サメさんは、レベルが上がりました
装備【メガロドン】 レベル30
オリジナル装備。サメの形をかたどった着ぐるみの一式装備。可愛い、凶悪に可愛い。つぶらな瞳がチャームポイント。
スキル
【サメハダ】【破砕の牙】【威圧】【スイマー】【飢え】【嗅覚鋭敏】【血の忘我】【鈍足】【加速(水中)】【ブレーキ不可(水中)】【夜目】【電流感知】【快眠】【ハンドパペット・シャーク君(両手)】【サメさんポーチ】【メガロドン(水中)】
アクセサリー スロット ゼロ。
称号 《サメを愛する者》《少女の味方》《狼を従えし者》
ということで、レベルが30になりました。
え、戦闘シーン?
女の子はそんな野蛮なことしませんよ。か弱いもん。でも、陰では、努力してるんですよ。
どうも称号は勝手に増えているようですね。確認しないと、いつの間にか変な称号を手に入れてそうです。まあ、称号は特に意味がない物だろうけど。
【ライド】スキルは、装備とは別枠みたいです。まあ、そうじゃないとワンピースで乗れなくて困りますし、よかったよかった。
それでーー。
わたしはついに、装備【メガロドン(水中)】の専用スキルのような、メガロドンを得たわけです。
だから、とりあえず、叫んでみたんですよ、草原で。
でもーー。
《条件が満たされていません》
うにゃ?
うにゃうにゃうにゃ?
メガロドンは、メガ進○するか、ダ○マックスするか、の二択だと思っていたのだけど、どうも違うようだ。
いや、分かっています。
(水中)の文字見えてました。
見ないふりしてました。
わたしの装備、どうも水中用のようなんです。
まあ、外形からもわかってましたけど、今まで見ないふりしてきました。エ○ガミとか覚えないかなぁ。ポシェットモンスターのように、強力な必殺技が欲しいです。一撃じゃなくていいから。
わたしは唯一王のように、鈍足になって、草原の渦を歩いていくのでしたサメ。
この世界、海あるよね?
なかったら、どうしよう。
というか、わたしは海で、サメのように魚を食べる生活をするのでしょうか。シーマンですね。まあ、もっと可愛くてカッコいいですけどね、自画自賛しときます。
「お姉ちゃん、そんなに残念がらなくても、大きくならなくても十分強いよ」
お姉ちゃん、大きくならないと、亀さんに踏み潰される未来しか見えないんだけど。
なんで亀は陸亀という逃げ道があるのだろう。わたしも陸鮫じゃダメかな。なんか、ほら、サメも四足歩行で歩きそうじゃん。ビューティフルジョーズみたいに。
まあ、まだまだレベリングは始まったばかり。
あと、2、3日もあれば、もっとレベルが上がって強力なスキルが付加されていくはず。口から水が出たり、空を飛んだり、サメロケットを発射したりーー。
だから、とりあえず、ワンピースの姿に戻ります。わたし、魚人ではないんで。
街に入って、わたしは考えた。
そうだ、武器屋や防具屋に行けばいいのでは。
そう、メガロドンのアーマーにこだわる理由はない。こんなフル装備かフルヌードな状態でいいわけがない。もっとちょうどいい装備というものがあるはずだよ。
「シェーラちゃんは、その装備はどこで買ったの?」
「これは、お姉ちゃんのお下がりでーー」
「なるほど、この街って、武器屋ってあるかな」
「あるよ。でもー、お姉ちゃん、剣握れるの?」
あはぁ、握れませんけど。サメの状態だと。
でもね、人はサメだけにあらず。両手というものが人類を発展させてきたんだよ。
「ということで連れて行って、お願い」
「なにが、ということか分からないけど、わかった」
よーし、ここからは可愛い女の子が軽装な装備で、可愛らしく戦国時代を駆け巡って無双する感じのゲームに移行だ。こんな着ぐるみ無双は、ちょっとね。
ああ、装備品を変えられるゲームって素敵。
あ、でも、ビキニアーマーとかはやめてね。そこまでの肌の露出はしたくないし。スカートの装備くらいでお願い。中?あはは、絶妙に見えないのが、この手のゲームだよね。それか、スパッツですよ。
カランカランーー。
武器屋のマーク。シンボルは、重なった双剣。分かりやすくて、いいね。
「おじさん、剣が欲しいんだけど」
シェーラちゃん、来たことはあるんだ。お姉ちゃんのお下がりは、防具で、剣はそうはいかないよね。錆びたりもするし、折れれば買い替えもあるよね。
で、なかなかにドワーフなオッちゃんが現れましたよ。身長の低い髭面の渋いおじさん。
「おお、シェーラか、なんだ、もう壊れたのか」
「ううん、こっちのお姉ちゃんのーー」
「ずいぶん綺麗な手をしているが、剣を使ったことはあるのか」
「ないです」
いや、他のVR世界でならあるけど。この世界ではないです。剣は素人です。まあ、システムのアシストでなんとかなるでしょ。
というか、この流れ、普通に、武器を買う流れですね。アーマーは置いてない感じなのかな。
今思うけど、アーマーって値段いくらぐらいなんだろう。
「なら、そこから好きなのを選びな」
安そうなショートソード。
まあ、とりあえずは、これでいいかな。シェーラちゃんも似たようなショートソードだし。これでも一応戦えるということ。アーマーじゃないようだし、護身用に買っておこう。
「おじさん、アーマーは売ってないんですか?」
「うんなもん、売ってるわけないだろ!」
あ、そうですか。ごめんなさい。世界観を無視して、ごめんなさい。無知なんです。怒鳴らないで。
「お姉ちゃん、アーマーは、国から送られたり、家宝だったり、ダンジョンで見つけたりするものだよ」
あ、そうなんだ。一つ賢くなったよ。
どうやら貴重品のようだ。当たり前か。
「そういえば、お姉ちゃんは、どうしてアーマーを持ってるの?」
あー、そこ、ツッコミで来ますか。
NPCに痛いところを突かれています。
「生まれた時から着ていました」
「……、そうだよね。お姉ちゃんはサメだもんね」
速報、わたしはサメでした。
ちょっと言ってみただけなのに。
サメプレイをしている変な人扱いの視線を感じとりました。
だって、みんなサメ扱いしてくるし、もういいんです。サメです、サメです、サメです。




