4話 ギルド初クエスト
ギルドに戻り、下見しに行った情報をルミナと一緒にまとめ始める。ゴブリンが多くいた位置。コボルトやスライムなどがいた位置。それ以外にも危険そうな位置などをまとめる。
「そう言えば、ルミナの教え子はゴブリンには勝てそう?」
「多分大丈夫だと思いますよ。それに前教えてもらった通り、イルトくんは戦略を練る才があるのでゴブリン退治で本領発揮されると思います」
(ルミナが言うなら大丈夫か)
その後も他愛の無い話をしつつ情報整理を終えて仕事を終えようとした時、ルミナが不安そうな顔をしながら言ってくる。
「それで、お願いって覚えていますか?」
「あぁ。いつに行くかは早めに伝えてくれると助かるよ」
「わかりました! 楽しみにしてますね」
すると満面の笑みで言いながらこの場を去って行った。
「うん。俺も楽しみにしてる」
俺も宿に戻り、就寝の準備を始める。
(明日が俺の第一歩か)
明日がトップ・ワールドとって初めてのクエスト。そう思うと、ソワソワし始めた。なんせこれが一歩目であり、新しい人生の始まりだ。そこで一つ思い出す。
【自分で新たな道を作ってみませんか?】
あのチラシがなかったら今の俺はいなかったと思うし、トップ・ワールドにいるみんなもこうなってはいなかった。
(本当にアメリアさんには感謝しかないな)
まだ始まったばかりだけど、トップ・ワールドを作ったことで少しずつ俺を必要としてくれる人が居るのにわかった。
クリットに追放されたときは、必要ない存在だと思った。でもアメリアさんが必要としてくれて、それに続くようにルミナなどの教え子、そして昔商談などをしていたロイドやムキードにも必要とされた。アメリアさんには俺が必要とされているとわからせてくれた存在だ。だからこそアメリアさんと一緒に立ちあげたトップ・ワールドを成功させたい。
そんなことを思っていたら寝てしまい、次の日になっていた。ギルドに着くと緊張してきたが、みんなのことを見ると俺以上に緊張しているのが分かった。
よく自分以上に緊張している人を見たら緊張がほぐれるって言うのは本当なんだな。先ほどまで震えていた手が収まっていた。
(よし)
「みんなおはよう。今からクエストに向かうけど、クエスト内容はわかってるよね?」
すると本日行く全員が頷く。
「それと戦うフォーメーションとか決めてる?」
「はい。大丈夫です」
イルトくんがそう言う。
「じゃあ行こうか」
俺とルミナ、イルトくんを含める新人冒険者たち5人を連れて森林に向かった。街を出た辺りでは、新人冒険者が興味津々の顔をしていた。
(わかる。最初はそうだった)
だけど、徐々に森林へ近づくにつれてこわばった顔になっていた。街を出た時はまだクエストを意識していなかったんだと思う。でも森林に入れば嫌でもクエストを意識してしまう。
「じゃあゴブリンを探すけど、他のモンスターと会ったらルミナが退治してくれるから」
本当なら他のモンスターも倒してほしい。でもゴブリンが数十体単位で出てきたら、他のモンスターと戦った時の疲労で勝てないかもしれない。だからこそ今回はルミナに倒してもらう。過保護すぎるけどね。
その後、昨日下見で得た情報の場所に向かう。すると案の定ゴブリンが複数体いた。
「じゃあ戦ってみて。俺とルミナは後ろから見てるから」
「「「「「はい」」」」」
訓練を見る前は鑑定眼を使って指示をしようと思っていたけど、ルミナの話と俺が見た限りゴブリンぐらいなら俺の指示なしで倒せると確信したから、指示はしないことにした。
案の定イルトがパーティメンバーに的確な指示を出しながらゴブリンをことごとく倒して行った。そこから10分程ったが、なぜかゴブリンが減らない。何なら増えていっていた。
(どういうことだ?)
流石に初戦でここまで戦っているから、みんなに疲れが見え始めた。
(指示を出すべきか?)
そう思った瞬間、100メートルほど離れているところの木が倒れたのが見えた。
(は?)
目を凝らしてみるとゴブリンキングがなぜかこちらに近寄って来ていた。ゴブリンキングはAランクモンスター。なんでそんな奴がこんな場所に......。イルトたちが戦っているゴブリンすべてに鑑定眼を使い、どこのゴブリンが弱いか指示をする。
「みんな! 左にいるゴブリンを優先して倒す。その後右側を、最後に中央にいるゴブリンを倒してくれ」
「え? はい」
指示通り倒してくれたところで、目の前にゴブリンキングが来てしまった。
(クソ)
読んでいただきありがとうございました。
【今日か明日にはプチざまぁが入るので楽しみに待っていただけると嬉しいです】
ジャンル別7位まで来ることができました。
これも皆さまのおかげです。表紙まであと2つなのでブックマークや【評価】を入れていただければ嬉しいです。




