5話 ゴブリンキングの首謀者
ルミナはゴブリンキングに気づいていたから驚いていなかったが、新人冒険者たちはゴブリンキングを見て驚きを隠しきれていなかった。
(流石にAランクモンスターを目の前にしたら驚くよな)
俺だって初陣でAランクモンスターを見たら驚くし、委縮してしまう。でも目の前にゴブリンキングが来てしまった以上、俺とルミナは逃げることができるが、新人冒険者を連れて逃げることはできない。だからみんなに言う。
「俺とイルトくんが指示を出すから戦おう」
すると全員不安そうな顔をした。特にイルトくんは
「あの......。俺がそんな大役務められません」
「いや、イルトくんと俺で指示を出す。だからそこまで気をわなくて大丈夫」
「でも」
「イルトくん。君はなんで冒険者になりたかったの? それを思い出してみて。もう君は実戦をしている身であるのだから、一人前の冒険者なんだ」
俺がそう告げると、気を引き締めたのか先程と顔つきが変わった。
「わかりました」
先程まではイルトくんが後衛で指示を出しながらみんなの不意を突くゴブリンを倒していた。だけど今回はイルトくんに指南役として指示をしてもらいたい。だからルミナにはゴブリンキングと戦うのを主に、みんなのカバーもできるような感じで戦うように指示をする。
「わかりました」
「本当に助かる」
ここで迷いなく了承できるのはさすがSランク冒険者だと感じた。こうしてゴブリンキングと戦闘が始まった。
まず俺が全員にどのゴブリンが弱いのかをイルトくんに伝えて、イルトくんが全面的な戦略を考えて指示をする。最初は一人の子が、全員にバフ魔法をかけて新人冒険者の剣士がヘイトを買っている時、魔法使いがゴブリンへ火玉を使って倒す。それと同時に弓使いがその付近にいたゴブリンも倒す。
ルミナは新人冒険者たちに敵意が行かないようにゴブリンキングと戦っていた。数分経ち、ゴブリンたちが減ったところで新人冒険者もゴブリンキングに攻撃を始めた。
剣士の子がルミナの邪魔にならない程度、俺の指示した通りゴブリンキングの弱点を指示したところへ攻撃をする。それを援護するように魔法使いと弓使いが攻撃をする。それに付け加えるようにイルトくんが的確な判断をして指示をしていた。ルミナはゴブリンキングの体力を削るような感じで戦っていた。
(イルトくんがいるなら大丈夫か)
「イルトくん。後の指示は頼んだ。俺も一緒に戦うから」
「え? 分かりました」
流石にルミナだけだときついと思い、俺も参戦する。流石にAランクモンスターを1人で倒すのは時間がかかるが、ルミナや他のみんながいれば別だ。さっき鑑定眼を使いゴブリンキングの弱点などをイルトくんに伝えておいた。イルトくんは俺が言ったことをうまく戦術に変えて指示をしてくれる。
そこから10分ほどたった時、剣士の子がゴブリンキングにトドメを刺した。
「た、倒したんですよね?」
「あぁ」
すると全員が喜びを放っていた。俺もルミナと目を合わせて安堵する。流石にゴブリンキングが出るとは思ってもいなかった。
(なんでゴブリンキングが出てきたんだ?)
そう思いながら鑑定眼を使い、ゴブリンキングを見回す。すると先ほどまで見えていなかったのが、見え始めてきた。
・調教済み
(は? どう言うことだ?)
流石に俺の鑑定眼でそれぐらいならわかるはずだ。でもさっきは見えなかった。そうなると考えられるのは、俺と同等か、それ以上の魔法使いがこいつを調教したってことだ。
(誰なんだ?)
体中を見回してたら、小さな魔方陣が出てきた。
「こんなことできるのは......」
この魔方陣を見た時わかった。一人一人、魔法使いは魔方陣に特徴がある。それに俺は見覚えがあったので、そいつを尋ねることにした。
でもまずは全員無事にギルドへ帰らせるのが最優先だ。その後だ。そう思いギルドに帰っていった。そして新人冒険者たちと別れた後、俺はある人を尋ねに行った。
「これ、誰に頼まれた?」
そう。昔からクリットと仲が良かった調教師だ。俺はあまり話したことがなかったが、この魔方陣には見覚えがあった。だから先ほどゴブリンキングから切り取った魔方陣を手渡す。
「......」
「そっちがそう言う対応をするなら、こっちもそれ相応の対応をする。でもここで言えばチャラにしてもいい」
戦ってくれたみんなには悪いが、今回はこいつを処分するより、あいつに罰を与えなくてはいけない。それぐらい今回のことは重要だった。数分待つと話し始めた。
「それ、本当よね?」
「あぁ」
「クリットよ」
俺の予想していた通りだった。
(絶対に許さない)
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