3話 ルミナのお願い
今回受ける予定のクエストは、ゴブリン退治にしようと思っている。一般的にゴブリンは低級モンスターの象徴といっても過言はない。でも実際は集団行動をするため、低級モンスターの中では強い部類に入る。
誰もが初陣になるわけだが、その中にイルトくんがいる。普通の冒険者なら低級モンスター単体で倒せれば経験としては良いけど、イルトくんは違う。
イルトくんは指揮官としての才がある。それは敵単体を倒すだけでは経験として見につくわけじゃない。イルトくん自身で指揮を取ってモンスターを倒すことでやっと経験として自信が付くんだと思う。だからこそ今回ゴブリン退治を選んだ。
だが、ゴブリン退治は低級モンスターの中でも危険度が高い。だからこそルミナと一緒に下見に行こうと思った。
(俺一人でもよかったが、明日一緒に行くルミナがいてくれた方がいい)
俺一人でだと考えに限度が起きてしまう。だけどSランク冒険者のルミナなら実践も豊富だし、色々なことが聞ける。
翌日、ルミナと合流して近くの森林に向かう途中話しかけられる。
「レイさん、本日はどこまでみるのですか?」
「新人冒険者たちが回れそうなところより少し奥までかな」
新人冒険者たちの安全を確保するためには、ゴブリンと戦う場所より少し遠いところまでみておかなくてはいけない。
「わかりました」
その後、お互い軽い雑談をして森林に到着した。
(懐かしいな)
ギルドマスターになる前は受付人に、その前は冒険者をしていた。だからこそ森に来ると懐かしい感じがする。するとルミナが少し首を傾げながら言う。
「レイさんも冒険者だったんですよね?」
「そうだよ」
そう言えば、ルミナとかは知らないんだよな。
「いつぐらいまで冒険者をやっていたのですか?」
「ルミナを担当する1年前までだよ。その前は受付人兼冒険者をやっていたんだ。でも冒険者より受付人の方があっているなと思って受付人になったんだけどね」
冒険者としてもそれなりに実績を出していたが、鑑定眼は受付人としての方が受容性が高いと思ったので冒険者を引退した。それでも森林とかに来たら懐かしさはある。
「そうなんですね。じゃあ私がきちんと守るので安心してください!」
「頼むね!」
「はい! あの......。一つお願いしてもいいですか?」
「いいよ」
なんだろう? まあルミナには新人冒険者たちの育成や相談役とかいろいろな面で助けてもらっているので、叶えられる範囲ならいいけど。
「もしよろしければ一緒にお出かけしていただけませんか?」
「ん? そんなことでいいの? 俺はいいけど」
別にそんなことならいいと思ったので了承すると、満面の笑みで笑いながら喜んでいた。
(あれ? そんなに嬉しいことなのかな? まあそんなことで喜んでくれるならいつでも遊びに行くけど)
「下見を再開しようか」
ルミナも頷いたことなので、きもちを入れ替えて下見を再開する。軽く全体的に周りを見渡すが、低級モンスターはそこそこ居たが、中級以上のモンスターは存在しなかった。
(よかった)
ここで中級以上のモンスターが存在したら、流石に場所を変えなくちゃいけない。
(これだけでも下見に来てよかった)
その後も、森林の中層部に向かう。道中何度か戦闘にもなったが、ルミナがことごとく倒してくれたので、やることがなかった。
(本当に頼りになる)
そこから軽く中層部を見た時、フードをかぶった人を見かけた。
(何をしているんだろう?)
そう思いながらも、ルミナと下見を終えてギルドに帰って行った。
この時目撃したフードの人が俺やクリットの運命を大きく変えたのをまだ知らなかった。
読んでいただきありがとうございました。
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