表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/137

98. バランの町

 僕たちは ダンジョン・シンゲン にて、出現モンスターの統一化(とういつか)や5階層(かいそう)おきの転移台座(てんいだいざ)の設置など基本的な事のみ先に決めていった。


 そして、ここから南東方面にあるバランの町に向け出発した。


 えっ、ダンジョン転移はどうしたのか?


 残念なことに、ダンジョン同士のリンクを組むためには1日~2日程の時間が掛かるのだ。


 まあ、ここからならピーチャンで半刻|(1時間)というところだろうか。


 今日も天気が良いので、上空から景色を(なが)めながらのんびり行こうと思う。


 それに町や海岸線(かいがんせん)の地形なんかも頭に入れておきたいしね。






 町が見えるようになってからは、ゆっくりと旋回(せんかい)しながら付近の地形を把握(はあく)していった。


 すると南の街道(かいどう)から騎馬(きば)荷馬車(にばしゃ)の集団がこちらに向かって来ているのが目に入った。


 バランの町への増援部隊(ぞうえんぶたい)であろうか?


 そして、正面へ視線を戻してみると シロの頭には見覚えのある ”黄色い鳥” が止まっていた。


 ――おお、(なつ)かしいなぁ。


 モコモコであった。


 ご存知、アンリエッタ王女の使い魔である。


 そうすると、あの騎馬軍団の中にアンリエッタもいるのだろう。


 これから戦場になるかもしれない場所に王女が出張って来ても大丈夫なのだろうか?


 こちらも、そろそろ下りて町に入るとしますかね。


 僕たちは上空で光学迷彩(こうがくめいさい)を掛けると、静かに北門の方へ回り込んだ。


 騎馬隊だか騎士団だか知らないが、あれに巻き込まれると時間かかりそうだしな。


 そういう訳で、僕たちは一足先にバランの町へ入った。






 今は、門番に教えてもらった冒険者ギルドに歩いて向かっているところだ。


 時間にしたら30分、ようやく町の中央にやってきた。


 そこは、大きな円形の広場になっているようだが、人が多すぎて何が何だか分からない。


 このまま南へ抜けたいところだが道も沿道(えんどう)も人だらけ、みんなで何かを待っているような感じだ。


 まあ、だいたい予想はついているが聞いてみることにした。


 「すいませ~ん。これって誰か来られるんですか?」


 「は~、あんた何言ってるのさぁ。姫騎士(ひめきし)さまに決まっているだろう」


 「姫騎士さま? アンリエッタ様ですよね」


 「そーだよ、決まってるじゃないのさー」


 へぇ~、あのアンリエッタが姫騎士ね。


 王都マルゴーで別れてもう4年かぁ。少しは強くなったのかな。


 すると、南のメインストリートの先から歓声が聞こえてくる。


 行進している先頭の騎馬が見えてきた。


 上にはプレートアーマーを着た騎士だろうか(かぶと)はかぶっていないようだ。


 そして……おお、居た! アンリエッタは5列目だな。


 相変わらずの美人さんではあるが。


 なかなか凛々(りり)しい顔になっているではないか。






 パレードも終わり、町の人々も三々五々散っていった。


 僕はシロを連れて南通りを進んでいき冒険者ギルドへ入った。


 今日のところは移動の手続きだけをやっておこう。


 それと同時に商業ギルドの場所を聞き、おススメの宿も紹介して頂いた。


 僕たちは冒険者ギルドを後にして、今度は商業ギルドへ向かった。


 お金を両替するためである。


 国境(こっきょう)の町ならともかく、ここバランでは現地の通貨しか使えない。


 とりあえず金貨2枚を両替し、紹介を受けた宿に向かうことにした。


 しかし、この黄色い鳥さんはシロの頭から離れようとはしないのである。


 帰らなくても大丈夫なのだろうか?


 しかし、宿を見つけ入ろうとした瞬間、モコモコは飛び上がり青い空へと消えていった。


 何か、いやな予感がするのだが……。


 まあ、こっそり会いに来てくれる分にはぜんぜんOKなのだ。――情報も集められるしな。






 そしてローザン王国に来て3日目の朝を(むか)えた。


 町の感じはいつもと変わらない(おだ)やかなものである。


 昨日は夕食のあとエールを頼み、少し(ねば)ってみたのだが『東の海』や『スラミガ帝国』についてはこれと言って話題にあがることはなかった。


 本当に来るのか? といった感じなのだろうか、実際に戦闘が起きているのは『ザルツ島』であってここではないのだ。


 まあ、ニュースや新聞がある訳でもなし 一般住民の認知度(にんちど)なんてものはこの程度だろう。


 では、アプローチの仕方を変えてみるしかない。


 軍部の人間や実際に海に出ている漁師あたりに話が聞ければ早いのだろうが。


 しかし、話を聞くと言ったところで、僕の知り合いといえばアンリエッタ王女ぐらいなものだし。ホントどうすんのよ!


 などと、考えながらも朝食を終え、冒険者ギルドにでも行ってみるかと宿を出たところが、


 ――ひしっ!


 知らない()ですねぇ? 烈風ではないようだ。


 「カルロ様でございますね? 私はアンリエッタ様付きの侍女(じじょ)でティファニアと申します。アンリエッタ様がお呼びになられています。私と一緒に来てください」


 「はぁ、あっ、おい!」


 と、言うあいだも ティファニアは僕の腕にしがみつきグイグイ引っ張っていく。


 引っ張られるのはいいのだが、その……腕にもの(すご)い物が……。


 な、なんというか、驚異の胸囲(きょういのきょうい)?? ではなく、……パラダイス!?


 「あ、あの~ティファニアさん? 離していただいても逃げはしませんよ。だから、その、みんな見てますし……」


 「あっ、あわわわわわ、私は何を。す、すみません!」


 「いえいえ、わかって頂ければ問題ありませんから」


 「ひ、姫様が腕をふんづかまえてでも連れて来いって……その、ごめんなさい!」


 何かまた、いろいろ凄い人が迎えに来ちゃったみたいだな……。




おお、黄色い鳥モコモコ久々の登場ですね。アンリエッタも凛々しくなっちゃって、「姫騎士」か~強くなっているでしょうね。一応、異世界でも外国なので両替は必要ですよね。言葉はこちらの大陸には共通語があるようです。ティファニア! もちろん別人ですが、共通点ももももも。そしてドジっ子のような香りが~。



ブックマーク、評価、感想、いいね! などいただきますと励みになります!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング
シロかわいい! と感じたら押してください。シロが喜びます。U•ɷ•)ฅ
アーガルム伯爵家 紋章
挿絵(By みてみん)
 作:マネキネコ
挿絵(By みてみん)
 作:みこと。さま FA頂きました‼ (リンク有)
挿絵(By みてみん)
 作:七海 糸 さま FA頂きました‼ (リンク有)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ