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第四十四話 結局魔王と呼ばれるのでした

ー盗賊サイド(後の事情聴取にて)ー


俺たちギルド非公認の裏シーフギルド【メルブマーツ】への今日の依頼は至極簡単なものだったのさ。

なんせ大陸から来た上玉の嬢ちゃん三人に怪我させて心折ってくれってことだった、人数だけは相当数そろえてくれってな。なんなら犯しちまってもいい上に金払いも上々っつう最高の話だったんだよ、あんな化け物出てくるまでは⋯。


文字通り魔王だアレは!地面を抉るほどの風に渦巻く炎!火で出来た刀が何百本と隙間なく襲ってくるなんて聞いてねぇ!オマケになんだあれは!地割れから巨人が出てきて俺たちを蹴散らしたンだ!あれこそ伝説に出てくる終末の魔人にちげぇねぇ⋯

最後は全員氷の柱に喰われて終わりさ、俺たちなんて殺す価値もねぇって感じの極悪非道さ⋯あれならギルドの連中に捕まった方が百倍マシだ!はよ牢屋送りにしてくれ、あんな化け物のいる娑婆にもう居たくねぇんだよ⋯。



ーダイモンサイドー


まずは試しに隠蔽(インビジブル)の応用で生成した魔法の幻惑(イリュージョン)でこの家を巨大な岩山+怪しげな城のようなものに見せかける。

そして俺はテンペストに用意してもらったマントと頭まで覆える仮面を付けるっと。⋯ゼロレクイエムとか叫びたくなるマスクだな、よく売ってたなこんなの。

そしていよいよ本番だ。厄介者の場所はわかるから適当に火炎波(フレイムウェーブ)竜巻(トルネード)の魔法を並列起動(マルチタスク)しながら撃ちまくる。もちろん死なないように死なないように⋯

あ、火焔刃(フレイムセイバー)でもっとわかりやすくどこにいるかマーカー付けとこう。

っと、さすが盗賊スキル持ちのやつが家に到達しそうだ⋯と思ったらテンペストが本体(テンペストウォーカー)に乗ってデコピンで追い払ってる。うん、殺すなってのは聞いてたみたいだ。

⋯よし、戦意喪失してきたみたいだな。まとめて氷柱(アイスピラー)で閉じ込めてっと、あとはギルドに引き渡せばいいだろ。の、前に。いの一番に逃げようとした奴はサーモの念動力(サイコキネシス)で捕まえてあるから事情聴取っと。幻惑(イリュージョン)で声も変えとこう。


『貴様が賊どもの王だな?』

「はっ!い、いえ、俺はただの臆病者でして!」

『ならば貴様は無用だ。マシン(ゴーレム)の餌となるがいい。』

「は!!はい!俺ボスです!!」

『宜しい、ならば我が城にアポも無しに何用で来た?』

「へ、へい!とある方に頼まれて女の子に乱暴を」

『百済ん。ならばそのとあるとは誰だ?』

「はい!ハスター大陸のセーデンとかいう気に食わねぇ貴族の執事だかなんかにで!!最悪廃人でも死体でも構わねぇから兎に角傷モンにしてくれと!!」

『興が削がれたわ、貴様らは殺す価値もない⋯!』


よし、裏は取れた。こいつも凍らしとこう。


☆☆☆☆☆


「てなわけで、ツバサは家と縁切った方がいいぞ。」

「マジかよアニキ⋯でも今思えばオレ、家族と触れ合った思い出全然ないや。」

「⋯ツバサは三歳の時の、いわゆる覚醒?のときから家族からは見放されておりますの。」

「えっ。」

「初めて聞いたぞ!」

「初めて言いましたもの。おそらく腫れ物扱いなのが本音だと思いますの。なので⋯おそらくイタクァ行きを利用されて始末しようと思われのかと思います。」


「アニキ、オレどうしたらいいんだろ。ここに来たのも結局もとの世界に帰りたいから魔族を探してただけなんだ。魔王なんてものはいないってのはアクセたちに聞いたよ。」


さっきの件で俺魔王呼ばわりされそうで怖い。


「⋯ツバサが転生してきたならおそらく元の体は死んでるんだと思う。万が一帰れたとしてもそれこそパニックになると思う。」

「ハハッ、ゾンビだよなそれ。」

「俺は⋯⋯日本にはあまりいい思い出なくてさ、向こうに家族はいないし。それにこっちに来てから大事にしたい人達が増えすぎた。だから、一生この世界でいいと思う。」

「そうか⋯アニキ、オレもここに住みたい。オレも一緒にいていいかな?」

「ツバサ⋯。」

「俺はいいけど、ハルさんたちは。」

「フフッ、ツバサが自分で決めたなんて初めてじゃないの?いいわよ、どうせ私たちも殺されるところだったんでしょ?こっちに住むわ。ちょうど向こうじゃ私たち姉妹も孤児だしね。」

「うん、僕もそれでいい。ツバサといっしょのがいいや。」


三人で抱き合うツバサ達。モスタ、鼻水かんでないで俺にもティッシュちょうだい。


「さて、では新たな住民の歓迎会ですわね。ハルさん手伝って頂けます?」

「ええ、よろこんで!」


そうして我が家にまた新しい家族が増えたのでした。

ダイモンも元の世界に帰りたいとは少し心にあったみたいですが言葉に出してこの世界で生きていくと決めたようです。


次回、ケンカ。

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