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89. キナ臭い

 僕たちは王都から少し離れた草原にて、ピーチャンに発現した新スキルの検証(けんしょう)を行っていた。


 まず、『巨大化』これについてはさほど問題はなく、デカくなって飛び立つときだけ注意していれば それでいいだろう。


 試しに乗せてもらい、上から王都を一周してしてもらったが実に爽快(そうかい)な気分であった。


 気になっていた、風圧や気温の変化もシールドされた状態のようで飛行中の会話も難なくおこなえた。


 続いて、『空を飛ぶ』の検証を行ったのだが。


 スキルを発動させると転移のような感覚で使えるのだが、出てくる場所が必ず町門の前になるようだ。


 町門の前には常に衛兵が立っているわけで、突然(とつぜん)現れると大騒ぎになるのだ。


 ちなみに、検証で飛んだ先が『アストレアの町』だったので騒ぎにならず 事なきを得たのだが、スキル使用の際は光学迷彩(こうがくめいさい)併用(へいよう)することにしよう。


 後はシロにも手伝ってもらいながら、”ダンジョンからの地脈(ちみゃく)” が通っている町を登録していった。





     ▽





 そして、初冬の頃。カルロ子爵邸(ししゃくてい)披露(ひろう)パーティーがおこなわれた。


 まあ、パーティーといっても40人程。しかも、ほぼ顔見知りなので気楽なものである。


 冒頭で挨拶(あいさつ)をおこなった後はセーラとクロナをエスコートしつつ会場を回っている。


 「やぁカルロ卿、両手に花でいいね! 元気にやっているかい」


 「これはフランツ様、この度はお世話になりっぱなしで、いろいろとありがとうございました」


 「なーに言ってるのさ、キミのお陰で我々の同士は大助かりさ。みんな安心して森を行き来しているよ」


 「そうですか。それは力になれて良かったです。もし、龍が戻ってきたら言ってください、すぐおっぱらいますので」(笑)


 「そうだね、その時は頼むとしよう。それに、たまには(うち)にも遊びに来てよ」


 「はい、そのうちにお礼も()ねてお(うかが)いさせて頂きます」


 今回のパーティーに先立ち、王都のフランツ伯爵邸(はくしゃくてい)より4人のコックが駆けつけてくれたのだ。


 後は、アストレア本家の方からコックとメイドが多数派遣(はけん)されて来ている。


 こういう時こそ、貴族の(つな)がりが大切なものだと実感するのである。






 「あらカルロくん、久しぶり。最近はどう?」


 「これはロイド王太子妃殿下(おうたいしひでんか)、ご機嫌(きげん)(うるわ)しゅう」


 「ダメダメ、全然若い子の対応ではないわよ~。まっ、今更(いまさら)なんだけどね」


 「ハハハッ、そうですか? あれ、殿下は?」


 「あの人なら、ほらあそこ。話が長いから抜けてきたのよ」


 そして、ロイド様は少し周りを(うかが)い。だれも居ないことを確認すると、


 「それとねー カルロくん、ローザンの(うわさ)は聞いてる?」


 「えっ、ローザンですか? お隣の……。以前、『東の海』が荒れているとだけ」


 「ええ、そうなのよ。こちらも調査を開始したばかりだから何とも言えないのだけど、来年は大シケになるかもよぉ」


 「『東の海』が大シケですか? それは(おだ)やかではありませんね」


 「ああ、でも、今のことは調査中だから(しゃべ)っちゃダメよ。(くわ)しくは今度あった時にね」


 そう言い残して、ロイド様はアースレット王太子殿下の元へ戻っていかれた。






 そうか~、そんなキナ臭いことになっていたのか? すると、『東の海』が荒れている訳だから『海軍』ということか?


 と、すると「戦争」か? 何処(どこ)の国と?


 クルーガー王国(うち)でないなら、南の『アグタ共和国』か? 


 たしか、あそこには独裁(どくさい)を目指している「ルチー将軍」というヤツがいるとか。


 そのルチー将軍はものすごく頭が良くて、「キレッキレの禿瓢箪(はげひょうたん)」だと呼ばれているとか いないとか。流れ商人から噂を聞いたことがあったなぁ。


 でも、仕掛(しか)けるなら陸からだろう。陸続きなんだし海からでは非効率すぎる。


 「カルロ様、カルロ様! 如何(いかが)されたのです? ボーとして」


 話かけてきたのはセーラである。手に持ったお皿の上にはミニシュークリームが3コ乗っていた。


 「うんっ! セーラ、ごめんね。考え事をしていたから」


 いかんいかん。また、やってしまった。今はパーティー中だ! これに集中しなくては……。






 (やかた)の披露パーティーも何とか無事に乗り切ることができて、ほっと一安心……。


 と、思っていたのも束の間(つかのま)、学園が冬休みに突入したのである。


 そこで、今日はお城のセーラも(さそ)って ダンジョン・サラのリビング へ遊びに来たのだ。


 そう、例の「海の家」にだ。


 今回はしっかり水着を用意している。


 みんなの好みの色や柄などを聞き、身体に合わせてしっかり作らせてもらった。


 そして、その中でもひと際目立っているのがこの方、


 (うち)のママンこと エレノア母様なのである。――素晴らしい!


 ナイスプロポーションの上にあの超ド級の胸。ここが、あちらの世界であるのなら、浜辺(はまべ)視線(しせん)は皆ママンのものだよ。


 まあ、確かに温泉施設(おんせんしせつ)見慣(みな)れいるのだけれど、同じものであって同じではない……。


 つまり、そこに悲しい現実があるのですよ。4人も産んでいればね。


 しかし、装備(そうび)すれば別物に変わる訳ですよ、これが……。


 これは帰ったのち、「ブラジャー」の開発に着手(ちゃくしゅ)しなくては。


 ママンの胸はこのカルロがしっかり守ってあげるからね!


 と、人知れず謎の闘志(とうし)を燃やす親孝行(おやこうこう)なカルロであった。




ピーチャンの新スキルは凄い! だって空飛べれば山だろうと森だろうと、そして海だろうと ひとっ飛びですよ。そして、ミュウと並んで飛べるのですよ~。最高かよ! そしてカルロの母エレノア、あれから5年だから……。素晴らしい。さすが美の殿堂! ママンとみんなの胸のために頑張れカルロ。



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 作:マネキネコ
挿絵(By みてみん)
 作:みこと。さま FA頂きました‼ (リンク有)
挿絵(By みてみん)
 作:七海 糸 さま FA頂きました‼ (リンク有)
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