第三十八話 古の魔族にメカ娘好きがいたのでした
メカ娘⋯なんだろうねたぶん。
なんでこれをロボットだと思ったのか、それは俺も知ってるゲームの巨大女性型ロボと姿が瓜二つだったからだ。
サーモは⋯多分アニメかなんか見せてもらったんだろう。
「なんでこの世界にロボがいるんだ???なんか巨大モンスターでもいるのここ。」
「そんなもの⋯古代にベヒーモスとかなんたらフォートレスとか規格外のモノはおったかもしれんが巨人でなければ対処出来ん魔物などいないぞ!」
「サーモが知らないならいないんだろうけど⋯それにしても動くのかなコレ。」
今まで発見されてなかった地下の空洞にあったせいかホコリこそ被ってるがパッと見どこか壊れてるようには見えない。
それにしても出来がいいな⋯スパ〇ボに最近出てきてないだろうけど懐かしい。ん?
「サーモ、なんか言った?」
「いいや、わらわ独り言の癖はないぞ。」
「てことは⋯。」
『マスター達と同一の魔力反応を感知。嵐の中歩む者起動します。』
ギゴゴゴゴゴガゴギゴ⋯
駆動音をあげながら巨体を動かし、俺たちを見下ろすように背を曲げる。
そして胸部が開き⋯え、コクピットあるのこれ。
そこから現れたのはロボをそのまま人間大にスケールダウンしたかのようなロボットの女の子だった。背中のブースター?で飛び上がると俺たちの前に降りてくる。
『おや、マスター達とはまた違う魔族の方なのですね。お初にお目にかかります、私はテンペスト・ウォーカーと申します。』
「ろ、ロボットなのか??」
『そうです。厳密にはこの世界の技術と地球の知識を織り交ぜて建造されたのでマシンゴーレムの括りになるかと。私はこの大型ボディの制御コアを兼ねたナビゲーションデバイスでございます。』
「すごいな、完全にロボだ⋯ちなみに聞くけど、君が作られた理由は?」
『勿論、対大型魔獣戦用です。ですが、この世界アザトースにはそういった存在の出現を感知したことはございません。ゆえに建造より今日迄五百四十五年百五十六日と十二時間三十四分現在、出撃は一度もありません。』
「てことは。」
『制作チームのマスターたちの趣味である可能性が高いです。』
「暇を持て余した」
「魔族たちの」
『遊び。』
うん、ノリの良さはさすが俺たち現代日本人の作っただけのことはある⋯。
「わらわがここにお主がいることを知らなかったということはわらわが塔を任されるようになる前からここにおったということか?」
『そうなります、ティターニア様。私の存在は恐らくは必要となるような敵対存在が出現した際に驚かせるため、意図的に伝えられなかったのかと推測します。』
そりゃ可哀想に⋯。
『魔族様。してこちらにはどのような要件でいらっしゃったのでしょうか?』
「あ、ああ。サーモ⋯このティターニアの子の眷属が君を見つけたって言ってたから見に来たんだ。」
『そうでしたか⋯やはりまだまだ私の存在が必要な訳では無いのですね⋯くすん。』
このメカ娘は一見無感情に喋ってるように感じるかもしれないが、この子は十分感情豊かに喋ってるのだ。それで俺達も違和感を覚えずに会話できている。
「主様よ、」
「あー、なんか言いたいことは把握。」
サーモが上目遣いで俺を見てきたのでなんとなく察した。要はこの子もこの塔で人間には気が遠くなるような時間を一人で過ごしてきたのだ、それも誰にも見つかることなく。
「テンペスト・ウォーカーだっけ?せっかく起動してまた眠るのも癪に障るだろ、よかったら俺と来ないか?幸い居候なら沢山いるんだ。」
『⋯本当によろしいのですか?』
「ああ、俺の同胞が無責任ですまない。よかったら俺がマスターになるよ。」
『ありがとうございます、では認証登録をよろしいでしょうか?』
「はい?」
『順序は簡単です。私に経口で魔力を登録してください。』
⋯この世界には人に魔力を渡す方法キス以外無いんだろうか⋯。
『では遠慮なくどうぞ。』と俺の頬を両手でホールドしたテンペストが向こうからキスしてきた。ちょ、舌入れるのこれ!?遠慮無いのお前じゃない??
『ちゅぱ⋯ちゅぱ⋯ふう⋯ご馳走様でした。いえ、無事認証完了です。ダイモンケイスケ様をマスターと本登録致しました。クーリング・オフはありません。』
「無いのか⋯。」
「して主様よ、このロボも持ってくのか?」
そうだった。
この巨大ロボまで家に置いとくわけには行かないよな、置き場がない。
『宜しければマスター、この世界には魔道具の馬車という存在がありますので私の本体はゴーレムビークルとして運用されてはいかがでしょうか。』
『ビークルモードチェンジ!』
途端に巨人は各部を変形させ始め、数分で大型の装甲車のような乗り物に変形したのだった。
「テンション高いな⋯どうやって外に出すの?」
『フフフ、ここは格納庫ですマスター。発進シークエンスは完璧だと具申致します!さあ、お乗りくださいませ!』
このメカ娘ノリノリだ!
装甲車に押されるように乗り込んだ俺達は久々に条件反射でシートベルトする。
「何じゃそのベルトは?」
「⋯サーモ、悪いことは言わないから同じようにしといた方がいいかもしれん。」
「えっ。」
『発進致します、テンペスト・キャリアー、GO!』
動き出したビークルは意外と静かな走行音で壁の扉をを進むと移動魔方陣から一瞬で地上の大きな樹の塔の裏側に出現するとスラム街を飛び越え一気に街の外へ進んでいったのだった。
「うぇぇ⋯舌噛んだ⋯のじゃ⋯。」




