6-57
やがて――
一連の作業が「真の終わり」を迎え、
『『『『『『『『『『出来たぁーーーーーー!』』』』』』』』』』
喜びを爆発させたラディッシュ達は入稿を終えた次の日、
「「「「「「「「…………」」」」」」」」
旅支度を整えた姿で、恭しく跪いていた。
謁見の間にて、ベッドのような玉座にしな垂れ座する女王フルールの前に。
そんな勇者一行を、女王フルールは変わらぬ妖艶な笑みで見つめ、
「ほんに今日ぉ旅立つでありぃんすかぇ?」
玉座の傍らに立つリブロンも、
「…………」
凛とした無言の中にあって物言いたげな眼差しで一行を、特にラディッシュを見つめていると、見つめられた彼は「彼女のガン見」に小さい困惑笑いを浮かべながらも礼を以て、
「エルブ国の国王陛下からも「ゆっくりで良い」と仰せ付かってはおりますが、カルニヴァ国の陛下への御報告や、アルブル国の現状把握も早急に行わねばなりませんし」
「そぅかぇ……まっことぉ残念にありんすなぁ……」
「「「「「「「「…………」」」」」」」」
「次なる「即売会の準備」もぉ共に始めたきところでぇありぃんしたがぁ」
((((((((!?))))))))
妖艶な笑みは崩さず「名残惜しさ」を滲ませる彼女に、
((((((((もぅオナカいっぱいでぇす!))))))))
伏せた顔に苦笑を浮かべていると、リブロンが勇者組に助け舟を出すが如く、
「僭越ながら陛下、その様な御無理を言って「勇者様方を困らせる」のは如何なモノかと」
忠臣としての苦言を凛然と呈すと、女王フルールは妖艶な含み笑いで、
「…………」
彼女をじっと見つめ、その眼は無言でありながらも雄弁に、
≪ヌシの方が「去って欲しくない」と思っているにありんしょぅ~特に勇者殿にぃ♪≫
「ッ!」
意味を察した彼女は羞恥で顔を真っ赤に変え、
「なっ、何ですかぁ陛下ぁその眼はぁ! わたぁ、私は別にぃ! それに勇者様には成すべき事があってぇ!」
「妾は「勇者殿」などと一言も言っておらぬぇ♪」
『ひぅッ!!!』
リブロン自爆。
耳まで真っ赤に染め上げ、
「//////」
恥ずかしさのあまり黙ってしまい、そんな彼女を女王フルールが「良きにぃ良きにぃ」と笑う姿を、ラディッシュ達が苦笑交じりでありながらも微笑ましく見ていると、
「勇者一行よぉ、ほんにぃ感謝してるんぇ」
女王フルールは改めて頭を下げ、妖艶は変えず、
「そして妾も「エルブの王の考え」のようにぃ、これから国防計画を見直さねばならぬ」
「「「「「「「「!」」」」」」」」
目の奥に決意を潜ませ、ラディッシュ達は驚きを以て受け止めた。
それは暗に「天世を見据えた国防計画」と言う意味であり、パラジット国に、パラジット国の民に、起きた惨劇を目の当たりにしたフルール国の女王としての、密かな決意表明であった。
遠回しな言い回しも、公の場で、天世を守り、勇者を支える四国同盟の一角を担う彼女が、それを公然と口にする訳にはいかないから。
ラディッシュ達もそれが分かるが故に、フルール国上級騎士たちが見守る前で、
「はい」
短くだけ答え、同調の意だけを示し、
「お世話になりました」
恭しく頭を下げると、ニプルウォートの故国であるフルール国を後にした。
リブロンの凛とした瞳の奥に隠された「悲しみ」に見送られながら。




