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第六話 暴走トラックはシスターでした

アクセは大門のうちでテレビを見てた時に気になった言葉は聞いてうろんながらもおぼえたようです。

実はスペック高いのかこの子?

聖イタクァ神教会。

この大陸で全般的に崇められているイタクァ神とやらのために建立された由緒ある建造物、らしい(観光パンフレットまんま)。

でも女神ヨグソトースにざっと聞いたこの世界の説明の限りでは神様はアザトースと女神だけなんだよな?


とにかくそこへラッピング風船のようにふわふわと引っ張ってきたモスタさんを連れてきたのだ。


「神父さんいらっしゃいますかー!?」


と、入口で叫んでみるとシスターが小走りでやってきた。この人はリザードマンらしく走るたびに尻尾が左右に揺れて可愛い。


「迷いし子トカゲ達よ、ようこそ聖イタクァ神教会へ⋯どのようなご要件⋯ってモスタぁああ??」


こっちが素なのであろうシスターさんは驚いて近づいてくる。


「この子またなにかしたんですの??」

「街中で大声あげて突っ込んできたんでコレで止めたんだよ⋯そんでまたってのは?」


先に彼女を教会の長椅子へ下ろすとバブルを解除、数人がかりで横たわらせた。


「ひとまずはお礼を。わたくしここでシスターを纏めていますタットと申します。」

「大門です。それで彼女はなんでまた?」


アクセはつまらないのかモスタの周りをくるくる回りながらつついている。


「ええ、この子身体はおっきいくせにまだまだ子供みたいに大の怖がりでして⋯今日は街中で信徒と掃除に当たっていたはずなんですが⋯。」


なんでも驚くとつい逃げ出してしまうんだという。

ただの人族ならまだしも彼女は大柄なアラクネだ。全力で走れば暴走トラックくらいの脅威になってしまうのだろう。


「なので何かにぶつかっていっつもキズだらけで帰ってくるのが今日はキレイに帰ってきたので一安心でした、本当にありがとうございます。」

「おーいダイモーン、モスタ起きたぞー!」


長椅子からゆっくり起き上がるシスター・モスタ。

改めて見るとやはり彼女は街で見かけたどんな女の子達より飛び抜けて美少女だ。ミスリル銀にも似た長い髪を三つ編みにまとめ透き通る肌、赤い大きな目の上には眉毛のようにこれまた紅い複眼が三つずつ並んでいて、二本のアホ毛がぴょこんと飛び出しこれまた愛らしい。

そして窮屈そうに見える僧服を押し上げる巨大な二つの宝玉はこれでもかと主張をしていた。

スカートの下は柔らかなふわりとした綿雪のような白い体毛が蜘蛛の体を覆っている。うっすら見える扇情的な紋様は彼女達の種族独特のモノだろうか。


「大丈夫かダイモン。変なモノローグ流れてないか?」

「なんでそんな言葉は抑えてんだよお前。」


「あっあの、先程は大変ご迷惑をお掛けしまして申し訳ありませんでひたっ!?」


噛んだ。


「すっ、すいませんっ、私ビックリして暴走しちゃいましてっ!やっ優しく受け止めていただいて大好きですっ!いえ、ありがとうございまひゅたっ!」


あざとさまで完備してるとか何だこの完璧超人は。しかも告白までされた⋯。


「大好き!?モスタ!また一度優しくされただけで惚れたのかお前!」

「へ?なんでアクセがいるの?いいじゃない、私のことを今まで優しく抱きとめてくれる人なんていなかったんだからっ!」

「⋯それはジゴージトクって言うんだぞ!ダイモンに習った!」

「⋯ダイモンさん⋯というのですね、素晴らしいお名前です!まるで神から与えられたお名前のよう!」


⋯呆気にとられていたら噛み合ってるようで合ってない会話が始まってしまった。

俺はさっさと冒険者ギルドに行きたいんだが⋯。


「タットさん、いやシスタータットだったな。俺はギルドに登録したいんだけど何処にあるか知らないか?」

「そうですね~それでしたら「冒険者ギルドですね!それなら私も登録していますのでご案内致しますわ、だんな様!」


タットさんとの会話に食い気味で突入してくるシスターモスタ。

苦笑し、彼女を軽く小突きながら「そうですね、助けていただいた貴女がお礼をするのが当たり前。ご案内して差し上げなさい⋯あなた方に我らがイタクァ神の祝福あれ。」と送り出してくれた。


途端に輝く花びらのようなものが一面に巻い始める大教会。


「いいエンシュツなのだな!」

「ほー、キレイだこりゃ。こういうのってただの常套文句だと思ってた。」

「ささ、行きましょうダイモン様!」


そして俺たちは気づかなかったが驚愕の表情をしたタットさんを背にギルドへ向かうのだった。


「光る花びら⋯!?これはまさか⋯本当に祝福が⋯!?信じられない⋯。」

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