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勝手に震えてる


 サメです。意外と長生きなサメです。脊椎動物の中で最も長寿で、ニシオンデンザメは約400年近く生きるのです。

 老兵は死せず、ただ消えゆくのみと、どこかのイルカのように、海の藻屑と消えて忘れられるのみと、思っていました。が、ひょっこりと、また海から顔を出すタマちゃんの如く舞い戻って来ました。

 天災は忘れられた頃にやってくると寺田先生もおっしゃっていますし、サメという自然災害も忘れた頃にやってくるのです。

 いったい、わたしは何について言っているのだろう。

 まぁ、いいか。

 


 わたしは、都会の門を開いた。道中で拾ったミニリュウは、わたしの頭の上でスヤスヤしている。バランス感覚が鬼強いので、わたし。


「ペット登録と首輪が必要のようですね」


 シェーラちゃんが門兵と必要なやりとりをしてくれた。なんというか、この世界の常識とかないからね。キャリーされますよ、幼女に。


 というか、本当にミニリュウ飼っていいの。後になって、盗賊からも奪ってはダメ、持ち主に返しなさい、みたいなことにならない。この世界、民法はどうなってるの。勇者はツボを割っても許されるゲーム感覚でいいの。

 あっーー、思い、出した。

 ワールドブレ……じゃなくて、わたし、勉学しに来たんだった。忘れてた。危ない危ない、ゲーム脳に支配されるところだった。

 都市に行けば、学園があって、勉強できる場所があるはず。学生の本分に浸かって、現実世界を忘れないようにしないと。


「シェーラちゃん、わたし、勉学に励むために都市に来たんだった」


「図書館?それともーー」


「学園ってないかな」


 学園パートは、オープンワールドの基本。スカーレットさんもバイオレットさんも、きっとそう言ってる。

 まさか学園に通わずに、課外学習を年がら年中しているわけもなく。


 とにかく、まずは勉強しないと。現世のことを忘れないように。わたし、この世界に完全に染まるわけにはいかない。


「えっと、サメのお姉ちゃん、何歳なの?学校って、そんなに頭いいの?」


 おっふ、歳上の威厳皆無。この世界だと、何歳だと通えるの。サバを読んだ方がいい。上それとも下、どっちなんだろう。


「〇〇歳」


 二桁だよ。女性の年齢は秘密。秘密を被って、女性は神秘を獲得するのだ。

 え、もう年齢書いてる?いやいや、忘れてるからいいの。みんな覚えてないから。


「お姉ちゃん。まずは、お金がいるね。試験代もいるし」


 世知辛い。奨学金は出ますか。特待生制度とかありませんか。出世払いでいいですか。

 まぁ、ゲーム内マネーなんていくらでも踏み倒しますけど。沼るので現実のポケットマネーは使わない派。現状、現実のポケットに手を突っ込めないんですけどね。


 さて 学校に宝物を探しに行きますかね。

 そう、図書室に、きっと読みたい本の新刊もあるはず。電子書籍からVR内の本に変わったのは面白い変化。結局、紙の本の勝利なのだ。一周回って。

 このVRゲームに学問をしに来た。

 まぁね、VR空間なんて結局、学問するためにあるといって過言ではないからね。騒音もなく誰にも邪魔されないし、時間も四次元的に伸縮できるし。

 ああ、この世界、どれだけ時間を伸ばした世界なんだろう。帰ったら浦島太郎とかないよね。あんぱんっ!


「じゃあ、お金、稼ぐのに冒険者ギルドに行こう」


 幼女に手を引っ張られる少女。

 ああ、ワンピースの少女が二人。清潔感のあるとてもいい風景。

 でも、どうせ、サメになるんです。分かってます。

 ん、そういえばーー。


「あれ、ベヒモスの報酬は?」


「ウルフを引き取ってもらうために、だいたい渡しちゃったよ」


 あれー、わたし、金ヅルだったかも。金のサメです。中身は、美少女の。

 まぁ、村から少女を引き抜いているし、トントンと思っておこう。そうしよう。


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