22. ヤバァい
アンとダイアナは出迎えてくれたメイドたちと共に、のれんを潜って女湯へ姿をけした。
「じゃあ、僕たちも行こうか。ジミーこっちだ。シロもおいでー」
「おう、いこいこ。カミラ、また後でなぁ」
頭をさげている、クロナとカミラさんを廊下に残し、僕とジミーは男湯ののれんを潜った。
まずは、鎧やヘルムなどの装備を外していく。
それから、服を脱衣カゴにポンポン放り込みながら、温泉におけるマナーを説明していった。
ちなみに、みんなの得物は、すべてシロのインベントリーで預かっている。
ジミーにタオルを手渡し、洗い場に行こうとシロを探すが、……あれ?
すると、――ワンワン! と洗い場の方からシロが呼んでいる。
あれ、転移したのか?
不思議に思いつつも、内湯に続く引き戸に手をかけたところで、異変に気付いたのだ。
これ、犬用の「ペットドア」じゃないか!
引き戸のとなりに、シロが通れるぐらいの ”くぐり戸” が付いているのだ。
シロの野郎、いつの間にやったんだ?
なかなか賢いじゃないか。
僕はにやけながら、洗い場にいるシロと合流した。
風呂椅子に腰掛け、シロをワンコ用シャンプーで洗いあげる。
続いて自分の身体を洗い、隣りのジミーに声をかけた。
「ジミー、外に出よーぜ!」
「はぁ、マジかよ。寒すぎるだろ! 正気か?」
――おお、なかなかいい反応だ。(にや
「すこし寒いけど、別に死にはしないと思うけど……」
「ええっ、でも覚悟させるようなレベル?」
「いやいや、冗談だよ。外にもここよりデカい風呂があるから」
と、僕は笑いながら、ジミーにバスローブを投げて渡した。
「ひょえ――。すげーな、最高!」
「だろっ」
僕はジミーに右手でサムズアップ。
また、この冬に露天風呂というのも最高な訳ですよ。
ちなみに、顔を洗っても大丈夫だ。冬だといっても、この辺は温かい地方である。
それに、雨や雪、風までもがダンジョンの結界によりシャットアウトされているからな。
そんな感じで、楽しく話をしながら露天風呂に入っていると、
――バシャ、と水の音が後ろから聞こえてきた。
僕がそちらに振り返ると、アンが露天風呂の縁石をちょうど跨ぐところであった。
「も――、こっち見るなぁ――」
「おう、ごめんごめん。見られたくないなら離れればいいだろ?」
「そ、そうだけど…………」
「なんだよ、聞こえないよ」
「あ――、もう。向うは深いのよ!」
ああ、そっかそっか。浅いのはこの一角だけだからな。
すると、ダイアナもかかり湯をして湯舟に入って来た。
続いて、クロナが入ってきて、僕の隣りにピタリとくっついてきた。
…………。
そして、更に他のメイドまで、露天風呂に集結してしまった。
まあ、露天風呂はかなり広く作っているので、特に問題はない。
ないのだが……。
ダイアナはお湯に浸かっているシロにへばり付き、濡れた毛に手櫛をとおしている。
ちょっと引く程に、熱心にやっている。……これはまあ、いい。
問題はこちら。
おーい、カミラさんやーい。
なぜに、このせまい所に入ってきてるの~?
ジミーの側に控えるのは分かるけど、その……視線がヤバァいのですが。
顔は正面だけど、目線がどうも……ね。(汗)
こ、これは、うわさに聞く、”ショタコン” ですか~。そうなんですか~?
そうですか。これはヤバァヤバァでしょう。主にジミーの貞操が……。
ジミーはもちろん気付いてない。どーすんのよーこれ。
しかし、変に突っ込んでこちらに来られても、はなはだ迷惑だよなー。
ここは、見守るしかないのかね~。
しかし、カミラさん。なかなか良いものをお持ちのようだ。
って、寒くないのー。浅いから、胸が出っ放しだよ~。
それを押しても、という事なんだろうなぁ。
ジミー。……乙。
キミはいい友人であったが、キミのメイドがいけないのだよ。
まあ、見なかった。僕は何も見ていない……。
そのあとは、飲み物を出したり、デザートを出したりで、皆さんには喜んでもらえたと思う。
まあ、……いろいろあったが、ケガもなくて本当に良かった。
また、5日後に集まる約束をして僕たちは解散した。
温泉は人が持ってる内面を解放させる効果があるの……かな。
ちょっと甘えてくるクロナも、すこし可愛かったのだ。
そして、次の日の放課後。
なんとなーく、こうなるような予感はしてたんだよね……。
僕の部屋には、昨日のダンジョンに突入したメンバーが集まり、勝手にくつろぎ、勝手にダベって、勝手にスイーツを食べているという感じだ。
…………。
まぁ、いっかー。
疲れはするが、こうしてみんなでワイワイやるのも悪くない。シロもポンタも喜んでいるしな。
それに、クロナも嫌な顔ひとつせず、あれこれ世話をやいているのだ。
この娘はホントに良い子なんだよなぁ。
話を聞くと、いろいろ大変な目にあっているのに、今を良くしようと、努力を続けていける強い子なんだ。
ただ、ちょっぴり泣きむしなのが玉に瑕ではあるかな。
しかし、この女子2名は何しに来てんの?
かたや、さっきから物も言わずスイーツを黙々と食べているし。
もう一人は、シロにへばり付いてモフリまくっているだけという構図なのだ。
シロが嫌がっているのなら、即やめさせるのだが、気持ちの良さそうにしているんだよな~。これが。
そして、この人。
ジミーの専属メイドである、カミラ16歳、美乳さん。
やはり、目線があやしい。意識しないと分からない程度だが、疑いを持って見てみるとマジでヤバァヤバァなのだ。股間はやめとけー。股間は……。
はぁ……、この状況を誰かなんとかしてくれ~!
キミはいい友人であったが……。は、謀ったなーカルロ! こうなったら”コレ”をカミラにぶつけてやるー。クルーガー王国に栄光あれ~。……とか、散らせるのだろうか……。その後のジミーの顔が見ものだな。(* ̄▽ ̄)フフフッ♪
誤字報告あざます。('◇')ゞ
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