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〜転生先を選んでください〜

作者: トワ
掲載日:2026/04/29

人間は転生を繰り返す生き物だ。

しかし、もし自分の死後転生先を選べて、前世の記憶を引き継げたら、あなたはどの世界で何を求める?


聖属性で全身を覆う装備、伝説の剣を持ち、目の前の魔王を迎え打つ。

「これで終わりだー!!」

剣に光を纏わせ、切りつけようとするも、魔王が背後へ回り込んで勇者を切り刻む。

「ぐ、は・・・」

視界が暗転し、四肢の感覚が少しずつ無くなっていくのを感じる。


無の時間をどれほど過ごしただろうか。

自分が今どうなっているのかわからない。

何を考えているのかわからない。

ここはどこだ。

俺は誰だ。

俺って僕?自分?私?


光を感じた。

視界が白く染まる。

血が通うのを感じる。

体温が取り戻される。


30秒程経ち、光に目が慣れる。

「%☆♪÷○様。次の転生先を選んでください」

見慣れない、俗に言う天使のような女が自分に語りかけてくる。

──今、何て言った?名前を呼んだのか?転生先?何の話だよ。てか、ここどこだよ!

「さぁ、選択してください」


考える暇を当たることなく、天使のような風貌の女が急かすように選択を迫った。


「はぁ?どういうことだよ!状況を教えろ!ここはどこだ!お前は誰だ!転生先?何の事だよ!」

「強制転送まで30秒。29.28.27──」

「ちょ、え、は?待てよ!!」


状況を飲み込めないままだが、強制転送と開始されたカウントダウンに焦りを感じ、とりあえず目の前に表示されている選択肢に目を向ける。


・地球人・異世界人


「全然いみわかんねえ、どういうことだよ・・・」


とりあえず時間がない。よく分からないが、このままだとどちらかに強制転送されるらしい。


「8.7.6──」

「ああ、もうどうでもいい!とりあえずこっちだ!」

「・・・承諾されました。今回の転生であなたは、地球人2回目、異世界人2回目の選択です。尚、内訳は異世界で村人1回、勇者1回の選択をされております。残り回数は、あと──」


ビビッ、ビビビビビ


途中でノイズが入り、女の話を最後まで聞き取ることはできなかった。


意識が混濁していく。機械音が脳内まで響いてくる。


「マジでわけわかんねえ・・・。痛え・・・」


──────

意識が覚醒する。

辺りを見渡すと、机、本棚、写真といった、見慣れた景色が広がっている。


「晴人ー!起きなさい!遅刻するわよ!」


その声で、正気に戻った。


「起きてる!今行くって!!」


強めの返答をすると、ベッドから飛び起き、急いで制服へ着替えてから部屋を出てリビングへと続く階段を降りていく。

扉を開けると、そこにはいつも通りキッチンに立つ母親の姿と、お兄ちゃんおそーいと言う、自分は休みだと言わんばかりにソファーで寛ぐ妹の姿がある。


「本当、晴人って朝弱いわね〜。お母さん毎日大変なんだからね?わかってるの?」

「まぁいんじゃない?今日は起きてたみたいだし」


少し怒ったような母に、妹が、気を使ってか晴人を擁護するように言う。


「ごめーん」と平謝りをしつつ、いつもの日常に安堵する。

それから準備を済ませ家を出ると、いつもの街並み、いつもの通学路が晴人の目に映る。


「晴人おは〜」

「おう、おはよう樹」


これもいつも通り。晴人の後ろからいつも肩を叩きながら挨拶してくるのは1番の親友である樹。

大体足音で毎回わかる。

これが樹ではなかったら、後ろから襲ってくる通り魔か何かだろう。

まぁ、その前に足音の仕方で樹か樹じゃないかの判断はつくのだが。

雑談をしながら歩いていると、よく利用しているゲーム&アニメ専門店から広告動画が流れる。


「蒼天のオリビオン2!勇者マルスの冒険は終わらない!」



勇者という単語に体がピクっと反応した。

──勇者?なんか忘れてるような気がする・・・


「ん?どうした?晴人」


いつもと変わった様子の晴人にすぐに気づいた樹が話しかけてくる。


「いや、何でもない」

「そっか、ならいいけど。てっきりあの広告のゲームが気になってんのかと思ったわ!」

「なわけ!やったことねえわ!」

「だよなー、だから、どうした!?って思ったわ」



そんなやり取りと、どうでもいい雑談をしているうちに学校へついた。

眠さに耐えながら授業を受け、合間の休みには友達とふざけ合う。

昼休みは仲の良い奴らと弁当を食い、あのテレビがこうだ、あのゲームはどうだといった、くだらない話で盛り上がる。

体育の授業の時は、隣のコートでバスケをやる女子を眺め、あの子が可愛いだの胸がでかいだの男特有の話題もいつものこと。


──放課後

「樹ー、今日部活か?」

「そうだわ、わりー。今日は1人で帰ってくれ」

「OK〜。じゃあ帰るわ〜」

「おう、またな」

「またな」


そうして1人で帰っていると、目の前からふと見覚えのある女が歩いてくる


「・・・母さん?」


ふいにそんな言葉が漏れた。

しかし、自分の家にいる母の顔を勿論忘れることなく、それが別人なのは言うまでもない。

そんなことを考えていると、気付かないうちに十字路に差し掛かり、自分の真横から車の音が聞こえてきた。


「・・・!」


気がついた時には遅く、自分が車に撥ねられたのだと実感したのは空中に身体が舞っているとき。


──

目が醒めると、そこには転生前の景色

この場所に来て、晴人は転生されて当たり前のように日常を送っていたこと思い出した。


「何だよこれ!ふざけんなよ!ここはどこでお前は誰だ!」


目の前にまたいるのは、天使のような風貌の女。

強制転送とか言っていた女だ。


「次の転生先を選んでください。」


またあの言葉。

表示されているのは、またも地球人か異世界人

その時、晴人は思い出す。


「・・・俺は思い出したぞ。これまで異世界で何があって死んだのか、地球で何があって死んだのか。そして・・大切な母さんを裏切って、悲しませているままってことも!」

「・・・」

「俺は迷うことなく地球を選ぶ!そして、元の母さんのところに戻れるまで、何度でも転生を繰り返してやる!」

「・・・強制転送まで30秒。29.28.27──」


晴人の話を全く聞いていないかのように、天使の風貌の女はカウントダウンを始める。


「地球人だ!地球人って言ってるだろ!」


カウントダウンをやめ、天使の風貌の女が真顔で真っ直ぐと晴人を見たまま呟く


「・・・承諾されました。今回の転生であなたは、地球人3回、異世界人2回を選択しました。尚、内訳は異世界で村人1回、勇者1回の選択をされています。残り回数は──ビビッビビビ」

「残り回数だとか異世界だとか知るか!俺は果たさないといけないことがあるんだよ!」


その叫びは、次第に声にならなくなり、また意識が混濁していく。

晴人こと*****は、心に決めたことを絶対に果たそうと誓う。



────

「次の転生先を選んでください。」


この景色を見るのは何回目だ。

この言葉を聞くのは何回目だ。

あの後転生された先は全く別の家庭。

それを知ると同時に、何故か毎回記憶が引き継がれているため、何度も、何十回も自決を繰り返した。


「いい加減頼む・・・。何十回目だよ・・・」


ため息まじりと言葉と、滲み出ると精神的な疲労。

心から祈って、地球人を選択する。


「・・・承諾されました。今回の転生であなたは、地球人97回、異世界人2回を選択しました。尚、内訳は村人1回、勇者1回の選択をされています。残り回数は──ビビッビビビ」


もう聞き慣れてしまったそのセリフと、これもまた慣れてしまった意識の混濁を静かに受け入れ、ひたすら心に願う。

あの家庭へ転生されろと。


────


「翔太、起きた?」


そこには、会いたいと願い続けていた、あの家庭のあの母の姿があった。

思わず涙がこぼれるも、母が「何泣いてんのー、悪い夢でも見た?」という問いかけに対し涙を急いで拭き、嬉しそうに会話をする。


──


「母さん、今日の誕生日、盛大に盛り上げるからな!」

「はいはい、楽しみにしてますよ」


今日は母の誕生日。

仲睦まじい会話をし、取り巻く雰囲気は幸せそのもの。


そんな2人の後ろを、フードを被った男が近づき、手に光るものを持っているが、2人は気づいていない。


「・・・ッ!」

「・・・ガッ、くっ、母さん・・・!」


────


「転生先を選んでください。」


またあの景色とあの言葉。

だが、今回は少し違った。


「・・・尚、地球人と異世界人の選択は上限により選べません」

「・・・は?どういうことだよ!」


その反論を無視して、天使の風貌の女は言葉を続ける。


「それでは転生先を選んでください。被検体"アルファ様"」



その言葉の後に表示されたのは

・蜘蛛

・ゴキブリ

・ムカデ


天使の風貌の女が続ける。


「与えられた人生を投げ出し、自分の欲求のことしか考えずに過ごしてきたあなたにはこの選択肢しかありません」


アルファは反抗する。


「は!?どういうことだよ!俺はただ、1人だけの母さんの為に必死になっていただけだろ!?意味わかんねえよ!!」


天使の風貌の女が言葉を返す。


「例え、過去の幸せや不幸に未練や後悔があろうと、与えられた命、今を生きることの大切さを知ってください」

「転生する度に自分の欲求のままに自決を繰り返していた。では、その都度命を授かっていた家庭はどうなるのでしょうか。あなたの頭の中には、今までの家族の記憶、思い出があったはずです」

「それは・・・」


今までの、定型文しか話さなかった時とは別人のように天使の風貌の女が言葉を続ける。


「1つの願いにあなたは囚われ、現実を、今を生きる家族と自分を何も見れていませんでした。取り返しが付かなくなってからでは遅いのです。反省して、学んでください」

「あなたは、それを知るための、知らせるための被験者です。さぁ、それではお選びください」


これまで自分が与えられた家庭を思い出す。

自分のために尽くそうとする家族。

思いやりをくれる家族。

心配してくれる家族。

周りの友達は?恋人は?

何もかも無視して、自分のただ1つの欲求のために繰り返し自決をしていた。

残された人達はどんな思いだ?

転生できることを知っていなかったら自分は大切にできていただろうか。

わからない。

だけど、ただ1つ言えるのは、自分は被験者で、この女がいうことは何も間違っていないということ。

涙が溢れる。

思い返せば、自分が求めていた母さんは1番最初の転生先の家族で、ただ喧嘩をして、クソババア死んじまえと言ってしまったまま事故で死んでしまった後悔があった。

言ってしまえば、ただそれだけだ。

他の転生先の家族の痛みも、求めていた母さんと同じ気持ちになっている。

ただ、後悔と自責の念に囚われていただけだ。

皆自分を大切に、愛してくれていた。

それを何も考えず、自分は大切にしていなかった。

自分のしたことを痛感した。

どれだけ時間が経ったかわからないが、心に決めた。

もう、誰も傷つけないと。

大切にしてくれる人を大切にしようと。

与えられた命を大切にしようと。

そう思うと、迷ってなんていられない。

落ち込んでなんていられない。


「・・・わかった。選ぶよ。」


押したのは皆から1番と言っていいほど毛嫌いされる、ゴキブリ。


「俺はここから、また人に戻って大切なものを大切にする。それまで、何があろうと挫けず頑張ってみせる。見てろよ!天使みたいなバカ女!!そしてありがとな!!」




初めての投稿です!

興味持ってくれる方がいればこれからも投稿したいと思っています!

読んで頂き、ありがとうございました!

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