99. 再会
アンリエッタ王女の侍女を務めているというティファニアに拉致……いや、その……捕まってしまった僕。
そして隣では、 ”われ関せず” を貫いていらっしゃる従魔のシロ、その頭に収まっているのは使い魔のピーチャンである。
僕たちはこの ”お胸さま” に連れられてバランの町を歩いていた。
今現在は、昨日通ってきた中央広場を右に折れ、東通りに入ったところである。
おお、こっちの方は倉庫街ではないか!
やはり密会といば倉庫街だよなぁー。遠い昔に忘れてきた『男のロマン』が今また、フツフツと燃え滾りだしたぞ。
『こちらジョニー。ヤツらは第3倉庫だ! 8時半に現地集合だ』とか言ってかっこよく突っ込んで行ったら、敵さんマシンガンを構えて『待っていたぞケンシロウ!』……ケンシロウ違う! ジョニーだよ、ジョニー。
「…さま、カルロさま! どうかされましたか、大丈夫ですか?」
わーぉ! めちゃくちゃ妄想を垂れ流していましたわwww(汗)
「は、はい、すいません。少し考え事を……申し訳ないです」
「もう! 妄想してましたね。それは仕方ないですよね」
「お、おう。そうだな……」
「そうです、そうです、しかたないです。男の子ですもんねぇ」
んん、コヤツは『男のロマン』がわかるのか。なかなか見どころのあるヤツ……?
んっ、なぜにそんな困り顔? そして、なぜに胸を持ち上げる? 持ち上げながら、
「しかたない、しかたない」
……うん、ちょっとまてよ……No――――!!
誤解だ、冤罪だ、確かに妄想はしていたがそっちではないぞ。
眉をよせて、『困ったちゃんねぇ』みたいな顔もやめろ!
む、無実なんだ。事実無根なんだ。
「あー、また妄想してるでしょ。ほんとエッチなんですね」
……だから違うって。――妄想ヤメ!
それからは、妄想しないように努め無心で後をついていく。
すると、倉庫街を少し入った所でティファニアの足が止まった。
ここなのか? まさに倉庫だよな。
そして、ティファニアは口を開かず手まねで『お先にどうぞ』とやっている。
僕はシロを連れたまま勝手口のドアから倉庫の中へ入った。
――ひしっ!
さらに、ムチュ――――!
アンリエッタ王女である。
「この いけず。いつまで待たせたら気が済むのよ」
「お、おう。久しぶりだな、アンリエッタ」
「昨日の ”騎馬の行進” 見ていたのだが、見違えたぞぉ! 凛々しく、そして一段と奇麗になったな」
「うんうん、嬉しい。ずっと会いたかったの。ホントよ」
そして、側にあったランタンに火がともされ、小さなテーブルの上にはお茶の準備がされていた。
いつのまに、こんなものを用意したんだ?
さすがは王女つきの侍女というところか。ただの天然爆乳ではなかったようだ。
「姫様、お茶の用意ができましたぁ」
「そう、ティファニア ご苦労様。カルロこっちよ、座ってお話しましょう」
そうして、お茶を飲みながら昔話やダンジョンでの話、更には国王様の事や ここ最近の事までいろいろと話してくれた。
それらを受け、僕の方も『偵察任務』で来ていることを正直に明かした。
「それなら、私に力を貸してくれる?」
「うん、元からそのつもりだよ。ローザン王国は大事な隣国だし島々が敵の手に落ちて上が煩くなるのも嫌だからね」
「やったー、めちゃくちゃ心強いわ。それに、また一緒に居られるのね」
「おいおい、僕は冒険者として来てるのだからその辺りも考慮してくれよ」
あのあと、アンリエッタは『また、連絡を入れるわね』と言い残し昼前には領主邸へ帰っていった。
僕たちは昼食を簡単に済ませると冒険者ギルドにやってきた。
ギルド内にある告知連絡用の掲示板などを見て回ったのだが、これと言って新しい情報は出ていなかった。
そして、今度はクエストボードを見ているのだが、昼過ぎのこの時間帯は『塩漬依頼』がちらほら残っているだけである。
それらを流しで見ていくと、ひとつの依頼に目が止まった。
その依頼の内容とは『ザルツの町へ郵便物を届ける』というもの。
いつもは、通いの商人が島に渡るついでに受けていた依頼のようだが、個人的に動くと赤字になるので誰も受けないそうだ。
それに、今はスラミガ帝国の海軍がうろついているため島まで船が出せない状況でもあるのだ。
僕はこの依頼を受ける事にした。
依頼票をギルドカウンターへ持って行ったのだが、ギルド員にかなり心配されてしまった。
ザルツ島へ渡る ”独自ルート” が僕にはある ということで押し切り、何とか依頼を受ける事ができた。
通常、ザルツの町へ向かうには船で1日 馬車2日の計3日かかるようだ。
依頼の郵便物は紛失、雨でぬれないよう確りと梱包されている。
また、この梱包された包みと依頼表を提示すれば、あちらで報酬を受け取ることが出来るようだ。
ただ、冒険者ギルドとしては、
「ザルツの町から出される手紙の依頼も ぜひお願いします」
と、いう事であった。おそらく向うのギルドでも手紙の依頼が滞っているに違いない。
僕は手紙が入った包みを係りの者から受け取ると、そのまま手に持って冒険者ギルドを後にした。
ティファニアはマジすごいです。「天然爆乳」こんな四文字熟語、ホントにあったら……たのしい!? そして、ついに再会しました。いきなりぶちゅーと姫様大胆です。このふたりの将来も何か気になりはじめました。国王様は病気も回復しピンピンしております。ここでカルロが功績をあげますと…………さて、どうなるんでしょう。
(U^ω^)何も考えてないお! シロちゃん、黙ってようね。(汗)
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