サメさんは、亀に気づかれない
どうも、お久しぶりです。
え、何で、そんなことを言うかって。
なんだか、そんな気がしたからです。
現実時間では、どれくらい経っていますかね。
あー、ベヒモスという動く要塞が、東に歩いていっているようです。残念ながら、こういう銃皇無尽な生物とサメは戦わないんです。だって、ゴリラじゃないもん。無理だもん。
サメは超常生物と頂上対決する主人公じゃないんだなぁ、これが。
わたし、自由を愛する海の王者だけど、陸亀は守備範囲じゃないんだなぁ。
こんなに距離があるのに。
もう見えてるし。デカイよ。山であって欲しいです。
無理だよ、無理無理、旧約聖書だし、エヴァンゲリオンでも準備してーー。わたしはレヴィアタンじゃないんだよ。夢魔は、どこですか。
さて、パニックした。パニックした。
村人も、みんな呆然と通り過ぎるのを眺めているだけだし、これって、そういうイベントだよね。
ほら、ボスクラスのドラゴンが地上を掠めて去っていくみたいな。あれがラスボスだよっていうゲーマーサービスだよね。
一歩歩くたびに、揺れがひどいなぁ。現実だったら、絶対、もう泣いて引きこもるね。冗談です。地震だと思って避難します。
「シャアアアアアアアアアアク!!」
とりあえず、ベヒモスに威嚇してみた。
……気づかれるわけもなかった。
気分は、巨人を目の前にする無力な人です。サメだけど。
クジラを前にしたサメですね。
よし、見なかったことにしよう。
そもそも街がどこにあるかも分からないし。
というか、このゆっくりなカメさんよは、本当に街に向かってるの。気分で、進行方向変えないの?
まあ、ゲームだしなぁ。
「早く伝令を出さないと」
「もう行ってる」
村人の声を、シェーラちゃんの家に戻ることにする。やるべきことも、やれることもないよ。あれは序盤の敵じゃない。大きさがおかしいです。足だけで、わたしの10倍ぐらい。ああ、早くメガロドンにならないと。
はっ、なにを考えているんだろ。サメに汚染されてる。
「サメのお姉ちゃん、どうしよう」
「え、なにが?」
家でゆっくりと茶でも飲もうと思っています。
まぁまぁ、お茶でもーー、出してください。お願いします。ずうずうしいサメです。
「たぶん、魔物が大移動するから、この村にもーー」
ああ、なるほど。
当たり前か。というか、元は、そういう予想をしてたんだ。何かに追い立てられて動かされる魔物たちは、定番のイベントだよね。一度退けたと思ったら、実は更なる強敵がーーは定番すぎる。
「よーし、お姉さんに任せなさーい」
サメさんは、亀以外には強きですよ。
あれは無理です。
「え、でもーーー」
「うん、何か問題が?」
「すごい数くるはずだよ」
ぐ、具体的に、お願いします……




