表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/137

83. 酒造り

 「ちょとそこのキミ、ガンツ見なかった? この ”(たる)” 頼んだのガンツだよね」


 「これはカルロ様、お疲れ様でございます。ガンツ様なら地下蒸留所(じょうりゅうしょ)の奥にいらっしゃいましたよ」


 「呼んで参りましょうか?」


 「いや、行かなくていい! 僕が直接いくよ。キミたちはこの樽を裏の第2倉庫に並べておいてよ」


 「はい、かしこまりました。直ちに」






 あの蒼龍(そうりゅう)スタンピード事件から2年が過ぎようとしていた。


 僕が今居るのは、ダンジョン・スパンク の上にある温泉施設(おんせんしせつ)。……その隣に併設(へいせつ)している蒸留所である。


 しかし、この上の建物は 資材や原料などを入れておく為の倉庫であり、肝心(かんじん)の蒸留所は地下の方に建設している。


 そこで造った、ウイスキーやブランデーなどは木樽に入れられ、地下において熟成保存(じゅくせいほぞん)されていくのだ。


 えっ、魔法省(まほうしょう)とかエルフさんはどうなったのか? 


 ……知らない、特に興味はない。


 依頼(いらい)であった 「ガルーダ大森林の調査」はスタンピードや蒼龍の件も含めて報告書をあげておいた。


 それだけだ……。


 あとの事は王国や王室の問題であり、僕にできることなど何もないのだから。


 ただ そのあと、大きな騒動(そうどう)や事件なども起こっていないので、穏便(おんびん)に話が進められているのではないかと思う。


 王室としても、あまり表沙汰(おもてざた)にはしたくないだろうしね。


 と、いう訳で今回僕は、「子爵(ししゃく)」へ陞爵(しょうしゃく)されることになった。スタンピードを納めた功績(こうせき)が認められたのだ。


 とはいえ、表向きは「騎士団による功績」として(たた)えられているようだが。






 え~と、ガンツのヤツは……おお、居た!


 「お~い、ガンツ!」


 ガンツはいくつも並んでいる蒸留器(じょうりゅうき)のひとつに梯子(はしご)を掛け、何かを調整しているみたいだ。


 「おう、なんだカルロか。なんぞ用事かのう」


 「今のは、何をしていたんだ?」


 「おお、こいつか! タンクの原液が減ってきたんでな、蒸気(じょうき)を少し(しぼ)ろうかと思ってのう」


 「なるほど、それは大事だな」


 「じゃなくて、表に「樽」が届いていたぞ。また、違う物を買ったのか?」


 「ハハハッ、家の ”せがれ” が良いものを見つけたと言うものでな」


 「まあ、ガンツが金を出しているのだから とやかくは言わないけど、本業の方は大丈夫なのか」


 「ハハハハハッ、ちゃんとやっとるわい。大丈夫じゃ」


 「ホントか? この前ジョルジュがこぼしていたぞ~」






 そして、僕は今年で15歳になり成人をむかえた。


 そう僕は「法衣子爵(ほういししゃく)」として、王都バースに屋敷を構えなくてはならないのだ。


 こっちの酒造りも気になる所であるが、そうも言ってられない。


 (やかた)の方は決まっていた事なので、以前からしっかりチェックしている。


 家人の方は、ロイド様を通じて「家宰(かさい)」に出来るような人材を探してもらっていた。


 「まかせてちょうだい」


 と、張り切っていたので問題はないだろう。


 この家宰さえ決まれば後は楽なのだ。すべて丸投げすればいいのだから。


 「お邸ができましたら、わたしもお掃除(そうじ)とか頑張ります!」


 クロナである。


 まだ、僕のメイドのつもりなのだろうか? そろそろ人を使う事も覚えてもらわないとな。


 そして、今は王都の学園に通っている。


 当初は行くの行かないので かなり()めたのだが、今はおとなしく学園の(りょう)に入っている。


 寮室はバッチリ改造しておいたので、快適に学園生活を送れているようである。


 「カルロ兄さま、エマの部屋は何処(どこ)になるのですか?」


 エマも来る気まんまんである。


 というか、エマはまもなく10歳になる。そう、今年学園に入学するのだ。






 酒のでき具合を見に行った帰り、僕はいつものように露天風呂に入っていた。


 シロはピーチャンとウォータースライダーに行ってしまったので、白狐(びゃっこ)のヤカンを撫でながら温泉を満喫(まんきつ)していた。


 すると、内湯のある建物の方から此方(こちら)に来ている人影が目に入った。


 「やあ、カルロ(きょう)。久しぶりだねぇ。隣に失礼するよ」


 「これはアースレット様、ロイド様お久しぶりです」


 ご存知、王太子、王太子妃のご夫婦である。温泉場では無礼講(ぶれいこう)ということになっているので、頭だけ下げて挨拶(あいさつ)しておく。


 「はぁ~、いい湯だね。ここに来るとなんだかホッとするよ」


 「そうですね。疲れを取るなら温泉が一番ですから」


 「それにしても、あの子は また大きくなったよね~」


 と、アースレット様が上を見ながら(つぶや)くように言った。


 そう、ミュウのことである。


 蒼龍の子であるミュウも、この2年で全長30mとなかなかの成長を見せている。


 「はあ、ミュウでしょう。もう少し大きくなったら乗れるようになるかもしれませんね」


 「(うち)のエマが楽しみにしているのですよ。この秋から学園に通うのですが、連れては行けないですよね」


 アースレット様は『何をあたり前なことを』という顔をして、コクコクと首を振るのであった。






 エマ・アストレア Lv.14


 年齢     9

 状態    通常

【従魔】  ミュウ(龍)

 HP    39/39

 MP    57/37+20

 筋力    29

 防御    25

 魔防    26

 敏捷    24

 器用    15

 知力    30


【スキル】   槍術 (2) 魔法適性(風) 魔力操作(6)


【魔法】    風魔法(5) 身体強化(3)


【称号】    邸のアイドル、ゴブリンキラー、シルフィード、


        龍友、盗菓、


【加護】    ユカリーナ・サーメクス






 ミュウ   Lv.5


 年齢    ー

【契約者】 エマ・アストレア

 HP   72/72

 MP   91/91

 筋力    60

 防御    53

 魔防    58

 敏捷    44

 器用    28

 知力    52


【特殊スキル】  状態異常耐性  感覚共有


【スキル】    鑑定 (4)  魔法適性(全)  魔力操作(6)


【魔法】     聖魔法(2)  炎魔法 (4)  結界魔法(3)


         身体強化(2)


【加護】     ユカリーナ・サーメクス




カルロもようやく成人です。自分たちで造ったお酒は また格別なのでしょうね。地下なら温度や湿度の調整も楽そうですが、どのみちダンジョンにお願いするのなら、何処に作っても一緒のような……。カルロも王都に邸を構えますし、エマは学園へ。カルロの生活は一変しますね。



ブックマーク、評価、感想、いいね! などいただきますと励みになります!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング
シロかわいい! と感じたら押してください。シロが喜びます。U•ɷ•)ฅ
アーガルム伯爵家 紋章
挿絵(By みてみん)
 作:マネキネコ
挿絵(By みてみん)
 作:みこと。さま FA頂きました‼ (リンク有)
挿絵(By みてみん)
 作:七海 糸 さま FA頂きました‼ (リンク有)
― 新着の感想 ―
[良い点] えーっ!?カルロくん、もう成人ですか!! ほかのみんなも大きくなって……(つД`)感動〜! ミュウちゃんも30mとはなかなかですね( *´艸`) 一度でいいので龍の背中に乗って空を飛んでみ…
2022/05/26 18:35 退会済み
管理
[良い点] カルロ君15歳……作中の時間経過は5年、でも「あれ?まだ87話!?」というくらいの濃さでビックリ(笑) これからも楽しく読ませて頂きます(≧▽≦) [気になる点] ミュウちゃん、デカっ!…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ