表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/50

尻尾を踏まれたくないなら海に住めばいいじゃない


 人生にはハプニングがあって、準備もできてないのに、向こうから不条理がやってくるんだ。しかし、ゲームでは、きちんと準備というものを理解してくれていて、最適化された時期に、最適化したレベルの問題がやってくる。

 真正面から問題を受け止めることができるのが、ゲームをプレイするということだ、と思う。現実では、三十六計逃げるに如かず、とブラックな企業から逃げた方がいいし、ワケのわからないクレーマーは相手にしないが限る。


 で、わたしはゲームをやっているはずなのだけど。




「【メカシャーク】」


 さっそく火山のモンスターが出るエリアで、わたしは新しく理由も分からず取得したスキルを使用した。


 わたしの身体は、メカでできていた。


 とどのつまり、予想通り、機械化された。金属化されてしまった堅く分厚いヒレで、完全なるサメのフォルムの流線型。


『乗員が必要です』


 うん、メカであってメガであった。

 メガというほどは大きくはないけど、たぶん戦車ぐらいの大きさで、中に人が入れます。というか動けません。

 アーマーを着ていたわたし、逆にアーマー化されました。

 ロボットです。

 えっ、二足歩行の人型ロボットしか認めたくない?

 いいだろう。


「トランスフォームっ!!」


 何も起きなかった。

 まぁ、そうだろうけど。

 いや、戻ろう。元の姿に。サメの着ぐるみをきた少女に。


 コキコキ、首を回して人の姿の素晴らしさを抱きしめる。

 まぁ、シェーラちゃんにでも後で乗ってもらおう。わたしはロボット。わたし操縦する側じゃなくて、ロボットになる側だったとはなー。


 しばらく、今日も今日とて鉱山労働と、ルビーアイさんを探していたけど、どこにもいない。効率のいい金策とは、なんだったのだろう。やっぱりシェーラちゃん頼りすぎるのは良くないのかな。

 現れる時間帯とか条件とかあるのかもしれない。

 他の冒険者もいるけど、アザラシとか倒してたり鉱石の採取をしている。ルビーアイがそんなに金になるなら、洞窟の方に来そうなのに。


 わたしは、なんとなく洞窟巡りに飽きて、火口のサラマンダーさんの方に挨拶に行こうかと火山の斜面を歩いて行った。

『【注意】これはゲームの世界です。現実では真似しないでください』

 うんうん、注意喚起注意喚起、これがないと、彼岸花を咥える可能性もあるからね。彼女は特殊の訓練を受けていますっと。



 てくてくと【空中水泳】をやめて、斜面を歩く。【鈍足】さんの本領発揮となった。短い足のせいですね、ヒールが欲しいです。ヒールと言っても回復魔法の方じゃなくて。


 そして、サラマンダーさんを見つけました。寝ている。キモ可愛い。

 火口近くにだけいっぱいいるなぁ。ここは、まだ少し離れているからまばらにいる。近づいてみると、大きなサンショウウオといったところですね。ちょっと黒すぎるけど。黒炎をまとって、口から赤い火を吐くところは川の山椒魚とは全く違う。

 大きくなりすぎて、火口から出れなくなった山椒魚もいるかなーと文学的思索にふけりながら、寝ているサラマンダーの周囲をぐるぐる回って観察していました。

 そのときーー。

 そのときです。わたしは未来を予測できる力があるから。


 踏んでしまいました。

 お尻尾を。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ