表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
128/137

122.怪しい影

 あれから3(ばん)、僕らは ダンジョン・サラ に(もぐ)り様々なスイーツを片っ端(かたっぱし)から集めてまわっていた。


 初めは怪訝(けげん)な表情を浮かべていたアンリエッタであったが、休憩がてらに試食などをさせてみると、


 すぐにやる気を出して夢中でモンスターを狩り始めた。


 それも、低階層ばかりを周回しているのだ。よほど駄菓子(だがし)が気に入ったのであろう。


 物珍(ものめずら)しさもあるのだろうが、種類が豊富でドロップしやすいときているからな。


 そこで、アンリエッタの希望もあり、次の日からは各自別れて探索することになったのだ。


 低階層なら万一という事もないし、(ぞく)が出たとしてもアンリエッタなら ”ひとひねり” だ。






 探索後はシンゲン温泉に寄り汗を流し、そこで別れて帰っていく。


 「とりあえず、このくらいあれば(しばら)くはいいわねぇ。少なくなったら、また 声かけるわね」


 「お、おう、またな。食べ過ぎには注意しろよ」


 転移でホテルの部屋に戻った僕たちは装備(そうび)を外して部屋着に着替える。


 ソファーに腰掛けお茶を飲んでいると、シロが僕の前にきてお座りをした。ピーチャンは頭の上に乗せたままだ。


 「やはり、今日も来ているのか?」


 僕の問いに、シロはピーチャンをくっつけたままコクコク(うなず)いている。――可愛い。


 そうか、侵入しようとした形跡(けいせき)が今日もあるのか?


 念のため防御結界(ぼうぎょけっかい)を張ったまま出かけているので、部屋には侵入されていないようである。


 それに連日仕掛けて来ていることから、ただの ”物取り” ではないのだろう。


 フフフッ! おもしろい、それなら……。






 次の朝、僕たちは朝食を済ますと馬車を手配した。


 今日は王都マルゴーの繁華街(はんかがい)へと()り出す予定なのだ。


 そして、あまり気は進まないが貴族服に(そで)を通し、待機している馬車に乗るためホテルから表へ出た。


 ――ひしっ!


 そして、ポヨヨン!


 ティファニアである。――懐かしい。


 覚えているだろうか、ティファニアはアンリエッタの侍女であり爆乳である。


 「な、何をしているのですか!? その手を離しなさい!」


 クロナが前に出ようとしていたが、それを僕は右手を上げることで止め。


 「クロナ問題ないよ。知り合いだ。……そろそろ離してもらえると有難(ありがた)いのだがティファニアさん」


 「はっ、も、申し訳ございません。私、アンリエッタ様に言われて3日間ずっと待っていたのです」


 「へっ、そうなの。それは、またどうして?」


 「はい、カルロ様が表に出られる際は、このマルゴーは不慣(ふな)れなはずだから陰ながらお助けせよと」


 「…………」


 「だから、私、日陰でずっと待っていたんですよ!」(ふんす!)






 こやつは……また、トンチンカンなことを……。相変(あいか)わらずの天然ぶりである。


 おそらくアンリエッタは、この侍女が夜に起きないよう そんな指示を出していたのだろう。


 きっと、駄菓子集めを邪魔(じゃま)されたくなかったんだね。


 ふむ、ティファニアと一緒に行動するのか。


 これはこれで騒がしくなるので、お誂え向き(あつらえむき)かもな。


 「それでは、今日は繁華街に行くから案内を頼めるか?」


 「はい! このティファニアにお任せください。(くわ)しくは馬車の中でお(うかが)いいたします」


 「ああ、頼むよ。クロナ、聞いていたとおりだ。こいつはティファニアといってアンリエッタ姫の侍女(じじょ)なんだよ」


 「ティファニアにも紹介しておこう。こっちがクロナ、そっちがリンだ。よろしく頼む」


 そのように、お互い自己紹介を交わしたのち全員馬車に乗り込んだ。






 そうして、繁華街に出てきた僕らはティファニアの案内の下、雑貨屋(ざっかや)、お菓子屋、魔道具屋など順に見てまわった。


 特に魔道具屋ではマジックベルト (自動サイズ調整) が売っていたので、チビへのお土産(みやげ)とした。


 そして僕らは、それなりに高級そうなレストランに入り昼食をとることにした。


 「みんなお疲れさま。ティファニアさんもお好きなものを頼んでくださいね」


 『それでシロ。どうだ、何人ついてる?』


 『いる、おみせ、うしろ、ふたり、おにく、たのしい』


 なるほど、後の席にいる男女二人組か。


 「クロナ、宿の警備(けいび)はどうだ?」


 「はい、今のところ問題無いかと思われます」


 「では、持って来ている魔石も心もとないので結界は解いて(・・・・・・)も大丈夫だよな?」


 「はい、結界(・・)までは必要ない(・・・・)かと思われます。廊下(ろうか)には騎士も居りますし」


 「お、料理が来たか。なかなか美味そうだな。さっそく頂くことにしよう」


 これで、上手く引っかかってくれるといいのだが……。






 午後からは、裏通りにある市場なども散歩がてらにのぞいていく。


 その折に、わざと人気のない場所なども通ってみたのだが 向こうさんが仕掛けてくることはなかった。


 そして夕刻に近づいたので、馬車に乗り込みホテルに帰ってきた。


 「ティファニア、今日はありがとう。とても助かったよ。アンリエッタ姫にも(よろ)しく伝えてくれ」


 ティファニアにお礼を言いマドレーヌの詰め合わせを渡して帰した。


 夕食までには時間があるので、僕は部屋に戻りシャワーを浴びることにした。


 バスローブをはおり浴室から出てくると、それと同じくしてシロが念話を飛ばしてきた。


 どうやらピーチャンが ”怪しい奴ら” のアジトを見つけてくれたようだ。


 僕は濡れ髪のままソファーに腰をおろした。


 そして、クロナに頭を()いてもらいながら、シロが言うとおりに紙に地図を書いていった。




カルロは誰かに見張られているようです。ホテルの部屋にも侵入しようとした形跡が……。ただの泥棒とは違うようです。ティファニアは相変わらずの爆乳ゆるふわお姉さんですね。『~がてらに』とは、~と一緒に、~のついでに、です。方言ではないようです。『アジト』とは、拠点、隠れ家のことです。



ブックマーク、評価、感想、いいね! などいただきますと励みになります!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング
シロかわいい! と感じたら押してください。シロが喜びます。U•ɷ•)ฅ
アーガルム伯爵家 紋章
挿絵(By みてみん)
 作:マネキネコ
挿絵(By みてみん)
 作:みこと。さま FA頂きました‼ (リンク有)
挿絵(By みてみん)
 作:七海 糸 さま FA頂きました‼ (リンク有)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ