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仮設風向計/詩集その3

collage

作者: 浅黄 悠

__例えばこの身が千切れても

確かにあるものは何だろう



_______


あの頃をふと思い

遠い国、一人寂しさに泣く

自分の傷に壊れて

気付かないうちに支度を済ませた新緑の日曜日

君は探しものにでかけた

みんな知っているはずなのに

誰も知らない魔法の扉に手を掛け


鉄塔が追いかける空の青さの向こうに

祈るものがあるという

ふかく、夜の直中へ墜ちて

命を燃やしていく君は

震える海の夕暮れを

あたたかくふんわり抱きしめて

プラスチックのように生きた君は両手を開いて

どこまでも昼下がりの幻影を駆け抜けていく


地下鉄の3番線ホームで紺碧の揚羽蝶を見た

あくびして目覚めた瞼の裏では未だ雪が降っていて

遮断機の向こうにひとりきりの広葉樹

白い菊がそこらじゅう狂い咲く船のなか手動で時間を消費する

テープラジオの中に閉じ込められいつまでも帰る場所のない人ばかり

終わりの直前まで巻き取って

今でも僕達は生きているというのに

こんな日々がいつまで不滅の希望を振りまいている




『お前はどこまで行くんだ?』

空を駆ける翼を知っていますか

幸せの底にはきっと流れ星の跡のように

それは初夏の雨 霧の地平線

芝生の緑が安らぐその声を聞かせて

その旅の行く末を忘れたあなたは幸せでしょう


優しさだけじゃ生きていけない 勇気がほしい

胸騒ぎだけでなぜこんなに鮮やかなんだ

誰かを愛しているってこんな気持ちなのかもしれない

遠い楽園の歌 わたしは彷徨う

まるで時を失くしたかのよう


_______


紺と青を混ぜて金色を作り出そうとしたけれど

当然青のような何かが出来ただけだった

抜け出す魔法のない純愛の彩は真実を語らない


新手の宣伝法なんじゃないかという気がしてきました。総集編的なものでは全くないです。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 読んでいて、独特の世界観にひきこまれるようでした。 まるで、そこにいるかのような……。 詩的な情景の中に連れて行かれたようで、勉強になります。 読ませて頂き、ありがとうございました。…
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