表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/137

54. 冒険者ギルド

 僕は冒険者(ぼうけんしゃ)登録をするため、王都の冒険者ギルドを(たず)ねていた。


 シロは従魔(じゅうま)登録があるため一緒だ。クロナは学園にて待つように言ったのだが、


 「わたしはカルロ様の従者ですので当然ついて行きます。ダメと言われても行きます」


 最近、押しが強くなったクロナたんなのです。――やれやれ。


 という訳で、シロとクロナを引き連れて受付カウンター前に並んでいる訳だが、まだ朝方ということもあり結構混んでいるのだ。


 「おい! お前、順番を変われ。子供が集まって何しようてんだ~ あ゛」


 「そうだそうだ! とっとと道を空けやがれ」


 おーおー、天ぷら…じゃなかった。え~なんだっけ、ああテンプレ テンプレ。


 って、いらね――。なんだよ、無視無視。


 すると、こちらが何も言い返せないと思ったのかバカ共はさらに、


 「な~にシカトこいてんだー。何? ビビっちゃった。ねーボクたち~」


 「おうよ、ディレクでならしたDランクの ”ロングスネークトルネード” とは俺達のことだぜぇ」


 「今も軽~く3階層を制覇(せいは)しての凱旋(がいせん)だぜぇ。わかったら、小便もらしてママのところに帰ぇーりな」


 クロナは『どーしますか、シメましょうか?』と目で(うった)えてきているし、シロはピーチャンを乗せてあくびをしている。


 さて、困ったな。


 威圧(いあつ)したら、ここにいる半分は倒れるだろうし、手を出せば目立つだろうし、うーん貴族という事を示したとしても時間がかかるよね。






 僕がクロナを(おさ)えて、考えこんでいると、


 「てめーら、それくらいにしやがれ。いい年こいて恥ずかしいったらないぜ」


 と、ドスの()いた甲高(かんだか)い声が冒険者ギルド内に響き渡った。


 おお、萬屋(よろずや)さんのような……。


 声がした方に僕が振り向くと、2歳位の男の子を腕抱きにした狼人族(ろうじんぞく)の姿がそこにあった。


 黒いざんばら髪を後ろでしばり。


 目は鋭いが目下にクマができており、素浪人(すろうにん)のような雰囲気を(ただよ)わせている。


 『おい、イットーさんだ』


 『来たよ~。(おが)みのイットーさん』


 『血の雨が降っても知らねーぞ』


 『ダイゴくん可愛い!』


 周りの者が口々に(うわさ)をしているし、割と有名人なのか?


 「お、おい。ちょっとヤバくないか?」


 「って、ちょっと待て、置いていくな。ちっ、クソが 覚えてやがれ! 」


 何か知らないが、”長い物には巻かれろ” 的なグループ名の2人は捨て台詞(すてぜりふ)を残してギルドから出ていってしまった。






 ふう、なんとか手を出さずに済んだな。


 「あぶないところをお助けくださり、ありがとうございました。えっと、イットーさんですよね」


 「おう、てぇーへんだったな。この王都にまだあんな冒険者がいるとわな。また、なんかあったら おっちゃんに言ってきな」


 「はい、そうします。本当に助かりました」


 「おう、またな。気ーつけて(けー)んな」


 そういうと、狼人族の親子は冒険者ギルドを去っていった。


 ふ~ん、あんな冒険者もいるんだなぁ。


 あの、父親のことを ”ちゃん” と呼んでいた男の子もなかなか可愛かったな。


 名前はダイゴか。今度あったら、「ウィッシュ!」を教えてやることにしよう。






 僕たちは無事に冒険者登録とシロの従魔登録を終えた。 


 王都では珍しい熊人族(くまびとぞく)の受付嬢に挨拶(あいさつ)をして、クエストボードでも見て帰るかと(きびす)を返した折、女性に後ろから声をかけられた。


 「あの、少々お待ちいただけますか? 確認したい事があるのです」


 声がする方に振り返ってみると、受付カウンター越しにこちらを(のぞ)いている女性の姿がそこにはあった。


 「(よろ)しかったら、こちらへお回りください」


 冒険者ギルドの職員であろう若い女性は、豊満(ほうまん)な胸をカウンターに押しつけ少々苦し気に喋っている。


 …………。


 僕とシロ、クロナはギルド奥の個室へと案内された。


 声をかけてきた豊満なお姉さんも一緒だ。


 「ごめんなさいね。いくつか質問があるからそこの椅子に座ってね」


 僕は言われたままに、テーブルの向こう側へ回って椅子に腰を下ろした。


 クロナは、両手を前で重かさね 僕の後ろに(りん)として立っている。


 シロは僕が座っている左側にお座りをし、ピーチャンは右肩に移動している。


 まさに、鉄壁(てっぺき)のディフェンス! ――すばらしい!


 なんでも、シロとクロナで話し合いをして、このフォーメーションを完成させたということだ。


 だから、ここに来るまでの町中でも このフォーメーションを(くず)すことはない。


 まったく、何やってんだか。






 「突然、お呼び立てして申し訳ありません。わたくし、冒険者ギルド・バース本部にてチーフアドバイザーをしておりますコジフと申します」


 そう言ってコジフさんは、登録情報が()っているであろうファイルに目を通しつつ 話を始めた。


 「今回、カルロ様の冒険者登録並びに、従魔登録をしていただきまして ありがとうございました。それで、今回お(うかが)いしたいのは従魔の記述についてです」


 「こちらですが、従魔の登録名は「シロ」で間違いございませんか?」


 「ええ、名前がシロなんでそのまま「シロ」で登録しました。それがなにか?」


 「いえいえ、登録名自体は何も問題ないのですが、注目すべきはこのシロの種族名(しゅぞくめい)になります。ここに『犬』と表記してありますが違いますよね?」


 「…………」


 「犬ではありませんよね?」


 「……なぜ、そう思われたのですか? 何か不都合(ふつごう)がありますか」


 おそらく、冒険者ギルドにはシロについての記述(きじゅつ)が残っているのだろう。


 これは(かく)し通すのは難しそうだな……。っていうか、もうバレてますよね~。




やって来ました冒険者ギルド。異世界といえば冒険者だからね。しかもテンプレ付きとか泣ける。助けてもらうのもテンプレだよね~。助けたほうも雰囲気あるよね。子連れの狼人族……ってそのままやないかー。さて、次回はもうひとつのテンプレ。そう、ギルマスの登場です。



ブックマーク、評価、感想、いいね!、などいただきますと励みになります!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング
シロかわいい! と感じたら押してください。シロが喜びます。U•ɷ•)ฅ
アーガルム伯爵家 紋章
挿絵(By みてみん)
 作:マネキネコ
挿絵(By みてみん)
 作:みこと。さま FA頂きました‼ (リンク有)
挿絵(By みてみん)
 作:七海 糸 さま FA頂きました‼ (リンク有)
― 新着の感想 ―
[良い点] こんなところで拝一刀と拝大五(郎)に会えるなんて。しかも大五(郎)を別物にしようとしているし。(笑) 以前、木枯し紋次郎のセリフが出てきたときも「渋いなぁ~」と思っていましたが、こうしてみ…
[良い点] 返信コメントありがとうございます。 ……あれ?無い……間違えて【送信】押しちゃったか~!やっちまったな私! 黄色や緑色と桃色は、同級生トリオが……ジミー以外は許否するかな(苦笑) …
[良い点] カルロ君を中心とした最強フォーメーション! シロちゃん(白)・クロナちゃん(黒)・ピーチャン(青) カルロ君が『赤の人』なのは決定ですな(笑) (特撮ヒーローあるある)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ