表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1stに至る物語  作者: なかむら。
1/2

Episode.0


 暗闇の中に、一つの光があった。



「来たぞ! ……漆黒の幻影だッ!」


 複数人で固まっていた者の一人がそう言った。他の者も慌てて周りを見渡すが、姿は確認出来ない。確認出来ないまま、倒れていく。

 みんな最後に目にするのは、藍色の瞳。


 ――見つけた


 小さな声で呟く。音になっていたかはわからない。

 闇の中に紛れて光る瞳。それさえなければこの影を捉えることすら出来ないだろう。

 その場にいた者たちを全員気絶させた影は、彼らが守ろうとしていた機械に触れた。何かのシステムだろうか。起動し、辺りが少し明るくなる。


 影はそれを一瞥した後、USBにデータを移した。そして容赦なく、そのシステムを壊した。

 そして後は興味が無くなったかのように去っていく。まるで何事もなかったように。最低限の動きで。



「ねぇ、ちょっと待ちなよ」



 ひゅん! 声とともに繰り出した斬撃。しかし影はそれに反応し、避けると同時に蹴りを飛ばしてくる。

 が、それを避けて同じように足をあげた。影の顔面目がけて。影はそれを、受け流して弾く。

 

 視線が一度、交わる。


 影は、そのまま姿を消した。

 その後ろ姿を見送る。





「――おい、白衣の装飾!!」

「んー?」

「どういうことだ!? 約束と違うじゃないか!」


 自分の通り名を呼ばれて振り返れば、ぜえぜえと息を切らした髪の長い細身の男が扉の前に立っていた。明らかに焦ったように文句を言われているが、さほど興味は出ない。


「約束っていってもなぁ……俺は漆黒の幻影を見たいと言っただけですよ。システムを守るとは言っていない」

「くっ……! しかし良いのか!? 逃げられてしまっているぞ!?」

「そうですねー、まぁ相手が相手ですし」


 駆け寄ってきた男は不服そうだったが、対して俺はただただ暢気に、漆黒の幻影が消えた闇を眺めていた。

 ついと、口の端が上がる。


「それに……」

「あ?」


 ――すぐに、また会うだろうし。


 内心で、そう呟いた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ