再会、その後、再出発……
わたしは帰ってきた。
都市リズールいやアズールーー都市の名前ぐらい覚えてるって、さすがに。結局、砂漠都市の名前はなんだったのだろう。
とにかく、三日ぶりのシェーラちゃんエキスをスメルをキャッチしないと。キャッチアンドリリース。
「お、お姉ちゃん、よかったぁ。帰ってきたっ」
およ、わたしから抱きつくはずが、抱きつかれてしまった。
まぁ、モンスター討伐に行って、帰ってこなければ、遺品として何かちょっとしたアクセサリーや手だけ帰ってくるとかだよね。何も残らない可能性もあるけど。
「ごめんね、迷子になってて。まだジャバジャバジャバーー、スネーク、倒せてないの」
「お姉ちゃん、モンスターが見つからないこともあるよ」
うんうん、そうだよね。
砂漠に行ったことは黙っておこう。
沼地をウロウロしていてウロボロスと。
砂漠の少女と違って、こっちの少女は可愛いなぁ。砂漠のお姉さんは捨てがたいけど。
「も、もう一回行きたいんだけど」
ワッフルがくっついてきた。
そういえば、なんとなく目に止まった馬車が嬉しくて、馬車に乗ったんだった。なにしてるんだろう、わたし。ワッフルもついてくるかと思ったら見送られたし。
ミニバンもシェーラちゃんの肩から、わたしの頭に着地。なんで頭なのか。重いよ。
「わたしもついてく」
うん、ついてきて、お願いします。
雑事を任せたい。サメ、考えたくない。バトルゲームだけしていたい。戦い、奪い、競い、勝利する、それだけ。
貨幣単位、覚えっちゃったよ。
ほんと、理性的に行動なんて機械がすることだよ、サメは好き放題本能のおもむくままに本能寺だよ。
「このクエストって、いつまでに倒せばいいの」
「2週間以内ですよ」
「じゃあ、今日はここでのんびりしよ〜」
シェーラちゃん成分補給だよ。
砂漠でささくれたわたしの心を。
サメハダの正当防衛でも、盗賊やっちゃたし。食べた分は、ちょっとだよ、ほんの先っちょだけ。
アズールの都市で喫茶店で百合をした。いや、まぁ、コーヒーを飲んで、まったりしただけなんだけど。ドリップがいいよね、やっぱり。フレンチプレスとかサイフォンとかあるけど。ベトナム式もいいよね、チョコクロと一緒に。
帰ってきて、すぐに日が暮れてきた。砂漠の昼は長かったんだなぁ。今は宿屋のベッド。
「沼地のどの辺りを探したんですか」
「ど、どうだろう。沼地で、ちょっと道に迷ってたからなぁ」
ちょっと一旦、沼地の地図をくれないかな。頑張って、嘘の辻褄を合わせるから。
「沼地はちゃんと場所がわかるポールをいくつも立てているはずだけど」
なるほど、そういうことか。
何も分かってない。
「なるほど」
「目印があれば便利だからね」
「すごいな」
「それも知らなかったの?」
「悪いのはキミじゃない」
「お姉ちゃん、頭を撫で続けるとハゲそうなんだけど」
うーん、だって、久々のシェーラちゃんだし。
というか、わたし、そろそろ貴族ルートとかに行って、のんびりしたい。
いや、のんびりするなら、貴族ルートだと思うんだよね。異世界転生は基本、平民ではなく貴族との関わりをうまく利用する系でしょ。
のんびりしたーい。
やる気なんて三日で尽きる。もうヘビさんと戦う気分でもない。
まぁ、そこそこ倒したい欲もあるけど。人間は矛盾を抱えた立体的人物なのだよ。
「シェーラちゃん、わたしを甘やかしてくれる貴族のご令嬢とか知らない?」
「知らない」
あっ、ツンとされた。
ごめんなさい、他の見知らぬ未来の美少女を妄想して。
シェーラちゃんさえいればいい。
そうやって、ベッドでイチャイチャラブラブチュッチュッしていると、夜は更にふけて、睡眠の重要性を知る時間になった。
明日はヘビ。
明日はヘビ。
明日はヘビィ。
夢の中でぐるぐるのホットチョコパフェが出てきた。




