3話 ギルドマスター(クリット)視点
ここ最近、レイは調子に乗っている気がする。今までギルドマスターとして冒険者たちが尊敬の眼差しを俺に向けてくれていた。でもレイがSランク冒険者たちを続々と輩出してきた時からだ。周りの尊敬する眼差しがが俺じゃなくてレイになったのは。
俺さえいれば完璧なんだよ。あんな無能いらない。
「あいつ、クビにするか」
なんでギルドマスターの俺じゃなくてレイが俺以上に尊敬されるんだよ。ここは俺のギルドだぞ! それなのにレイが俺以上に慕われ始めているのがイライラするんだよ。
(あんな運だけの奴がよ)
ここ最近、あいつから担当が外れたSランク冒険者でさえ、俺にもう一度担当させろとか言ってくる。でもそんなことできるわけがない。Sランク冒険者になったら、俺が担当になるのは元々決まっていたこと。それなのにレイにしろだと?
(ふざけるな!)
だからまずは周りを固め始めた。まずSランク冒険者たちを専属契約をすることにした。そうすることによって、俺のギルドから抜け出せなくなる。
それ以外にもレイに担当させるのは、低級冒険者のみにした。そうすることによって、このギルドを抜けづらくする。こうすることによって、レイをクビにしても抜けることは無くなったと思う。
(よし!)
これでギルドの低迷がなくせつつ、レイを追放することができる。あいつはどんな顔をするかな? そう思うだけで、ワクワクが止まらなかった。
「あいつをクビにしたところで、低迷するわけがない!」
そして等々、あいつにクビの宣告をする日になった。
(あ~。楽しみだ)
「レイくん。もう用無しだからクビだ」
「え?」
レイの驚いた顔を見て、スカッとしたよ。俺さえいれば、国一のギルドにすることができるんだよ! レイみたいな無能はいらないんだからな!
そこからレイが駄々をこねてきたが、本当に滑稽だったよ。それに貢献指摘だって? 嘘をつくなよ! 何度でも言うが、あいつは運がよかっただけ。このギルドがあったのは俺のおかげだし、たまたまSランク冒険者になれる人材に担当できたのも運があったからだ。
(お前が駄々をこねたところで、クビにするのは確定なんだよ!)
お前が俺以上に尊敬されているのが悪いんだ! 俺のギルドなのにお前がギルドマスターみたいな雰囲気になっているのがうざいんだよ。それもこれもお前がこのギルドにいるのが不利益なんだ。
今になって考えてみると、なんであんな無能を雇っていたのかわからなくなってきた。あいつがSランク冒険者を排出してこれたのは運があったからであって、あいつの実力じゃない。
(それなのにあいつは!)
何だったら、俺のギルドのおかげでSランク冒険者が輩出したに決まっている。それをあいつのおかげっぽい雰囲気を出すのがうざいんだ。
(そうだ。あいつのおかげじゃなくて、俺のおかげに決まっている。あいつは何もやっていなかったんだよ。ただの金をとってむしり取って行く奴なだけ)
それもこれもあいつが悪いんだ。たかだか担当した冒険者がSランク冒険者になっただけなのによ。運だけの奴に、あんな給料を払っているのがもったいなかった。
でもこれでレイを慕う奴らは俺を慕うに決まっている。周りの奴らも目覚めてくれるに決まってる。これで目覚めなかったらそいつらもクビにすればいいだろう。
だがこの時のクリットはまだ知らなかった。続々とレイのギルドに上位冒険者が移り渡ろうとしていること、そしてクリットのギルドが崩壊寸前まで行くことを。
読んでいただきありがとうございました。
このざまぁサイド視点で、皆様の期待でわかるような作品にできればとおもっています。
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