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35. 多くない?

 アースレット王子との話が終わったあと、ちょうど昼食の時間を迎えていた。


 そこで、そのままみんなを連れて食堂へと向うことにした。


 ささっとクロナが僕の前にでて、来客用食堂の扉を開けてくれる。


 結構、重厚(じゅうこう)なドアなのだが、クロナは難無くヒョイと開けて頭を下げている。


 完全にアウトだ。クロナはまだ9歳、それが大人でも気合が入りそうなドアを……。


 考えるのはよそう。あまり考えると飯がマズくなりそうだ。今度でいいや! 今度指導しよう。


 と、妙な考えを(めぐ)らせながら、僕は食堂へ足を踏み入れた。


 「あっ、やっときた。ピーチャンたちだ~! こっちだよ」


 セーラである。


 にっこり満面の笑みを浮かべて、こちらに手をふっている。


 すると、僕の肩に止まっていたピーチャンは、声の主であるセーラの方へ飛んでいってしまった。


 おやおや、そういう事ですか。


 ようするに、元気になったセーラには、もう制限をもうける必要はない。


 と、いうことだよな。セーラの顔が以前にもまして輝いて見えるな。


 ……本当に良かった。


 それから、もうひと方。こちらもご存知 アンリエッタである。


 家臣がほとんど居ないからって、羽をのばしすぎじゃね?


 僕がまだ11歳の子供だから、セーラ共々遊んでやっている(てい)で処理するつもりだな。


 まあそのお陰で、ひとりで寂しかった食事も楽しみに変わったのだから、まったくもって問題はない。






 昼食が終わると、少し食休みをはさみ風呂に入る準備をおこなっていった。


 もちろん僕らのではない。


 向こうに行っても、不自由しないようにバスタオルやフェイスタオルを出し、リビングテーブルの上に積んでいく。


 そしてバスローブにシュシュ、風呂上りに必要な化粧水、乳液、ボディークリームなども出してクロナと仕訳けしていった。


 女性のお風呂は大変なのだ。


 男のようにねじりタオル1本という訳にはいかない。


 その辺は、以前に嫌というほど指導を受けてきたのだよ…………。


 「カルロ様。カルロ様! 大丈夫ですか?」


 おお、いかんいかん。クロナに心配されてしまったな。


 ただ、昔の事に想いをはせていただけなのだ。


 ああ、にっこり怖そうに笑っている、当時の王妃様のお顔が――――。


 その後は気を取り直し、せっせと準備を進めていった。






 そして、やはりこうなるのですね。


 どうして、僕の部屋に集合なのでしょうかね~。


 他にあるでしょ、大広間とか、応接室とか、ねぇ。


 …………。


 そして、この女性陣の多さは何?


 世話する人、そんなにいりませんよねー。


 王族4人にメイド(世話係)を何人連れていってんの? そこの人たち何、なんでフライパンや(ほうき)を持っているの?


 はあ、仕事に行く(てい)ですか、そうですか。


 いったい誰が、声掛けしたんだろう。


 あっ、王太子殿下! いらっしゃったんだ。


 僕は女性陣をかき分け、王太子殿下にたどり着くと、


 「アースレット様、これはいったい?」


 すると、殿下は僕としばらく視線を合わせたのち、目を閉じると首を左右にゆっくり振ってきた。


 ……そうか、止めようとはなさったのかぁ。はぁ~~~。






 温泉施設(おんせんしせつ)に転移するまえに、とりあえず人数を確認した。


 全部で46人、王族ひとりに10名と考えれば……。っておかしいだろ! 護衛騎士(ごえいきし)がいる訳ではないのだ。


 ほとんど女性だし……。


 実際アンリエッタのところは2名なんだよ。


 ああー、もういい。分かりましたよ行きましょ――――!


 僕たち全員を一気に、温泉施設の玄関口に転移させた。


 後は、クロナに ”黄色い旗” を持たせて館内の案内をまかせている。


 まずは、靴を脱いで鍵付きロッカーに入れるところからだ。


 ―― クロナ頼んだよ!


 観光客のように、ぞろぞろと連れられていく女性陣を冷ややかに見送った。


 そして僕は、アースレット王子に声を掛け男湯の暖簾(のれん)(くぐ)っていくのだった。






 脱衣かごに服を投げ入れ、洗い場に行こうとするがシロとピーチャンは(すで)にいない。


 では、洗い場の方かなと思い引き戸を開けるがそちらにも居ない。シロたちは表に出たのだろうか?


 仕方ない。洗い場で身体を洗らった後は、アースレット王子と連れだって表に出てきた。


 えーと、シロはどこだ? ……いた!


 んん、何やってるの?


 場所は露天風呂(ろてんぶろ)脇の通路、お座りしているシロの前に誰かが仰向(あおむ)けに倒れているのだ。


 たぶん女性だな。それも2人。


 何かあったのか? 早歩きで近づいていくと、全容(ぜんよう)が明らかになった。


 なるほど狼人族(ろうにんぞく)だったかー。始めは皆ああなるのな。


 いわゆる五体投地(ごたいとうち)である。


 こちらは、お腹を見せて仰向けだけどね。


 これは、狼人族の上位者に対する礼であるようだ。


 完全なる上位者には、身体が勝手に反応してしまって あのようになるそうな。


 (うち)にいる、アーヤとマーヤも最初の頃はやっていたよなぁ。


 あいつら、シロの事を何も知らないで舐めていたんだよ。


 気の強い姉のアーヤが、ただの犬コロのように扱おうとして、シロの怒りを買ってしまったのだ。


 シロとしては少し圧を掛けた程度だろうが、姉妹ふたりはお漏らししながらアレをやっていたな~。






 たぶん、ここの管理をさせるとかで今回(やと)った狼人族の従業員だろう。


 2人の内、1人は素っ裸(すっぱだか)である。


 あれっ? ということは……。僕は露天風呂を見渡した。


 すると、子供向けに作った浅湯の方から、こちらに向けて手を振る女の子がいた。


 エマちゃんである。


 隣はたぶんマーヤだろうか。そして、風呂の真ん中にも2人いる。


 エレノア母様とメイドのアーヤが一緒にいるようだ。




ただの外見で、犬を判断してはいけません! シロたんをオコにするとかもっての外です。吊るして、お尻ぺんぺんでもいいくらいです! さて、やって来ました大温泉回。お待たせした分、中身増量しております。(犯人はおめーか! 次回、どうぞお楽しみください。(^^♪



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シロかわいい! と感じたら押してください。シロが喜びます。U•ɷ•)ฅ
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 作:七海 糸 さま FA頂きました‼ (リンク有)
― 新着の感想 ―
[良い点] 女性が多いと華やかでいいですね(*´꒳`*) 狼人族ってそうなのですか〜! びっくりしました(*ノωノ) さすがシロさん……! 天使なエマちゃん登場で次回も楽しみです( *´艸`)♪
2022/03/15 08:14 退会済み
管理
[良い点] わちゃわちゃみんなで楽しそうですね◎ もう健康ランドのような公共施設みたいな感じですね(*'ω'*) シロの偉大さがまたここで垣間見れた☆彡
[良い点] 更新ありがとうございます♪ 温泉ツアーの参加者、増えるだろうなぁ…って予想してましたが、観光バス2台ぶんに増えとる! (50人乗りバスに遠足の小学生をギュウギュウに詰め込むのとは違うので…
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