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二人の再会


「本当にキースは、私をわかってくれるかしら」


 ミリィは緊張で顔をしかめながら左手の甲を擦る。突然現れた客に執事は驚きながらも、キースが来るまで応接室で待つよう言った。


 ラルフが女性と共に家を訪ねたと聞いたキースは、もしや結婚の相談かと大急ぎで、身支度を整えた。五分かけ満足のいく身なりの出来にを確かめると、ライト家の応接室に現れた。

 ラルフのレディはどんな女性かとミリィを見たキースは、なぜか俯く彼女から目を離すことができなかった。


 ラルフと共にいる女性が持つ、淡い金色の髪は幼い頃から母そっくりだった妹ミルドレッドの特徴の一つだった。思わず懐かしさに目を細め、ラルフに紹介するよう頼む。

 彼女は妹に似ている気がする。親友が駆け落ちするなら手伝ってやることも、やぶさかではないな、とキースは思う。


「彼女の名前はミリィ。ミニッツ家で働いているそうだ」


「ミリィ? ミニッツ家?」


 ミルドレッドの愛称は、ミリィだった。

 そしてミニッツ家は、隣接する領地の領主一族で、母の姉が嫁いだ家、またキースの親友ブライアンの家だ。しかし、ライト家とミニッツ家の因縁は深い。なぜならブライアン以外のミニッツ家は、紋章貴族が嫌いなことで有名な一族でもあるのだ。

 ミルドレッドがいなくなった時、捜索のためライト家がミニッツ家の領地に立ち入る許可を求めた。しかし、我が領地にいるはずがないとミニッツ家の現当主に、無下にも断られたと、キースは父に聞いた。

 キースにはすぐにわかった。ここにいるミリィは自分の妹であるミルドレッドだと。


「お前、ミルドレッドか? 無事だったんだな?」


 視界がぼやけながらも大股でミリィに近づき、身長にみあった長い腕で抱き締める。


「やっぱり生きてたんだ。みんなお前を信じてた。父上も母上も兄さんのマーカスも、お前なら絶対に俺たちの元に帰ってくることを信じてたんだ」


「キース……私、私……」


 ミリィの体が震えていることを、キースは肌で感じる。やっぱり妹は生きている。夢ではない。


「家に帰ろう、ミリィ。離れていた間のこと、全部教えてくれ」


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