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新しいバイト

2本目の投稿です。

まだまだ不慣れですが読んでいただると嬉しいです。

コンビニの深夜バイトで働いているオレにとって、一刻も早く家に帰ることが大事だった。


だけど、早朝バイトの連中はバイト時間ギリギリに来るやつらばかりで、定時に帰れることはなく、オレは帰る時間ほど不機嫌だった。


早朝バイトのやつらからは「清水さんは怖い」と思われているようだが、そんなの知ったこっちゃない。


そう思うならさっさと来い。それだけだ。


そんなある日、珍しく女の子の早朝バイトが入った。


「お疲れっす」


業務でヘトヘトの店長に挨拶すると


「清水くん、早朝にいい子が入ったよ~」と報告を受けた。


「早朝に女の子なんて大丈夫なんですか」


この店は海に行く裏道に立地していて、平日と週末で客層が大きく変わった。


平日は近所の客がほとんどだけど、週末はこれから海に行く連中と海から帰ってきた妙にテンションの高い連中と、どちらにしてもいい客ばかりではなかった。


「うん。心配だからさ、平日だけ入ってもらうことにした」


「そうでしょうね」


オレは絡まれたことはないが、深夜と早朝バイトの連中は度々絡まれたり、大声で駐車場でたむろう連中を追い払うため警察に電話して助けを求めたりしているらしい。


そのおかげか定期的におまわりが巡回に来てくれるのは正直めんどくさいような助かるような感じだった。



ある日のバイト入り。


「清水くん、この子が森さんだよ。今日は清水くんに紹介したかったから研修時間をこの時間までにしてもらったんだ」


「森優衣です。よろしくお願いします」


そこには専門学校生の19歳と聞いていたが、妙に落ち着いていて24のオレより年上じゃないかと思える女の子が立っていた。


老けてる子。


それがオレの第一印象だった。


「清水っす。よろしく」


185㎝あるオレは彼女を見下ろす。


この身長と目つきの悪さで、巡回のおまわりさえ、「今日は清水さんなら安心ですね」と帰っていくありさまだ。


「清水くんはこんなんだけど、うちの守り神だから。安心してね~」


「そう思うなら給料、上げてください」


慌てる店長とオレのやり取りを森さんはニコニコと見ていた。



早朝バイト初日。


オレのことを「守り神」といいながら、店長から「長く働いてほしいから、清水くんのその威圧的な態度で怖がらせないでよ!」と嘆願されていたオレは正直憂鬱だった。


それでなくても「怖い」と男からも怖がられてるの変えられるか、と思う。


少し緊張していると、15分前の5:45に彼女がやってきた。


「おはようございます~」


めがねの彼女は眠そうな顔で声をかけてきた。


「え・・・。早くない?」


「研修の時に15分前には来てね、といわれてましたけど」


そういえばそんなこといわれてたけど、オレをはじめ、どのバイトも守っていなかった。


「じゃあ、申し送ることもあるから、準備できたら声かけて」


「はい!よろしくお願いします!」


さっきまでの眠そうな声はどこえやら、威勢のいい声で返事をされた。


5:50には申し送りを開始する。


「ここの掃除をするとこまでがオレの仕事。そこから先は早朝バイトの仕事だから」


彼女はメモを取りながら真剣に聞いている。


そして・・・


「おはようございま~す。・・・あれ、森さん、早くない???」


もう一人の早朝バイトの太田が5:58にやってくると目を丸くした。


早朝バイトもやることが多く、バイトの時間帯に教えることができないかもしれないと、昼間に太田が森さんにオリエンテーションをしたと店長から聞いていた。


小太りでメガネの太田はいかにも人がよさそうで、客からよく絡まれていたが辞めずにバイトを続けている珍しい奴だった。


一度不思議に思って聞いたら、「だって、清水さん。ここで頑張っておけば、あとは自由時間ですよ!!1日長くて、超充実っすよ」といっていた。

どうやらゲーム三昧らしい。


「申し送りも終わったし、オレ、帰るぞ」


バックヤードに入っていく太田と一緒にバックヤードに入る。


「え!?マジっすか。了解っす!」


慌ててタイムカードを切って、太田は飛び出していく。


ゆっくりとたばこを吸ってバイト先を出ても、6:10だった。


初日だったからかもしれないし、太田の様子を見て彼女もギリギリに来るようになるかもしれないが、オレにとっては順調な滑り出しだった。


いい子が来た。


オレは久しぶりに気分よく帰路についた。

読んでくださって、ありがとうございました!

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