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序章:冒険者パーティー

お疲れ様です。


ドラキュラです。


最近になってからですが「ゴブリンスレイヤー」の小説などを始め冒険活劇の小説を読み漁っており、それ等に触発された形で今作品は書いてみました。


視点は冒険者であるアンナ視点で、幕間は私視点となっております。

 サルバーナ王国の南部地方の片田舎。


 そこは地方貴族の領土と王室の直轄領が多く占めており産業は農業と牧畜業です。


 どちらも豊作になれば潤いますが、その潤いを掠め取ろうという輩は何処の世界にも居ります。


 そして・・・・そんな地方に「冒険者」である私ことアンナ・ファン・カノンは仲間3人と居ました。


 この冒険者とはサルバーナ王国第12代目が国王こと「冒険王」の異名を持つフリードリッヒ・フォン・バイエルリンク様から来ております。


 フリードリッヒ陛下は9代目国王のアルフレッド陛下の曾孫に当たる方です。


 曾祖父に当たるアルフレッド陛下の血筋を濃く引いていたのか、幼少期から何かと外の世界に憧れを抱いていました。


 だからでしょうか?


 青年期にはお忍びで冒険に出た話が幾つもあります。


 そんなフリードリッヒ陛下は自分の回顧録「冒険の旅」において次世代の若者達に以下の言葉を残しました。


 『若者達よ。外の世界には君等が知らぬ存在が数多く在る。その存在を知りたい、調べたいという気持ちを抱け。世界は両手を広げ君等が来るのを待っている』


 この言葉と共にフリードリッヒ陛下は回顧録を書き終えると冒険者という職業をギルドに申請したとされています。


 つまりフリードリッヒ陛下が冒険者を創設したのです。


 そして今も冒険者という職業はギルドに在り、若者達で溢れています。


 ちなみに冒険者はパーティーを組むのが基本とされていて、必ず魔術師や聖職者が一人は入っているのが常道とされています。


 これはフリードリッヒ陛下が回顧録の影響があるからです。


 そんな中・・・・私と、魔術師が一人ずつ居るパーティーは他のパーティーから見ればバランスは良いとされています。


 後の2人が戦士だから尚更と言えますが・・・・私は戦闘に参加した事がパーティーを組んで3年になりますが一度もありません。


 それは魔術師であるマリさんが火と風を操る「名人」だからです。


 名人とは魔法を一種類ではなく2種類使える魔術師の事を言い、歴史を振り返っても少人数です。


 そんな名人がマリさんが居るので土の魔法が使える私は専ら寝床を作るのが基本でした。


 それ以外にも薬学と回復魔法を使える理由もありました。


 ですが・・・・今も思うんです。


 「おらっ!!」


 バンダナを額に巻いた10代半ばの青年が荒々しい声を上げながらロングソードを片手で振り下ろし、汚い身形の男を斬る場面が眼に入りました。


 「はいぃぃぃっ!!」


 今度は別方角から女の掛け声が聞こえてきました。


 掛け声のした方を見ると薄紅色の皮鎧を着た10代半ばの女性がショートスピアを振り回して山賊を一気に5人も倒しています。


 そして私の直ぐ横では・・・・・・・・


 「火の精霊よ。我が命に従い、邪悪なる輩を骨ごと燃やし尽くせ」


 20代のローブを着た女性が火の魔法の詠唱をしていましたが・・・・唱え終えると片手を山賊達に向けます。


 そして・・・・呪文の名前を冷たく言いました。


 「火炎の渦・・・・・・・・」


 呪文は発動され女性の右手から炎が回転しながら飛び出しました。


 その炎は回転しながら徐々に大きくなっていき・・・・山賊達を瞬く間に飲み込みました。


 「へっ!チョロい仕事だな」

  

 ロングソードを鞘に納めながらパーティーのリーダーであるボリスが、あどけなさの残る顔を破顔させました。


 「なに言ってんのよ。たかが7~8人の山賊じゃない」


 ボリスの幼なじみであるモニカが呆れた口調でボリスを嗜み、最年長のマリさんが冷たい口調で事実を言いました。


 「あいつ等の巣穴を潰さないと・・・・イタチごっこを永遠にやる羽目になるわ」


 それでは次の冒険に行けないとマリさんは言い、それを聞いて私はこの町に在るギルドから受けた仕事を思い出しました。


 『作物と家畜、そして婦女子を狙う山賊を退治して欲しい』


 依頼期限は特に無いですが裏を返せば山賊が居なくなるまでと取れます。


 そうなるとマリさんの言う通り巣穴を潰さないと依頼は完了した事になりません。


 ですが・・・・・・・・


 「でも山賊の巣穴が何処に在るか・・・・・・・・」


 「誰も知らないわね」


 マリさんは冷たい眼で私を見ながら言いました。


 その眼には私を蔑むような色が隠れていませんでしたが・・・・私は視線から逃れました。


 何時もそうです。


 何時も・・・・私は皆の輪に入れず・・・・誰かに押し切られてしまうんです。


 でも・・・・いえ、幾ら頑張っても私なんか・・・・・・・・  


 「よぉし。山賊の巣穴が何処かギルドで聞いてみようぜ!!」


 ボリスがマリさんの言葉を聞いて思い付いたように言いました。


 ですがモニカも賛成と言い、マリさんは言い出しっぺもあってか、小さく頷きました。


 対して私は意見も聞かれず・・・・言う事も出来ず・・・・後を付いて行きました。

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 私達が依頼を受けたギルドの支部所はこの周辺では大きな支部所で知られていました。


 そのため高額な依頼も掲示する時もありますが、そういった依頼は作物の刈り取りの手伝い等なので冒険者が引き受ける事は殆どありません。


 そんな支部所の受け付けにはギルドの女性が居ました。


 支部所の受け付け業務を全て熟すアンジュさんです。


 「お帰りなさい」


 アンジュさんは天使という意味を持つ名前通り・・・・私達に温かい笑顔を見せて迎えてくれました。


 この方の笑顔に多くの冒険者が恋をしましたが今の所・・・・全員が散ったそうです。


 ボリスも一人ですが・・・・・・・・


 「誰か・・・・来たのですか?」


 私はアンジュさんの受け付け机に僅かな土埃があるのを感じ取り尋ねました。


 「えぇ、来ました。ただ皆さんと違って日雇い人夫です」


 日雇い人夫がギルドの支部所に来るのは依頼か、仕事を探す為に来るから珍しくありません。


 ですが・・・・・・・・


 『まるで自分が来た“痕跡”を残さないようにしている・・・・・・・・』 


 土埃は綺麗に拭き取られているので、私のように土の魔法を使う者にしか分かりません。


 それくらい気を遣っている。


 それが私は気になりましたがボリスは私を押し退けてアンジュさんに問いました。

  

 山賊の巣穴は知らないかと・・・・・・・・


 「それは分かりません。ただ、山の中腹に洞窟があるので、そこに居ると言われていますが・・・・・・・・」


 アンジュさんはボリスの質問に答えましたが、最後は言葉を濁していました。


 それは私達の冒険者経歴が浅く階級も一番下の「3級」だからと私は察しました。


 冒険者の階級は大きく分けて4種類あります。


 駆け出しの3級、中堅クラスの2級、一流の1級、そして一流を上回る特級の4種類です。


 特級まで行くと国から多額の賞金、或いは超一流の冒険者と認定されるので色々な権利も与えられます。


 そんな階級の末端に私達は居て、本来なら2級から依頼を受ける事が許可されている山賊退治を行っている。

  

 ここをアンジュさんが気にしているのも解ります。


 また私達は山賊の事を殆ど知りません。


 ただ現れたら追い払うか、退治するだけで・・・・人数など知りません。


 それなのに巣穴を直接、叩くとなれば・・・・・・・・


 「どうかしたのかい?」


 私はボリスに止めようと言おうとしましたが、そこへ一人の男が現れたので口を噤む事となりました。


 「支部長、お疲れ様です」


 アンジュさんは椅子から立ち上がると現れた男を支部長と言い、頭を下げました。


 対して私達も今回の依頼を密かに受けられるように細工してくれた支部長に会釈しました。


 「さっきボリス君の声が聞こえてきたので来たんですが・・・・山賊の件で何か進展が?」


 「いえ・・・・山賊の巣穴を直接、叩きたいとボリス君が言いまして」


 アンジュさんはボリスを見てから支部長に言いました。


 「巣穴を・・・・確かに、それをやれば効率的だが・・・・・・・・」


 支部長はアンジュさんと同じく言葉を濁しました。


 ですがボリスは噛み付くように言いました。


 「いや、俺達なら出来ます!階級は3級ですが、今まで来た山賊達を退治したから経験はあります!!」


 「確かに、そうだが・・・・・・・・」


 「危険は承知していますが・・・・イタチごっこを続けるのは町にとっては迷惑ですよね?」


 ボリスに続いてマリさんも支部長に進言してきて支部長は困った様子を見せました。


 ですがモニカもボリスとマリさんを支持するように間へ入りました。 


 そんな中・・・・私はどっち付かずという形で真ん中に立っていました。


 まるで今の私を表すように・・・・・・・・


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