104.地脈ライン
虫虫たち (汚物) は消毒し、嬉し恥ずかしパラダイス銀河を駆け抜けてきた僕はダンジョン転移によりバランの町付近へ帰ってきた。
冒険者ギルドの依頼は間違いなく達成しているものの、如何せん期間が短すぎる。これでは疑われるのは明白、悪くすれば牢屋行きになる。
まだ、ここがクルーガー王国であれば貴族の力を使って ”なし崩し” 的に処理できるのだが……。
まあ、時間が足りないだけだし何か暇つぶしでも……。
あ、そうそう、忘れるところだった。先日ダンジョンから説明があった、
『同じ者が管理するダンジョンにおいては、双方から地脈ラインを伸ばしてリンクを組むことが出来る』
これって、実はとても凄いことだったんだね。双方からの部分をはき違えていたのだ。
つまり、双方が同時に地脈ラインを出せるなら 単純に考えてリンクの距離が2倍近く伸ばせるということだよね。
と、いうことはだよ、もしかして、この国ローザン王国の ダンジョン・シンゲン とクルーガー王国の ダンジョン・サラ のリンクだって組めるかもしれないという事だ。
それで早速、ダンジョン・シンゲン に来てリンクうんぬんの確認をしているのだけれど、結果的には出来るということだ。
ただ、問題が一つある。『マーカー』である。
つまり索敵範囲外になるので、地脈ラインを放射するための目標 (マーカー) を設置してほしいとのことだ。
具体的には? 管理者であるシロが適任であるようだ。
それなら、場所はあそこか!
こちらのローザン王国に来たときに、はじめて野営した場所。
それからは、大体の方角を示し地脈ラインを放射させた。
そして、ダンジョン・サラ にシロ転移を使い移動してから、同じように地脈ラインの処理した。
あとは、指定した野営地点にてシロとピーチャンとでのんびり1日を過ごし。
ここに、ダンジョン・サラ と ダンジョン・シンゲン の地脈リンクは完成した。
と、いうことで僕は今転移してきたヤカンとユキに ”もみくちゃ” にされているのである。
「ああ、すまんすまん。僕がわるかったよぉ」
そうやって、みんなを気のすむまでモフリまくってあげた。
あ~これは、学園終わったらあいつらも来るんだろうなぁ。
結局その後はカルロ邸で2日過ごし、かれこれ4日ぶりに僕たちはバランの町に帰ってきた。
冒険者ギルドによって、ザルツの町からの郵便物を引き渡して依頼を完了させた。
もう、すでにザルツとバラン島の往復定期便も復活しており、特に怪しまれるという事もなかった。
さて、あと幾日か滞在して『温泉』作ったり、『釣り堀』作ったりしていきますかねぇ。
って、あれ、僕はここに何しに来てたんだっけ?
まあ、いろいろあるけど楽しいのが一番だよね。
冒険者ギルドを後にして宿屋に入った。
女将さんに部屋を取り直してもらおうとお願いすると、
「ああ、あんたの部屋はそのまま取ってあるよ。お代も10日分貰ってるから……あと7日だね。そのまま使いな」
「え、ああ、そうなんですか?」
「そうだよ。何か姫様の命とかでティファニアって人が来てお代を置いていったんだよ。あんた姫様と何か有るのかい?」
「い、いえ、ただクルーガー王国で少しあって……」
「そうかい。まあ、その辺は聞かないけど 問題事はよしておくれよ」
その後は部屋に入り、夕食まで時間もあり ゆっくりしていると、
――トントントン!
ドアをノックする音が聞こえてきた。
誰だろう? シロは反応していないし、宿の人かな?
「は――い! ちょっとまって」
僕がドアを開けると、
――ひしっ!
さらに、ムチュ――――――――!
アンリエッタである。
「この バカ。連絡もくれないで何処いってたのよぉ」
「お、おう、依頼でザルツ島までな。さっき帰って来たんだ」
「そうなの? ……あ~、あなただったのね。スラミガ帝国がザルツ島から全軍引き上げたって」
「はははっ、バレちゃったかぁ。あいつら変な魔獣というか魔虫というか妙な虫を使ってたな。気持ち悪いから、全部燃やしといたから」
「そう、スラミガ帝国の『魔虫部隊』が来てたのね。空から来られるとお手上げなのよね」
「それを全部! さすがは私の師匠よね、頼もしいわぁ」
「それはそうと、座ってくれ。話があるんだ」
「なになに、デートのお誘い! おめかしして行くわよ。それとも婚約かしら」
アンリエッタは嬉しそうに詰め寄ってくる。
「まー、まてまて、どうどう。とにかく、そこに座ってくれ。シロ、遮音の結界を頼む」
「それでアンリエッタ、この国にはダンジョンはいくつあるんだ?」
「へっ、ダンジョン? それなら王都マルゴーの北に1ヶ所だけだわ。それに比べてクルーガー王国はいいわよね~。4ヶ所もあって」
「まあ、クルーガー王国のことは置いといてだなぁ。実は…………」
僕は、この国に来てからダンジョン発見までの流れを粗方アンリエッタに伝えることにした。
…………
「それが本当なら、あなたはこの国の貴族に叙されるわね。そして今回のスラミガ帝国の件も有るから、まず間違いないわね」
「叙されるって、僕はクルーガー王国の歴とした貴族だよ」
「そんなもの関係ないわ。これはローザン王国としての ”けじめ” の問題だから」
――うわぁ、また大事になってきましたよ~。(汗)
パラダイス銀河、懐かしい! モロボシくんは元気だろうか? クルーガー王国とローザン王国のダンジョンは地脈リンクで繋がりました~。これは便利なのですが、とても危険な事ですよね。ただ、カルロには野望も野心もありませんから安全安心ですね。ダンジョン2ヵ所発見は偉業というか、何というか……。カルロは子爵ですから、外国でも同じような扱いなのです。その国の王宮にもよりますが、一気に伯爵位が与えられる可能性がありますね。そして、姫様が積極的なのですが……。
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