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第五十話 変態が現れた!でした

「ところで⋯なんかさっきからシバが静かじゃないか?」

「そういやそうですわね、お腹でも痛いんですの?」


シバの身体の反応を追って走っていた俺たちだったが⋯さっきから当の本人が静かすぎることに気づく。

普段の彼女ならもっと騒ぎ立てるくらいの筈だ。


「⋯⋯ンヘッド。」

「ん?」

「きっとこのままではおばば様に聞いたデュラハンヘッドになってしまうんだーー!!もうお終いだぁ!」

「なんだそりゃ。」

「あー⋯、たぶんシバのおばあさんのおとぎ話を鵜呑みにしてるんだと思いますわ⋯。」


なんでもそのお話によるとデュラハンは身体を失って死んだ後、頭だけでアンデッドとして復活して失った体を求めて夜な夜な徘徊するのだという。なにその逆スリーピーホロウ。


⋯結論からいえばこの世界にはアンデッドはもう存在しないらしい。よくファンタジーな話にありがちな邪神やら悪魔やらはアザトースが『気に食わない』とシャットダウンしているのでそういった存在の眷属として存在するわけもない。元々この世界に現れていたゾンビのようなものは空気中よりも魔力の濃い、地面の下に埋葬された遺体をコアに魔力が集まって魔物と化す⋯つまりはアンデッド化というよりゴーレム化なのだ。加えて魔族(つまり現代日本人)によってもたらされた火葬の知識によってそれも途絶えたという。

以前うちでゾンビ映画上映会をやったとき、いいリアクションだったのは転生してきたツバサとクラちゃんだけだったのもうなづける、知らないオバケは怖くないのだ。ちなみに吸血鬼はいるらしい。


「子供に怖い話して躾をする老人はどの世界にでもいるんだな⋯。」

「とくにその子はおばあちゃんっ子でしたもの⋯。」

「な、なんだよお前ら、そんな可哀想なもの見るような目して!」

「それよりも⋯そろそろ追いつくぞ!」


見ると人間一人は入りそうな麻袋を抱えた二人組が目の前を走っていた、多分当たりだろう。


「急停止させて身体を放り出されても厄介だな⋯アイツらが止まるまで跡をつけよう。」

「了解ですわ。⋯それにしても身体が目当てってことはやっぱりエッチなことするつもりで攫ったのかしらねぇ?」

「え、エッチ!?ならばここまで近寄れば十分!」


とシバが言い放ったと思うやいなや、麻袋を突き破って賊向けてナイフが振るわれた!


「いってぇーー!?なんだこいつ今まで大人しかったくせに!」

「大丈夫っすか兄貴!」


そうして結局袋は投げ捨てられたがシバの身体はさっさと脱出して剣を構えていた⋯んだけど。


「⋯あの、シバさん?」

「なんだよダイモン。」

「⋯身に付けられてるどスケベなあぶないビキニみたいなの何?」

「なっ!?ベルチェが作った魔道具で出来た新しい鎧だぞ?スケベなんて失礼だろう!」


その鎧は⋯いや、ビキニは緑色のクリアーパーツのようなものをふんだんにあしらったやたらスケスケのモノだった。それ以外に身につけているものといえばいつものマフラー⋯ストールのようなものだけだった。


「フフン、放たれた攻撃魔法を打ち消す素晴らしいスキル持ちのビキニアーマーですわよ!」

「大事なところ見えそうなのはいいの?」

「まあ、私が着るわけではないので?」

「ひでぇ⋯。」


結局賊は俺が放った氷柱(アイスピラー)に閉じこめてギルドに突き出したのであった。

話によればいつぞやのメルブマーツとかいう盗賊の残党らしい、あん時ので全員じゃなかったんだな。

幽霊やゾンビ準拠の魔物はいないようです。

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