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 -egg-  作者: 樹林
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序章


Naberusナベルス


 Nation-bereave-Virusの略語である。


 27年前に発見された殺人ウィルスの名前で最初は違う名前で呼ばれていたが、メディアが取り上げてからこの名前で呼ばれている。

 

 一番最初の報告例の記録は赤道に近い国だった。


 突然死や脳梗塞が1日で200件以上が発生し、調査が開始された。


 調査を開始しても原因の特定に至らず、日を追う毎に数の増加が止まらない事から国際機関に報告が入った。

 国際機関も重要性事項になり、各国に移動制限の警戒を発令した。

 同時に編成された感染病予防班、病原体採取班、病原体特定班の3班は必要な機材を持って、隣国に移動した。

 隣国から飛び立った感染病予防班はヘリコプターから見た光景が戦争写真を見ているようだった。

 街の至る所で火事が発生しており、道路に車が事故の状態のままで放置されている。

 それよりも驚いたのが、人影が全く見られなかった。


 政府機関の前に人が並べられており、多くの死体だと分かった。

 屋上のヘリポートに着くと専門家を3人だけ降ろすとヘリコプターは直ぐに飛び立った。

 感染症の対策と街の中の記録を国際機関に持ち帰る事が彼らの任務でもあった。


 専門家は建物に入り、真っ暗な階段を手に持ったライトのみで降りて行く。

 最上階の廊下にも複数の死体があり、首相室でアルデン首相の死亡を確認した。

 アルデン首相の手元にあったパソコンを指紋認証で開けるとメールが開いており、国中からメールが届いていた。

 メールの内容を確認はしないで本部にデータの転送を行った。


 建物の中に生存者を発見したのは建物の2階の食堂だった。

 13人の生存者は研究者に膝を付いて、祈りを捧げる様な体制になった。

 顔から安堵と止まらない涙が見えた。

 

 感染症を疑った研究者は生存者から血液採取と喉の奥から唾液の採取を行い、本部の研究サンプルを用意した。

 抗生物質を投与し、経過観察を行ったが生存者に発熱や発疹は見られなかった。

 翌朝になり、8人の死亡が確認された。


 18時間後に検死に特化したグループが交代で来ると死亡した生存者の検死が始まった。

 8人中7人は身体に異常は見られず、エコーから脳梗塞の症状が確認された。

 残る一人は心臓につながる静脈に大きな血栓があり、それが原因の心不全だった。

 心不全原因の血栓を検査対象として、本部に持ち帰る事にした。


 18時間になる前に本部から連絡が入り、緊急帰還命令が発令された。

 本部から血栓が原因の脳梗塞で死亡した研究者が複数でた事で各国から感染拡大を恐れた声が上がりだした。

 研究者は血栓を持って避難し、24時間後に軍による生存者以外の死者と建物を燃やす作戦が決行された。


 研究者から死者が出た事により、隣国は研究本部を追放した。

 しかし、2日後には脳梗塞の死者が去年の倍以上出て、国際機関の対応に批判が殺到した。

 

 研究者から死者が出ており、国外追放になった研究者は隔離された状態になった。

 その中でも研究は進められており、血栓から同種のウィルスが大量に検出された。

 そのウィルスは有毒性はなく、一般的に土の中に存在しているウィルスの変異種と同定された。


 マウスに投与した検査は4日目で検体の5%の突然死が確認された。

 死亡したマウスと死亡していないマウスの差が分からなかった。

 死亡原因は人間の時と同様でウィルスの大量増殖によって、血栓が作られる事が脳梗塞や心不全を誘発する事を特定するのみでウィルスの増殖の原因は分からなかった。


 このウィルスが原因である事が分かったのは大きな進展であり、感染経路が血液感染だった。

 蚊やダニによる感染が確認されると、先進国は地下都市を作り出し、全国民のウィルス検査を行った。

 全体の3割は感染しており、陰性で30代以下の社会の存続に寄与する人間が隔離された。

 小さな地下都市が出来ると隔離された人間を移り住まわせた。


 原因が分からないまま時間だけが過ぎて行き、2年と3か月後にウィルスとある特定のホルモンの関係が解析された。

 このウィルスの大量増殖には特定のホルモンがないと起きない事が分かるとホルモン抑制剤の投与が始まったが、ホルモンを抑制する事に弊害もでた。

 ウィルスによる死者は10%以下になり、人類が世界最悪のウィルスに勝利した。


 これが教科書で習うNaberusナベルスの記載だった。

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