表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/137

63. 通常の3倍

 ガルーダ大森林。


 ガルーダ大森林は本大陸の東側に位置し、北から南へと続く大きな森林地帯である。その総面積はクルーガー王国の2/3に(あたい)するほど広大で、北端(ほくたん)は我がクルーガー王国と接触している。また、北部はローザン王国に、南部はサンタクレス大帝国に大きく接しており、周りにある5ヶ国にはおおきな影響(えいきょう)を及ぼしている。そして、森林の中には多くの(けもの)魔獣(まじゅう)が生息しており、時折出てくる魔獣の対応にどの国も苦慮(くりょ)しているという。


 僕らはモンソロからリマへと続く街道をゆっくり南下していた。


 「……森行く……」


 コリノさんである。まもなくリマの(とりで)が見えてくるから、さっさと森林に入ろうということらしい。


 「了解です。シロはピーチャンと先行、続いてコリノさん道案内をお願いします」


 「……了……」


 コリノさんは短く了承(りょうしょう)の意を伝えてくる。――ギャル語ではない。


 森林に突入すると、樹木(じゅもく)といろいろな草で鬱蒼(うっそう)としている。


 そこを草の少ない獣道(けものみち)を見分けながら進んでいくのだ。


 それに、いつ接敵してもおかしくない状況の中での偵察行動(ていさつこうどう)。普通の冒険者では すぐに疲弊(ひへい)してしまうだろう。


 しかし、僕らはその森林の中を ”通常の3倍の速度” で移動しているのだ。


 (せま)い獣道の中を僕らは1列になり進んで行く。


 隊列はピーチャンを頭にドッキングさせたシロが先頭。


 続いては案内役のコリノさん。そして、クロナが僕の前を行っており、殿(しんがり)白狐(びゃっこ)のヤカンが(つと)めている。






 ここで、お稲荷様(おいなりさま)であった白狐の野干ヤカンについても触れておこう。


 ヤカンは(よわい)1500年の ”もののけ狐” である。

 守っていた ”伏見(ふしみ)のお山” が開かれた(ゆえ) めでたくお役御免(おやくごめん)とあいなった。

 そんな折に、カルロの前身であるゲンと出会い 従魔(じゅうま)として迎えられたのである。



 ヤカン  Lv.18


 年齢    ー

【契約者】 カルロ・アストレア

 HP   163/163

 MP   296/296

 筋力    116

 防御    108

 魔防    160

 敏捷    152

 器用    72

 知力    112


【特殊スキル】  状態異常耐性  感覚共有


【スキル】    鑑定 (6)  魔法適性(全)  魔力操作(8)


【魔法】     聖魔法(6)  炎魔法 (5)   氷魔法 (5)


         水魔法(3)  結界魔法(5)   身体強化(4)


【加護】     ユカリーナ・サーメクス



 お稲荷様として()の力はそれなりであった。


 そこに、女神さまに加護を(さず)かったお陰で とんでもなく強くなった。


 体の強靭(きょうじん)さに加え多彩(たさい)な魔法。そして、心ねの優しさからも『聖獣』と呼んでも差し支えないものと思っている。






 そんな陣形で鬱蒼としたガルーダ大森林の中を突き進んでいるのだが、シロが闇雲(やみくも)にガンガンやっている訳ではない。


 目の前の突き出た枝や雑草などは、ピーチャンのウインドカッターにより排除(はいじょ)されていく。


 もちろん、シロにもこの魔法は使えるのであるが……。


 シロがやると、極力抑(きょくりょくおさ)えた魔力で使用しても、スッキリさわやか何もない空間が広がってしまうのだ。


 これでは、逆に目立ってしまい調査どころではなくなるだろう。


 その点ピーチャンは、体が小さいのでウインドカッターの範囲(はんい)も狭く、実にいい塩梅(あんばい)になるのだ。


 それに、ドッキング状態のピーチャンは魔力切れの心配もないからね。


 途中でおやつ休憩をはさみながら、この日は日没(にちぼつ)までがんばって行動した。


 そして僕らは、浜辺(はまべ)にある ”海の家” にて休息(きゅうそく)し 食事の準備などをおこなっている。


 ふぇっ?


 ――いい反応である。


 何を隠そう、ここは ダンジョン・サラ 内部にある ”ダンジョン・リビング” なのだ。


 シロは転移が使えるのだから、休むときには当然 安全な場所へ移動する。


 あんな鬱蒼としたジャングルで一夜を明かす気など毛頭(もうとう)ない。


 それに疲れた時は ”甘いもの” に限るよね。


 そこで、一番近くにある ダンジョン・サラ へ寄ったというわけだ。






 シロとヤカンは砂浜を駆け回り、クロナは波打ち際でおっかなびっくり 波を相手に行ったり来たりしている。


 クロナのかっこは|全裸ではなく、貫頭衣(かんとうい)を一枚かぶせている。ここは温泉施設(おんせんしせつ)ではないのだ。


 ピーチャンは上空でピーヒャラ鳴きながら気持ち良さげに飛びまわっている。ここにはモンスターも出ないので気楽なものだ。


 コリノさんは海の家にある丸テーブルに座り込み、サラの特製 ”チョコレートパフェ” を堪能(たんのう)している。


 そして僕は、炭火(すみび)をおこした網の上でトウモロコシを転がし焼いている。


 夕食は、こっちの鉄板で ”焼きそば” といきたいところなんだが、目の前の海は 本物の海ではないので魚介類(ぎょかいるい)が手に入らない。


 ――仕方がない。


 肉と野菜は豊富(ほうふ)にあるので、今日は ”お好み焼き” をつくろう。


 夕食の後は備え付け(そなえつけ)の ”ジャグジーバス” に入り、身も心もリフレッシュ! 睡眠(すいみん)も確りとって次の日に備えた。






 そして次の日。


 この日も目的地に向けどんどん進んでいく。


 ん、魔獣? 


 前から来るヤツは、ピーチャンのウインドカッターで草や枝と一緒に刈り取ってしまう。


 横から不意に襲われても結界に(はば)まれ、あとは各個撃破(かっこげきは)していくだけなので(まった)く問題ない。


 そうして、今日もサクサク森の中を進んでいると、


 「……もうすぐ……」


 と、夕刻近くになってコリノさんからお知らせがあった。


 そうか、もう着いたのかぁ。


 しかし、まもなく夜になる。


 僕らは明日の朝コミュニティを訪ねることにして、再び ダンジョン・サラ へ転移して戻った。




ガルーダ大森林に入りましたが、入っただけの外縁部です。そして奥に行くほど森も深くなり、出る魔獣も大きく強くなる傾向にあるようです。今回訪ねるエルフのコミュニティも外縁部沿いの比較的浅い所になります。



ブックマーク、評価、感想、いいね!、などいただきますと励みになります!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング
シロかわいい! と感じたら押してください。シロが喜びます。U•ɷ•)ฅ
アーガルム伯爵家 紋章
挿絵(By みてみん)
 作:マネキネコ
挿絵(By みてみん)
 作:みこと。さま FA頂きました‼ (リンク有)
挿絵(By みてみん)
 作:七海 糸 さま FA頂きました‼ (リンク有)
― 新着の感想 ―
[良い点] コリノさんの喋り方好きです( *´艸`)可愛い♡ シロさんとピーチャン、最強コンビですね! ヤカンも強くてモフモフなのが最高です(*´꒳`*) クロナちゃんの貫頭衣姿……(*´Д`*)
2022/04/17 10:14 退会済み
管理
[良い点] ヤカンちゃんのステータスが凄いことになってる~♪ ……あっ!尻尾!尻尾は!? 高位のお狐様なら、尻尾も凄いことになってるはず! もふもふ尻尾が1本から2本、3本に増量……むふふ(期待) …
[良い点] シロとピーチャンの相性が抜群ですね(*´艸`*) 最強パーティですね◎ ところで目的地へはワープでは行けないないのですか?(´・ω・`)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ