サメさん、テントで寝て…起きた
サメです。
さて、ゲームだからという理由で許されるところと、ゲームだからという魔法のパワーワードでは解決してはいけないというところもあります。
たとえば、某勇者のように、勝手に家に入って、ツボを壊したら、犯罪です。まあ、当たり前ですよね。
まあ、そんなことはいいとして、問題はーー。
「シェーラちゃん、なんだか街の人からすごい距離を取られているんだけど」
「仕方ないよ。危ないんだから」
わたしとシェーラちゃんは、ウルフを門近くの厩舎のようなところに預けて、街の中心部へと歩みを進めていた。
サメというだけで、この対応ーー、あ、あれだ、サメハラスメント、違うか、サメ差別だ。マイノリティの権利を守らないと。サメだから危険なんてステレオタイプな発想に囚われるなんて。
クマはぬいぐるみ化とかされて上手くやったよなぁ。サメは、映画のせいで凶暴なイメージばかりだよ。家具会社に、もっと頑張ってもらいたい。
さあ、みんな〇〇〇に行けや。
「とにかく宿を探そう」
「うん、そうだね。ベヒモスは来るまで二日はあるみたいだし」
ほうほう、ノロマな奴め。全くウサギが果報を寝て待つわけだよ。
今のうちにログアウトするぞ。
こうして、無事、サメはログアウトできたのであった。
ーーという夢を見ました。
「ごめんなさい」
宿がやってない。
そりゃそうか、今って緊急事態宣言中だよね。宿の前に、やることあるよね。もしくは、やっていても、埋まってる。
どうしよう、サメが野宿なんてあんまりだよ。
浜にあげられた死んだ魚みたいじゃん。
とりあえず、宿は諦めて、集落の人々と合流しに行く。
いや、初めから、合流しに行くべきでしたが、わたしの帰巣本能が限界だったのでーー、早くセーブしてログアウトしたい。
集落のみんなは、シェーラちゃんのお姉ちゃんも含めて、都市の広場の片隅にいた。
これからどうするつもりですか、奥さん。
「思ったのですが、サメのーー」
「サメっ子」
「サメだわ」
おかしい、わたしはサメだけど、サメじゃないのに。
「これからギルドの方で簡易的な野外テントを作りようだから、今晩は、そこに泊まりましょう。幸い天候も悪くないですから」
オロロン、まさかの都市でホームレスでございます。宿に泊まれないということは、ログアウトはできないのか。なんで、こうなった??
そろそろVRゲームのやり過ぎの警告アラームが鳴りませんか。ゲームは一日1時間まで。そういえば、そんな条例が作られそうになったことがあったようなーー。
サメの私はテント設営では役立たずです。
ツルツルと滑らせるか、バキバキと噛み砕くかの2通りです。ああ、やっぱり人類の発展は親指にありですね。掴むという偉大な手。私の手は、カニ鋏が限界。
脱いでーー。
《都市内では、外で脱ぐことはできません》
ついに、システムに脱ぐな、と言われました。どうしよう呪いの装備です。不便極まりないーーだいたい一般人を傷つければオープンワールドのお約束的に犯罪者扱いになるんでしょ。オレンジプレイヤーでしょ。
気をつけな、あたいに触れると痺れるぜっ、わっふー。
とにかくテントの設営ができたので、わたしは、私の分をありがたく頂戴しました。
え、働かざるものーー、いやいや、人類みな兄弟ですよ。仲良くしましょう。
シェーラちゃんにテントの入り口に布をとってもらう。
だって、自分でやったら壊しちゃうから。
あれ、ゲームの中で介護されちゃってる。一人ではクリアできないゲームーー泣けるぜ、ソロプレイヤー。
そして、服を脱いでワンピースに。
さあ、今夜は寝ましょう。移動で疲れました。
ログアウトログアウトーー。
なにも起きない。
ただの就寝のようだ。
ウトウトーー、スヤァ。




