いつも通りの通学路のこと
狸親父です、前回投稿させて頂いた小説の続きを書いていたのですが、突然のフリーズにより、水の泡に……、気を取り直して、水の泡になってしまった文章をちょこっと修正しながら書いて、一旦休憩、と、休憩しようとした際、いつもやっているようにスーッと自然にタブを全て閉じてしまい、再び水の泡に……、で、ポキッと軽く心が折れてしまい、このようにして、新しい作品に走ってしまいました、続きを楽しみにしていた方々がいたならば、とても申し訳の無いことをしてしまっているのですが、こちらの方も拝見して頂ければ、とても光栄に思います。
とっくのとうに夏休みなんぞ終わって、厚着をしたくなる気温の十一月になり、勉学のための道具と昼に食べる予定の弁当、暇な時間に読むライトノベルが入った鞄を右手に持ち、空いている左手で貼らないタイプのカイロを握り締め、欠伸をしながら高校への通学路を歩く、普通ではない白い髪に白い肌、赤い右目に、何故か左目に眼帯をした男。
……が、俺、鏡ヶ崎白助だ、そこ中二病なの?とか言わない、いや言わないでください、俺の白い髪も赤い目も、多分母さん遺伝の所謂アルビノって言うやつで、染めたんじゃないし、カラーコンタクトとか入れてないから、眼帯はどうしたって?それはだな……確か俺が、十歳、小学四年生の頃……。
俺が小学四年生の頃、俺はこの変な見た目のせいでクラスで浮きまくり、全く友達が居なかったのだが、ある日、いつもの様に靴箱を開けると、ハートのシールが付いた手紙が入っていた、この時はこの手紙がラブレターだと全く気付かずに、放課後に来いと指定された場所に行くと、まあ、案の定女の子がいた訳でして、しかもだ、その女の子は俺のクラス、いや、学年の所謂マドンナ?アイドル?的な、男子の憧れの存在、高嶺の花だった、で、その……A子ちゃんは、まだ小学四年生にも関わらず、
「好きです!付き合ってください!」
とド直球の告白をしてきたのだが、そのときの俺は、
「俺は君のことが好きじゃないから、付き合えない」
と、これまたド直球にお断り、要するに振ったのだ、まあ、まだ俺はお子様だったし、仕方の無いことなのだが、Aこちゃんは俺に振られて少しだけポカンと言った感じで呆然と突っ立っていたが、号泣するわけでもなく、目元に涙を溜めて俺に背を向けると、そのままどこかに走り去って行った、と言う、妙にドラマっぽい感じでA子ちゃんは失恋したのだが、この光景をとある男の子……学年のガキ大将のB太郎君が、目撃してしまい、目撃者であるB太郎君を介して、
「鏡ヶ崎がA子ちゃんをこっ酷く振った」
と言った感じで、捻じ曲げられながら学年中に伝わって行き、俺は、学年の男子と女子達ほぼ全員の敵になってしまった、ただ、A子ちゃんがそのことを彼女の友達に否定して回ってくれたおかげで、女子達は特に何もしてこなかったのだけれど、こうなると自然に発生したものがある、何となく察せると思うが、俺はいじめられ始めた、勿論ガキ大将B太郎君を中心にして、B太郎君もA子ちゃんのことが好きだったのだろう、いじめは苛烈を極めた、とまではいかないにしろ、とにかく暴力が酷かった、詳細を言えば、囲まれて執拗に顔面を殴られるといったかんじ、で、悲劇?が起こった。
俺はいつものように、囲まれて顔面を棒で叩かれていたのだが、俺を囲んでいる内の一人、これまたB太郎君が放った、少しいい感じに先端の尖った棒による突き攻撃が、俺の左目にブスリ、だけなら良かったものの、俺の左目に刺さった棒と、悲鳴を上げて顔面を押さえる俺を見て、B太郎君は慌ててしまったのか、刺さった棒を力任せに引き抜いてしまい、そのままブチッと音を立てて夏侯惇よろしく俺の目ん玉が飛び出してしまったと、で、今に至る、義眼は付けたことあるけど、なんと言うか滅茶苦茶違和感があったので、まったく着けていない、慣れる為に、休日にちょっと着けるくらいだ、と、言う訳で、俺は眼帯をしている、母さんの縫った可愛らしい兎がついた眼帯を、何故眼帯に兎をつけたのかと聞くと、母さん曰く、
「これなら友達ができやすくなるでしょ?」
らしいので、というか、これしかないので渋々着けている、いや、誕生日に母さんが満面の笑顔で渡してきた眼帯だ、着けないといけない、これは義務だ。
因みに我が両親は、とても温厚でおっとりしていて、俺の名前も、生まれてきた俺を見て白いから、と言う理由で付けられた、因みに、母さんもアルビノで、普通に美形の外国人だったりする、で、父さんはおっとり温厚な癖して釣り目で、これまた美形である、無表情のときは、少しムスッとした感じの顔になるが、やっぱりおっとり温厚な性格だ、で、この二人の間に生まれた俺は、まあ、自慢になってしまうが、それなりに美形の顔で少し中性的、父さんと同じく釣り目だが、友人曰く、
「角度によっては釣り目になった白助のお母さんに見える」
だそうだ……中性的な顔、文化祭、眼帯メイド……うっ、頭が……。
「お……ろすけ…ん…お…白助君!」
「ハッ!あ、あぁ、一平か、おはよう」
何か恐ろしいことを思い出しかけていたところに、突然掛かった大声で中断され、意識が引き戻された。
「うん、おはよう」
と、俺の意識を引き戻した声の主、織河一平は、俺に挨拶を返してくる、因みに、俺のことを、角度によっては釣り目の母さんに見える、と言った友人とは彼の事だ、俺が高校に入ってから、最初にできた友人である、俺の鞄の中に入っているライトノベルも、一平に勧めてもらった物だ、クラスでは俺同様友達が少なく、かなり気も合う、頬が少しこけているが、いい奴だ。
「白助君、さっき頭を抱えていたけど何かあったのかい?」
そんなことを考えていると、一平が、先程、俺が何かを思い出しそうになっていたことについて、心配そうに聞いてくる、本当にええ奴や……。
「あぁ、何か恐ろしいことを思い出しそうになってな……俺は何を忘れてしまったんだ?」
一平にはあまり心配を掛けたくないから、とりあえず素直に言っておく、
「白助君……記憶を失ってしまう程のショックを受けていたのか……すまない……僕は君を……くっ!」
俺は事実を言ったまでなのに、何故か俺に憐れむような優しい視線を向けると、すぐに俯き、ギリッ、っと悔しそうに歯軋りをして、拳をつくると、震え始めた。
お、俺は一体何を忘れているんだ!?私、気になります!
「やっ!おはよう!一平ちゃんに助さん!」
「おはよう、織河君、白助君」
俺が、失ってしまった恐ろしい記憶について考えていると、一平の方からどん、と何かがぶつかる音とともに、二人の女性の声で挨拶される、俺は、反射的に一平の方を向き、挨拶をしてきた主の姿を確認して、
「おはよう、霧野、鈴堂」
挨拶を返す、挨拶を返した女子のメガネをしている方、霧野美与は一平の背中から抱きついており、現在進行形で抱きつかれている一平は恥ずかしいのか、俯いている顔どころか耳まで真っ赤にして、やっぱり震えていた、因みにこの二人は別に付き合っている訳では無いのだが、双方共に俺に恋の相談をしてきたことがある、ここまで言えば分かるな?この二人、織河一平と霧野美与は両思いだ、が、一平はやっぱりと言うか、ヘタレで、かなり積極的にアプローチをしている霧野に、あと一歩が踏み出せないでいる、霧野も、
「押し倒すくらいのことはして欲しいのに!」
と言っていたし、で、そんな二人(主に一平)を見てニヤニヤするのは中々面白い、けど早くゴールインして欲しいものだ、がんばれよ!一平!
で、挨拶を返したメガネをしていない方が、鈴堂千尋、彼女は一言で言うならば、完璧な人間と言うやつで、容姿端麗、品行方正、文武両道、モデル顔負けのスタイル、どれをとっても完璧なのである、ついでに、ファンクラブまである……ファン、クラ、ブ?……文化祭、コスプレをしろと迫ってくる女子達、いつの間にかできていた俺が対象のファンクラブ……うっ、頭が……。
「白助君、頭を抱えてどうしたの?体調でも悪いのかしら?」
突然頭を抱えてしまった俺に心配そうに声をかけてくる鈴堂と、一平に抱きつきながら首を傾げている霧野、一平は……白目を剥いた状態でやっと見えてきた校門に向かって歩き続けている、いや、それよりも俺は何を思い出そうとしていたんだ……?まぁ、とりあえず、
「大丈夫だ、問題ない」
と、報告しておこう。
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます。
前書きでも述べたように、軽く心が折れてしまっているので、気晴らしに、この作品の方ばかりを投稿することになるかもしれませんが、よろしくお願いします。