第三十九話 そりゃ驚くよなぁ⋯でした
その日、街道を化け物が走っていったと噂になるのはもう少しの後のことです。
巨大な装甲車となった嵐の中歩む者の意外と乗り心地のいい運転席に揺られながら俺たちは我が家に向かっていた。ちなみに小テンペストはコクピットではなくボディの中から直接運転しており運転席とは言ったものの俺が操縦している訳ではない⋯そのうちやらせてくれるだろうか←
『マスター・ダイモン、気持ち悪くなったりはしていないでしょうか。もしなった場合に備えダッシュボードをご確認ください。』
「ダッシュボード?」
『ご存知ありませんか?⋯少々お待ちください。』
車内放送で呼びかけてきたテンペストに答える。俺は車の知識に疎いため周りを調べているとサーモの席との間にあった肘置きの部分がパカッと開き⋯。
「そちらのマスターの膝の先の取っ手のついた引き出しがダッシュボードと呼称されます。ん?どうかなさいましたか?」
「のわー!!人形が出てきてしゃべってるのじゃーー!!?」
「うおっ、マジだ!お前もテンペストなのか??」
出てきたのは大体十四~五cm程度の大きさのテンペストをさらに縮めたような⋯まさに人形のようなサイズの彼女だった。
「はい。こちらはポータブルデバイスの私でございます。この姿ですと流石に戦闘は行なえませんがセキュリティデバイスとこの現在走行中のファランクスデバイスのボディを遠隔コントロールすることも可能です。もちろん直接本体に接続した方が細かい動作等にラグはございませんが。」
「流石に言ってる意味がわからないのじゃ⋯。要は人間大のぼでぃにもコントロールするお主が入っておったのか?」
「かいつまめばそうなります、ティターニア・サーモ。」
「まるで武〇神姫⋯」「マスター、それ以上はシッでございます。」
「では私はこれで。そうそう、引き出し内の確認もお願いしますね。」と、小さなテンペは肘置きの中に戻っていく。どうやらコクピットと繋がっていたらしい。
そうそう、確認だったな⋯と引き出しを開けるとそこにはエチケット袋と酔い止めの薬が。
『お願いですのでシートにマーライオンだけはご容赦下さいませ。その場合マスターお手自ら清掃をお願いします。』
「面倒な車乗りか!⋯ありがとう。」
「ビニール袋などこの世界にはなかろうに⋯わざわざ用意するのも魔族ゆえの細さじゃろうな⋯。」
『はい。では間もなくマスターのお宅に到着いたします。お手荷物を忘れぬようお降りくださいませ。』
俺の荷物はサーモくらいしかないが、、、早かったな!
ーエレンサイドー
ご主人様たちは今頃まだ塔の中かにゃーとあたしは廊下に掃除機を掛けながら考えてたにゃ。お昼を食べてモスタとアクセは仲良くお昼寝中、そろそろ掃除も切り上げて秘蔵のアイスでもいただくにゃー♪そう、あたしは一応盗賊クラス。⋯冷蔵庫の管理もあたしだけどにゃー。
その時。なにか地鳴りがしたと思ったら大きなキーーーーッという聞き覚えのない音に思わず掃除機を放り出して外へ飛び出たにゃ。
「な、何事にゃーー!!」
そこにあったのは⋯何にゃこれ?でっかいでっかい⋯馬車の荷台を鉄板で補強したような⋯ゴーレム馬車???マジでこんなの見たことないのにゃ⋯。
「どしたのエレンー?うげっ。」
「女の子が下品な声出しちゃ⋯きゃあ!?」
そりゃ二人もそんなリアクションして正解にゃ⋯?なんかドア開いて⋯ご主人様出てきたにゃ!?
ーダイモンサイドー
家に着いたら腰抜かした三人がお出迎えだった。
「ご、ごしゅじんさまぁ?何買って帰ってきたにゃあ!?」
「すげー、なんだこれなんだこれ??」
『ウォーリア・モードに移行します。ティターニア・サーモもお早めにお降りくださいませ。』
ふらっとサーモが降りてくる⋯酔い止めはサーモにこそ必要そうだ。
『チェンジ、ウォーリア・モード。』の掛け声とともに再び巨人形態に変わる嵐の中歩む者。
⋯なんで変形する必要が?装甲車モードで停めとけばいいのに。
『テンペスト・ウォーカー起動完了。』
ああ、これはリアクションを楽しんでるな。なんて人間らしい⋯。
「きょ、巨人だー!!!」
「あう⋯。」←気絶
「も、モスター?!一応冒険者が気絶は無いにゃー!」
「わらわも気絶したい⋯気持ち悪い⋯おろろろろ」
「サーモさんは吐いたにゃー!!」
「うわ、エレン水だ水!」
「了解にゃー!」
その日、突然変形すると気絶したり吐く者もいると学習したテンペストであった。




