくら巨大といっても所詮は獣のイノシシだ。巨人族より大きい事はないだろう

しかも人助けに繋がるなら『輝く希望』の評判も上がる。

報酬は銅貨180枚だからー、1人につき銅貨45枚の計算だ。悪くない。

「よし、これにしようか。」俺はそう言うと皆とギルド受付カウンターへ向かった。

受付嬢に依頼書を渡しサインする。

目的の村のマップを手渡される。東の方か。

ニュッとメディアが地図をのぞき込むように身を乗り出してきた。

「ここ、エルン村じゃん!」メディアが言うと。

2人は、あー!って顔をしている。皆知ってるらしい。

1時間ほど歩くと、集落が見えてきた。

集落へ入ると、ナタリーが「村長の家はこちらの方です。」と案内してくれた。

村長宅についた。コンコンコン!「冒険者ギルドから依頼を請けてきました。」

俺が声をかけるとガチャリと扉が開きガタイの良い男が出てきた。

「おっ!クリスティーナにメディアにナタリーじゃないか!

元気にしてたかー?」村長らしき男が言うと

「村長さんも元気そうですね。」「おじさんも元気そうじゃん!」

「ガレスさんお久しぶりです。」

みんな顔見知りなのか。

「うーん…言いにくいんだが君達で、巨大イノシシ倒せるのかね?」

疑問は至極当然だな。大の大人が怪我をして冒険者募ったら

子供が4人きました。って、そういうリアクションになるよなぁ。

「えー何言ってんのおじさん!冒険者カードのレベル見てよ!」不服そうにメディアが言う。

「おっレベル21か、なら何とかなるかもしれないな。」村長が言うと。

「先日巨人族のダンジョンで4m程の巨人を何体も討伐してきましたので

ご安心ください。」ナタリーが言う。

「なに!それは本当か!強くなったんだなぁ、それなら任せられるな。」

村長は納得したようで、客間に招き入れてくれた。

ここまで俺と村長の会話ゼロ。そんな事を思っていると。

クリスが気を使って俺を紹介してくれた。

「村長さん、こちら私たちのリーダーのアルトゥールさんです。勇者なんですよ。」

「おーこれは勇者様でしたか、色々と失礼な事を言いました。」

「いえいえ、私が村長さんの立場なら同じ感想を持っていたと思います。お気になさらず。」

俺が言うと。

「面目ない…。」村長は苦笑いしながら頭を掻いている。

なるほど、3人が懐いてるわけだ、根の良さそうな人だ。

「それでおじさん、でっかいイノシシいつ出るの?」メディアは言う。

「そうだった、巨大イノシシは1日に2回くらいは現れるから

ここで待機してもらっていいかな?

いつもイノシシが出たら、すぐに村人が報告に来るから倒して欲しい。」

村長が言うと。

「任されましたっ!」とメディアが返事をする。

君が返事をするのか…まぁいいけど。

俺たちは飲み物と茶請けを頂きながら村長の家で待った。

「デターーーー!!」外から村人の声がする。

俺たちは、外に出て声のする方へ駆けだす。

巨大イノシシがいた。

「こいつだな。みんな準備はいいか?」

「はい!」「いつでもいいよ!」「大丈夫です!」

返事が返ってきたところで俺は剣を抜き構える。

大きさは牛ぐらいだろうか、イノシシにしてはでかいが

エティンと比べると豆粒みたいなもんだ。それは言いすぎか。

背中の毛を逆立て、歯をガチガチと鳴らしながら

ブフォッブフォッと嘶き頭を上下に振り威嚇してくる。

イノシシ相手の定石は突進を躱し横から首を落とす。

こんなところだろうが後ろにPTメンバーがいるからな

真っ向勝負しかないだろう。直後巨大イノシシは突進してきた。

猪突猛進だな。ガキィン!!

巨大イノシシの牙に俺は剣で競り合う!

「グッ!」なかなか…どうして…突進力に踏ん張りが、じわじわ負ける

俺の靴は柔らかい土壌を削り後退の土跡を作り始める。

「烈火の如く!その四肢に剛力を!ストリグ!」クリスが唱える。

お!おぉ!フッと相手の力が軽くなる感触。

互いの力は均衡し、逆に少し押し返す。力の強化か!いいぞ!

「氷の精霊よ!ここに集いて氷槍と化せ!アイシクルスピア!ダブル!」

メディアが詠唱をすると巨大イノシシの上に二本の鋭く尖った氷の槍が出現し

詠唱終了と共にイノシシの体を貫通し尚地面に突き刺さる!

「ピギィー!!」イノシシは断末魔を上げる。今だ!

ザシュッ!巨大イノシシの突進力が消えたと同時に

俺は剣を振りかぶり頭を落とした。

俺は「やったぜ!」といい、後ろを振り返る。

「みんな!いい連携だった助かったよありがとう!」俺はサムズアップをする

そう言うと三人は、また喜びながらハイタッチしていた。

「いやー!凄いなー!お前さん達ー!!」

少し離れたところで見守っていた村長が俺たちに駆け寄ってきた。

「ありがとう!ありがとう!これで村人が怪我する事も無くなる!」

村長は俺を抱きしめてきた。あれ?それ俺の役目か?

「いえいえお役に立てて何よりです…また何か困りごとがあれば…

私達でよければ力になりますよ…」息苦しさを感じながら俺は村長に言うと。

「ちょっと待っててな、討伐完了の書類を書いてくる!」

そう言って家の方へ走っていった。村長の抱擁はタイトだった。

「皆、村長の知り合いだったんだね、驚いたよ。」そう言うと

結構三人でつるんで、その辺の村へ遊びにいっていたと話してくれた。

村長が急いで走ってくる。

「待たせたね!これ!」渡されたのは討伐依頼完了の報告文で

村長印が押印されていた。受け取ると一礼し村を出る。

「また何かあったら!頼むよー!元気でなー!」

村長は俺たちを見送りがてら手をぶんぶん振っている。

「村長さんもお元気で!」「おじさんも元気でねー!」「またお会いしましょー!」

三人とも振り返って村長に挨拶をしている。

「初依頼完了だね!みんなお疲れ様!」俺が言うと。

ナタリーは

「冒険者ギルドで依頼完了するまでが冒険です。」

と俺をたしなめた。先生か!

まぁでも、それもそうだ。俺は苦笑いした。

残り二人は笑ってる。

俺たちは冒険者ギルドへと戻り、村長の討伐完了証書を渡すと

「お疲れさまでした♪」受付嬢は言い、銅貨180枚を受け取った。

「さぁ山分けしようか。」俺は言い

ギルドの待合室のテーブルへ行き全員席に着いた。

「はい、じゃあ45枚ずつね。」そう言うと俺は4つに取り分ける。

一山ずつテーブルの上で分け三人に渡した。

「労働しましたって感じ!」「そうですね家のお手伝いとは気持ちも違いますね。」

「感慨深いです。」

三人三様の言い方ではあるが、思っている事は同じだな。

「さて!それじゃあ今度こそ皆お疲れ様!」俺が言うと

「お疲れさまでした!」三人は綺麗にハモった。

「次は二日後でいいかな?レベルも上がってないし特に考える事はー…ないよね?」

「わかりました。」「OKー♪」「了解しました。」三人の返事を聞き。

「では、本日は解散!明日はお休み明後日また会おう!」俺は宣言すると

皆バックパックに銅貨を入れて

それぞれの住処へと戻っていった。

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