49. クロナ!?
僕は5名程いる国王様付きのメイドのひとりに、しばらく離れることを告げるとジャングルブースへ足を向けた。
クロナと共に疑似ジャングルへ突入した。
入った途端に樹木が生い茂り、周りは薄暗くなる。道はキレイに舗装されているので、歩き辛いことはない。
僅かな空間なので、2分も歩けば目的の岩風呂が…………その、見えているんだが、違うものも見えている。
てっ、何やってんの? みんなのお風呂で……。
そこには岩風呂の湯舟に足を入れ、ふちに腰掛けている女性がひとり。
そして、湯舟から顔だけ出して、その……股間……。とにかく、こちらも女性だ。
ようするにユリユリな関係なのだろう。――こういう行為をしているのだから。
そして今。
行為に臨んでいた二人は、僕とクロナの前で土下座を行なっている。
しかも、女性の全裸土下座である。これはかなり需要が高いことだろう。
さてさて、どうしたものか。
そのまま知らせれば首が飛ぶだろうな。――下手したら物理的に。
そうでなくとも、重い罰が課せられるだろう。
それに、王国ではユリユリの認識はどうなんだ。この認識しだいでは人生が終わる可能性もある。
まったく、とんだ所に出くわしたものだ。
…………。
しばらく考えたのだが、ここは棚上げすることにした。
近々、王宮からの呼び出しがあるから、その時までに考えておけばいいだろう。
とりあえずは、名前と所属を聞いておく。
この二人は人族で、名前がコネ15歳、チタ16歳、共に客室のハウスキーパーをやっているという。
「僕の名前はカルロ。今度、王宮に参内した時に呼び出すからね。そのつもりで」
と、伝えてあちらに戻るように指示をした。
それで岩風呂なのだが、例の行為を目撃したあとなので、今から入るのは遠慮したい。
後でシロに言ってお湯を入れ替えるよう頼んでもらおう。
よって、今日はこの5つ並んだ ”壺湯” に入ることにした。
「よし入ろう。クロナも好きなところに入りな」
と言って、かかり湯をして真ん中の壺湯へと身体を沈めた。
う~ん、いい感じだ~。
すると、クロナもバスローブを脱ぎ、かかり湯をして。
さて、何処に入るのか眺めていると、僕の入っている壺湯の前に止まった?
んん、どした? なにか忘れたのか……。
するとクロナは一拍おいたのち、あろうことか僕がいる湯舟に入ろうと、壺湯の縁をまたいできた。
――まっ正面からである。ワァ――ォ!
僕が目を逸らしている間に、クロナは向きを変え僕の膝におしりをのっけてきた。
おお――――い、クロナやーい。
クロナはこちらに背中を向けて、俯き加減で何か呟いている。
「どこでも好きな所に入れって、カルロ様が言いました」
う~ん、確かに言ったよ。言いましたけど――!
その、当たっているんだよね……。―― ”ナニ” に。
”ナニ” になにが……なにして。――って何言ってるんだよ。
お、落ち着け、落ち着くんだ。考えるな! 感じろ…………。
って ダメじゃ――ん、感じたらダメダメ! ああああぁ!
ま、まてクロナ! ああっ、それ以上は……。
おしりをむにゅむにゅ動かしてベストポジションを探しているようだ。
だって、人には付いていないものが付いているから、それが僕の付いてるものにだねー。
と、いうことで、クロナには向きを変えて此方を向いてもらった。
すると、こちらはこちらで なんという破壊力!
真っ黒なツヤのある髪に、少し潤んでいる 澄んだグリーンの瞳。
頭には、これでもかってぐらい主張しているかわいい猫耳。
ふるいつかなかった自分を褒めてあげたい。
そんな素敵な美少女が、僕の目のまえに居た。
そ、そうだ、話題を振るんだ。
僕は、早鐘のように鳴り響く胸を 無理やり押さえつけ、何か話すことにした。
「ねえ、クロナ。ボス部屋ではどんな戦いをしたんだい。教えてくれるか」
すると、クロナは満面の笑みで「はい!」っと答えると、ボス部屋での詳細を語って聞かせてくれた。
「みんな、すごかったんですよ! 始めはですね…………」
クロナの説明によると、
序盤のゴブリンライダーとの戦いは、シロを駆ったエマが敵陣中央に切り込み、敵をかく乱しながら2体を片付けた。
続いては、敵の陣形が乱れたところをクロナが風魔法と槍術で3体。
小さいピーチャンも風魔法と体当たり、嘴攻撃で一組のゴブリンライダーを下した。
その中でも、異彩を放っていたのはクロナの従魔 ”ポンタ” であったそうだ。
ポンタは、まず手初めに分体を10体作りだし、床に潜伏させていた。
そこに、上を通っていくウルフの足を粘着して引き倒し、敵に染み付く。
そうやって染み付いたあとは覆い尽くすでもなく、顔面に張り付くそうだ。
なるほど~。僕の結界魔法でやってるように、空気を遮断して窒息させるわけだ。
モンスター相手でも有効であったのだな。――ふんふん。
しかし、分裂できたとは多彩だなポンタ。今は、壺湯の周りを楽しそうにポンポン跳ね回っているがな。
それにしても、この岩風呂と壺湯コーナーの人気がないこと……。
発案者としては、なにか凹んでしまうよな~。
あっ そうだ、あれだ! あれが出来るように少し改造してしまおう。
そして、今日の2人を指導して……。フフフッ、フフフフフッ。――これで勝つる。
クロナの話を聞く傍らで、この不人気なジャングルブースをなんとか巻き返すべく、
僕は、ある作戦を練っていくのであった。
今回はクロナ回になりました。やはり婚約の話なんか聞かせるからだよね~。しかし、ときに尻尾とはとんでもない武器に変わるのですね。そして、ゆりゆり。みんなのお風呂でしちゃダメでしょう。壺湯なら……。まあ、ね。さて、カルロが考えたジャングルブースを立て直す秘策とは?
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