サメはペットに、はいりますか?
ふかふかのベッドが恋しくなる今日この頃、野宿よりマシなテント泊を終えたわたくしことサメは、太陽の日光を清々しく浴びるために、外に出ようとしーー。
《都市内でのアーマーの着用が義務付けられています》
システムは非情だった。
現実世界でできることは、ゲームでもできる、と勘違いして、透明な壁に阻まれるプレーヤーです。
そんなことよりーー。
「お腹が空きました」
スタミナ切れです。お肉をくるくると回して、上手に焼きたいです。【飢え】のデバフでもないし、普通に超お腹が空いたということです。
超困ってます。
だって、出れないから。
サメに着替えて、出ようとしたら、テントがズタズタです。そんなことになれば、シェーラちゃんにフカヒレにされちゃいますよね。
ああ、こんな可愛らしく寝てる子を起こすなんて、私にはできない。二度寝しよう。
抱き枕がペンギンでないのは、何故だろう。麻雀じゃないからですかね。わたしはエトペリカになりたかったサメ。
まぁ、ペンギンのフリをしていたら、洗礼を受けて、ペンギンの島に行く可能性もなきにあらず、だから、サメで、良しとしよう。
「起きて、サメさん」
「ふわぁーい、サメです。くしくしーー」
二度寝とは、なんて甘美なんだろう。人類で一番初めに二度寝を発明した人は、素晴らしい。3度寝、四度寝と繰り返せば、ギネス記録になりませんかね。
「ご飯、食べよう」
「いくいくー!!」
「サメさん、なんだか動物化してない?」
せめて幼児退行と言って欲しい。いや、それも嫌なんだけど。
都市には果たして、どんな素晴らしいフードがあるのかな。串、串ーー。
ベヒモスのいない間に洗濯だ!!
「へい、お待ち!!」
威勢のいい店主に出されたラーメンのようなものをすする。まあ、おそらくフォーとかいうベトナムの麺類だろう。ツルツルと、とてもーー、美味しい。
ただね、問題は、私には、箸は持てない。
だから、当然ーー。
「あーん」
幼い子供に、食べさせれています。幼児プレイです。これが肉だったら一瞬でごっくんなのに。
ピュピュリピュルピュルピュピュリュピュー。
ああ、麺って大変。こういう麺料理って自然界だと絶対に存在しない形状だよね。まあ、海藻にはあるかもなんだけど。
「サメのお姉ちゃん、なんか食べ方雑だよ」
ごめんなさい、分かっているです。でも、歯にあたると簡単にプツンと切れちゃって、吸う力を最大限に利用しているだけなんです。撲殺しないでね。
さて、腹ごしらえを終えたら、もう一回寝ようかな。
待ちの一点張り。
どうせ、ベヒモスは、まだまだ亀の移動をしているだろうし。
ん、いやいや、さらに逃げないとダメか。
よーし、さあ、村のみんな、もっと逃げるよー、おー。
「お姉ちゃん、ギルドに登録に行こう。ギルドカード持ってないでしょ」
ギルドーー、ああ、テントの設営ギルドだよね。まさか魔物と戦わせるわけじゃあないよね。いえ、その亀は無理です。歯が立ちません。
「登録すれば、きっとアーマーを脱いでも大丈夫になりますよ」
行きましょう!!




