8話 新人冒険者の鑑定
午後になり、告知した通り新人冒険者たちをギルド内に集まっていた。
「トップ・ワールド、ギルドマスターのレイと言います。この度、このギルドに加入していただきありがとうございます」
新人冒険者たちに頭を下げる。すると全員が驚いていた。
(そんな驚くことか?)
ギルドは冒険者がいなければ成り立たないが、冒険者はギルドがなくてもやっていける。だからまず入ってくれた人たちに誠意を示すのが当然だ。
「それで、皆さんは冒険者として初めてここに加入してくれましたよね?」
一応、冒険者なら誰でも歓迎という形で宣伝していたが、ここにいる人たちは見たことがない人だし、身なりもそんな感じだ。
案の定みんな頷いてくれていたので、ここにいる20人弱全員が新人冒険者ってことだ。
「では、まず皆さんに鑑定をしたいと思いますがよろしいですか?」
俺がそう言うと、全員が不安そうな顔をした。
(あれ? そんなまずいこと言ったか?)
すると一人の冒険者が言ってくる。
「あの......。鑑定をしてクビってことはありますか?」
あ~。そう言うことか。もし鑑定をして使えない人材ならクビにするって考えもあるか。これに関しては俺が悪い。灰色の翼にいた時は、そう言う権限がなかったからみんなも鑑定をすると言っても、そこまで深く考えなかったのかもしれない。でも今は立場が違う。
(まだまだ未熟だな)
「安心してください。まず鑑定をした時点でクビということはありません。結果を残せなかったからクビということも無いので大丈夫ですよ」
「ありがとうございます」
すると全員安堵した表情になってくれた。
「では、一人ずつ鑑定していくので、受付嬢が合図したら奥の個室に入って来てください」
俺はそう言って個室の中に入って行った。なぜあの場でやらないか? それは、鑑定自体がプライベートに関わってくるからだ。もし自分が~~職業で誰にも聞かれたくない。という場合、大勢で居たらどう思う? 嫌に決まってる。
受付嬢に開始する合図をすると1人目が入って来てくれた。
「では、自己紹介からお願いします」
まず、お互いの名前ぐらい知らなくちゃ話にならない。
「トロンボーと言います」
「じゃあ鑑定を始めるね。一応先に行っておくけど、もし俺が言った職業が嫌だったら拒否してくれていいからね? 第二、第三の候補を挙げるから」
「はい。よろしくお願いします」
そう言って、俺はトロンボーくんを鑑定する。
・タンク E→A
・騎士 E→B
・盗賊 E→D
(この中だとタンクか騎士だけど、BとAだと天地の差があるからな......)
「タンクの適性が出てるけど、どうする? 嫌なら2つ目の候補も伝えるけど」
「タンクですか......。僕はそれでいいです」
「え? いいの?」
トロンボーくんがそう言ったのに驚いた。タンクとはあまり人気がない職業。それなのに2つ目の候補を聞かずに決めるなんて。
「はい。僕の性格にもあっていると思うので」
「そっか。じゃあタンクで頑張ろっか。でももし嫌になったら次の候補を伝えるから、気軽に言ってね」
「はい! ありがとうございました」
そう言ってトロンボーくんは個室を後にした。
その後も連続で鑑定をしていく。1つ目の候補が嫌だから、2つ目を教えてほしいという人もいれば、1つ目の候補でいいという人もいた。
するとアメリアさんとルミナが部屋に入ってきた。
「一旦休憩したらどうですか?」
「そうですよ。レイさんの魔力も無限じゃないんですよ!」
「心配してくれてありがとう。でも今日中に終わらせたいからね。もし辛くなったら休憩するよ」
「そうですか......。ではこれをどうぞ!」
ルミナは俺に温かい紅茶とクッキーを渡してくれた。
「ありがと」
「はい! もし手伝えることがあったら何でも言ってくださいね!」
「あぁ」
ルミナがここまでしてくれるとは思ってもいなかった。頭が疲れて来ていたところだったから本当に助かる。
(よし。もう一踏ん張り)
そう思って、次の冒険者を部屋に呼ぶ。
15歳ぐらいの男の子かな? 軽く会話をしたところで本題に入る。
「鑑定するよ?」
「はい。よろしくお願いします!」
すると目を見張るレベルだった。
(!?)
・指揮官 D→S?
なんだ? この子は......。
読んでいただきありがとうございました。