侵略!サメ娘
サメです。海を汚す人間たちを懲らしめるために、陸上に上がったのはいいのですが、陸地って厳しいサメ。
厳しいジョズ、厳しいシャーク。うーん、あまりいい語尾が見つからない。やっぱりサメでいいサメかね。
サメプレイングは魔王ロールプレイより難しそうサメ。
くだらないことを考えています。いつも思うのは、ゲームにはダッシュボタンとかワープが必要だということ。移動時間で、時間が取られすぎるゲームは、サメにかわってお仕置きだ。
なにか早く動けるようになるスキルが欲しいです。自転車とか出てこない。サメックスとかいう車スキルないですかね。
◇ ◇ ◇
太陽が沈む方に歩いて行ってるけど、なにも出会わない。このゲーム世界、大きく作りすぎなんじゃない。もしかして、あの地平線まで、ちゃんと制作されているの。嘘だよね、嘘だと言って。あんなに歩けない。だって、サメだもん。
お腹すいたなぁ。
もう森の中に入ってしまおうか。
このまま大草原を歩いていても、水場ぐらいしか無さそうだし。まあ、大きな湖があれば、メガロドンの本領が発揮できそうだけど。淡水もいけるよね。まさか海水限定の装備なわけないしー。あ、フラグじゃないよ。
ああ、歩き疲れて、いったい、誰と話しているんだ状態だ。オタクのひとりごと、怖い。
森の中を進んでいると、木々に身体がぶつかってポキポキ折れていく。サメハダの効果です。ガッデム、アタイに触ると痺れるぜ。わふー。
木、相手になにやってんだろ。
『ミミック・ウッドを倒しました』
『ミミック・ウッドを倒しました』
ごめんなさい。区別付きません。どの木でしょうか。
というか、触れただけで、倒されないで。レベル低すぎるでしょう。
もしかして、このままだと、わたし、誰にも触れない歩くサメ要塞じゃない。攻撃は最大の防御なんですね。
その後、さらに奥に入りました。
森の中で見つけたリンゴのような実に対して、パン食い競争のように、ジャンプを繰り返していいましたーー仕方ないんです、だって、パペットを使うとそのまま噛み砕かれてしまうし、ツルツルのペンギンみたいな胸びれは、ツルッと滑っていくだけだから、そしてお腹がすきました。
「痛っ!!!え??」
めちゃくちゃ痛いんだけど。
鼻がちょっと枝にぶつかっただけなのに。ああ、鼻は弱点なのね。磁場を感じる第六感ロレンチーニ器官ですね。
そうだ!
鼻を抑えたいけど、抑えた瞬間自分のパペットに共食いされそう。ううぅ……。
「電流感知っ!」
およ、近くに磁場を感じる。人型っぽい。小さい子供かな。ということは、NPCのはずーー。
むむっ、獣のような四足歩行の動物もいる。
ここまで分かるんだ、便利。鼻だと、まだ何の匂いか分からなくて、困るんだよね。
よーし、正義の味方、シャークマン、いやシャークウーマンの登場の機会かな。
さっさと人間と知り合って、どこかでおやすみしたーい。
そのためならば、パイソンだってオオカミだって、怖くないサメ。
待ってて、赤ずきんちゃん、サメずきんが行くからね。
ああ、一人、深夜テンションだ。
後で、デバイスに保存された脳内ログに発狂しそう。