46. ガトーショコラ
10階層のフロアボス、ゴブリンキングを打倒した僕らは落ちている魔石を拾い集め、出口に向かって歩いていた。
すると、出口近くの壁側にテーブルが出現しており、その上には1辺40cmに満たないぐらいの箱が置かれている。
お、これってケーキいれる箱だよな。5階層のゴブリンジェネラル倒した時はシ○ベーヌだったが、こん回はまともなケーキのようだな。
魔石を拾い、みんなが集まったところで箱の蓋を開けてみる。
するとチョコの甘~い香りが辺りに広がった。
箱の中身は、チョコレートをたっぷりと贅沢に使用した、ガトーショコラ であった。
これは……おそろしく旨いはずだ。
「これって、どうする?」
「どうするって何よ! 食べるに決まってるじゃない」
「いや、そうなんだけど。僕が言いたいのはどこで食べるかだ」
「そうね、こんな殺風景な洞窟みたいな所じゃ味気ないわね。お風呂から上がった後にいただくのはどうかしら」
「おう、そうだな。それがいい。よし、ここを出ようか」
僕達は ガトーショコラ が入ったケーキ箱をインベントリーに納めると、出口から階段の踊り場に出てきた。
――ひしっ!
エマちゃんである。僕らが出てくるまで、ここ確り待っていてくれたようだ。
僕はエマを抱き上げ……、んん。
「エマー、お口のまわりにチョコがついてるぞ~」
「!? えへへ、みんなで食べちゃったの。ごめんなさい」
「そうか、待たせてしまったからな。今日はしょうがないかなぁ」
僕はそう答えるとインベントリーから、ミニタオルを取り出しエマの口のまわりを拭ってあげた。
それから、10階層の転移台座の玉に、一人づつ触れていき転移先の登録を済ませた。
これにより3、5、7、10 と、4つの転移先の登録を済ませたことになる。
なお、一般的なダンジョンでは フロアボスがいる階層にしか転移台座は存在しない。
しかし、ダンジョン・サラでは、転移台座が増設されており低ランクの冒険者でも攻略がしやすくなっている
そして、みんなに集合をかけ、いつもの温泉施設へと転移した。
もう間もなくお昼だろうか? 昼食には少々早かったようで、まだ準備をしているようだ。
僕達は休憩室には入らず、浴室の暖簾を潜った。
付けていた装備を外し服を脱でいく。
洗い場に出て身体を洗ったあとは、時間があまりないので、今日は内湯の方に入った。
「うひょー、カルロ。これいいなー、アワアワが気持ちいい」
ジミーである。ジャグジーバスの方から大声で叫んでる。
まぁ、いつもの事だし、こちらもゆっくりしているのだが。
「おお、効く―。打たせ湯は最高だな」
今度は打たせ湯に移動したようだ。まったく飽き性だなー。いや、子供なんだから当たり前か。
ぎゃーぎゃー騒いでいるジミーをよそに内湯を楽しんでいると、
「あ――! いたー。クロにゃんこっちこっち」
エマちゃん登場である。――まっぱで。
外に通ずる扉を開けて何やら騒いでいる。
おそらく、俺達がいつもの露天風呂に居るものと、外に出てはみたが誰もいなくて こちらまで探しに来たのだろう。
するとエマは、タオルを巻いただけのクロナをひっぱり内湯の方に入ってきた。
「カルロ様すみません、エマ様が……」
「ああ、ぜんぜん問題ないよ。風呂桶はそこ、入るならこっちが浅いから」
「はい。失礼します」
クロナは、エマと共にかかり湯をすると静かに内湯に入ってきた。
…………
あ、あの~クロナさん? どうして、そんなにくっついているのでしょう。
エマは僕の膝の上に座り、お湯をパシャパシャ叩いて上機嫌だ。
――――!?――――
んん、なにやら気配がしたので打たせ湯にいるジミーの方に目を向けると、いつの間にかカミラさんがそこに居た。
いつ来たのか分からなかったが、今はジミーの隣りで平然と打たせ湯を肩に当てている。
――もちろん美乳全裸で。
顔は正面を向いているものの、視線はジミーに向けられているという、相変わらずの変態っぷりである。
でも、あの調子だとまだまだジミー君の貞操は守られていると思う。……たぶん。
すると、今度は何やら脱衣場のほうが騒がしい。
それに気づいたのかシロが頭にピーチャンを乗せたまま、ペットドアを潜って向うへ行ってしまった。
ん、誰が来たんだ? アルバートお父様たちかな。
そう、考えている内に脱衣場の引き戸は開かれ、出てきたのはシロ……に乗ったセーラであった。
その後ろにはアースレット様か。……更には胸毛もじゃもじゃおじさんのヴァルサン国王が続いていた。
これまた豪華な顔ぶれである。今日はたまたま休みが合ったのであろうか?
「おおー、これはカルロ殿ではないか。久しいのぉ、元気そうじゃな」
風呂から立ちあがり、浴槽の外に出ようとしたのだが、
「いやいや、そのままそのまま、こちらは忍びじゃて礼は要らぬぞ」
「はっ、ありがたきお言葉……」
とりあえず、腰を深く折り挨拶はしておいた。
エマは横に居て、セーラを出迎えているがクロナはいつの間にか浴槽を出て、バスローブを着て壁際に立ち待機している。
へ~、教えていた訳ではないのだがな。……ふと、ジミーの方を見やると、カミラさんも同じようにバスローブを着て控えていた。
さすがは、お付きが任される程のメイドである。確りしているし、強いし、美乳だし。
その辺の衛兵はおろか、騎士とも対等に渡り合えるだろう。
ガトーショコラ。ようやくスイーツらしいものがドロップしました。3階層から10階層とかなり端折っております。3階層まで駄菓子、ゴブリン→チ○ルチョコ、ウルフ→チュ○パチャプス、ホブゴブリン→チョコビ、ホーンラビット→シュークリーム、ブラックウルフ→マドレーヌ、
5階層ボス:ゴブリンジェネラル→シ○ベーヌ
8階層ウサコロ→生シュークリーム×6
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