2話 クリットの嫌味
先週頼んでいた武器を、ロイドが持ってきてくれた時、なぜかクリットが俺のギルドにやってきた。
「レイ、久しぶりだな」
「あぁ」
(なんなんだ?)
なんでここにクリットがいる? すると不気味な笑みを浮かべながら言われる。
「お前がギルドを立ち上げたって聞いたから顔だけでも出しておこうと思ってよ」
「あ、ありがとな」
絶対に思ってないだろ!
「まあいいギルドじゃないか。小さくて弱小って感じがするぞ?」
「それを言うために来たのか?」
来て早々嫌味かよ。灰色の翼だって最初はこれぐらい小さなギルドだったろ。でもここで喧嘩をするわけにはいかない。そんなことしたらやっと始動し始めたギルドが無意味になってしまう。
「いやいや、そんなことのために来たわけじゃないよ。でもさぞいい気分だろうな。俺のギルドから冒険者や取引先を引き抜きをしたんだから」
「......」
引き抜きをしたわけじゃないが、結果として引き抜きをしたといわれてもしょうがない。なんせSランク冒険者やCランクやDランク冒険者が灰色の翼から俺のギルドに来てくれたし、灰色の翼で契約していたギルドすら俺と専属契約をしてもらったから。
「まあいいさ。せいぜい頑張れよ。ギルドマスターレイさん」
そう言ってこの場を出ていった。そこから沈黙の時間が続いたが、すぐロイドが話しかけてくれる。
「レイ、大丈夫か?」
「あぁ。それよりも発注したものは持ってきてくれたか?」
「あぁ」
それならよかった。あいつに嫌味を言われて腹が立っていても何の意味もない。だからこそ今は前を向かなくちゃいけない。あいつを見返すためにも。
ロイドが武器防具が入っている箱を渡してくれる。
「ありがとな」
「大丈夫だ。それより頑張れよ」
「おう」
そう言ってロイドもギルドを後にした。本当にロイドやトロンボーには感謝しかない。俺はすぐさま新人冒険者たちを一旦集合させて、話は始める。
「明後日、ルミナが訓練していたパーティはクエストに向かう」
すると何人か顔をこわばらせていた。その中には指揮官の才があったイルトも含まれていた。
(最初は誰でも緊張するよな)
「じゃあ今からみんなには装備一式を渡す」
俺は一人ずつ装備一式を渡し始めた。全員が不思議そうな顔をしていたが、きちんと受け取ってもらえた。
「これはギルドからのプレゼントだ」
「え?」
一人の子が言葉をこぼした。
「まあ普通はこんなことしないだろうな。でも今のこのギルドは弱小ギルドといっても過言はない。だからこそ、みんなが入ってくれたお礼といった方がいいのかな? それに付け加えて武器が壊れたりしても、ギルドと提携している武器屋に頼めば安く済むからどんどん頼んでくれ」
一旦、武器防具の心配をなくしたところで、軽くどのクエストを受けるのかなどを話して本日は終わらせた。
そして俺とルミナ二人で話し始める。
「明日、一旦下見に行かないか?」
「え? 二人でですか?」
驚いた顔をしていた。あれ? そんなおかしなこと言ったかな?
「そうだけど、嫌かな?」
「ぜ、是非行かせてください!」
なぜか声を先程より大きく言いつつ、顔が赤くなっていた。
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