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7話 仲間

『グワァ!?』『アンタ!?』『父ちゃん!?大丈夫かよ!?』『お父ちゃん!?!?』


『グウゥ。だ、大丈夫だ!‥‥‥お前。子供たちを連れて逃げろ。遠くに逃げろ。こいつは俺が引き受ける!』


 現在。ブラックゴブリンたちは窮地に陥っていた。相手は大型の昆虫型の魔物。


 地球でいうとカマキリに近い見た目をしている。しかしこのカマキリに似た魔物。目は4つ。鎌の腕は4本生えている。


 本来ならブラックゴブリンたちは高い探知能力と魔力感知に優れておりこのような大型と戦わず隠れたり相手より早く察知し素早く逃げる。


 そして狩りが出来てなおかつ安全な場所からは絶対に出ないブラックゴブリンたち。

 

 その能力の高さがここまで生き延びてきた理由だ。ではなぜ逃げも出来ず襲われているのか。この魔物。姿と魔力を消せる能力を持っているのだ。


 匂いは消せないので獣型は避けれる相手だがブラックゴブリンたちのような人型は嗅覚は人並み。それに狙われたのが一番下の子供だった。


 男親のブラックゴブリンは間一髪で気付き自身の利き腕を犠牲にしながらも子供を助けることに成功した。


 だが切られた腕からは今も血が止まらず流れ続けている。このままではどのみち自分は死ぬ。


 ならば。自分を犠牲にして嫁と子供たちだけでも遠くに逃がす!自分を食べてる間は獲物を追わないだろうと思い。だが出来るだけでも時間は稼ぐ!


 出来るだけ嫁と子供たちが少しでも遠くに逃げれるように!残った腕に自分が石で作った粗末なナイフを持ち自分の何倍もの体躯を持つ相手に向かっていく。だが無情。


 相手は自分より数段上の敵だ。鎌を振り上げ確実に目の前のエサを殺そうとする。その鎌がブラックゴブリンの首に触れようとした瞬間。


 その鎌の腕が逆に切り落とされた!


「楓その英雄の治療を頼む! 腕は綺麗に切り落とされてるからあとで治療出来る。今は血を止めるんだ」


「わかったわ!任せて!」


 いきなり現れた者たち。嫁と子供たちは逃げようとした足を止めた。嫁はいきなり現れた者たちを警戒する。


 その手にはこちらも自分で作った粗末な石のナイフが握られていた。でもナイフを持つ手は恐怖で震えていた。


 高い感知能力を持っているからわかるのだ。目の前に急に現れた者たちが昆虫型魔物より遥かに化け物たちだということが!


 今すぐ自分は殺されてもおかしくない。ならせめて子供たちだけでも逃がそうとナイフを構え続ける。


 深い愛情を(はぐく)んできた子供たちとは、2度と会えないと覚悟して!


 少しでも時間稼ぎをしようと震える両手でナイフを持つ。しかしその必要はなかった。


 化け物の女はこちらをみて微笑んでいた。それはそれは優しい顔で。まるで自分たちに敵意はないことを教えようとしてくれてるように。


 そして夫に掌をスッと向けるとその掌から優しい光が夫に降り注いだ。


 するとあんなに血がでていた腕からピタリと血が止まった。旦那はナイフを持つ手から力が抜けナイフは地面に転げ落ちた。


 同時に夫も地面に倒れそうになる。女はそんな夫を優しく抱き止めてくれた。『あぁ‥‥‥あの方々は敵じゃない。助けてくれるんだ』嫁ゴブリンはそう確信した。


「ふぅー!どーにか間に合ったようだな」


 海は安堵の息をはいた。あと数秒遅かったらあのブラックゴブリンは死んでいただろう。でも助けることが出来た。あとは目の前のこいつを殺すだけだ。海はスッと右手に魔力で作った剣を握る!


 そしてズンッとカマキリに似た魔物へと振り抜いた。それだけ!たったそれだけの動作だけで魔物は真っ二つになっていた!


 それを見ていたブラックゴブリンの嫁と子供たちは歓声を上げる!


「うおっビビったぁ!? 何だ? 助けにきたのがわかるのか? それに自分たちに敵意がないこともわかってるようだ。‥‥‥ふむ。やはり賢いな!っと。その前にまずは治療だった!」


 海は落ちていたブラックゴブリンの腕を拾い、楓のもとへと急ぐ!そして切られた腕をくっつけるとすぐに掌から優しい光を降り注ぐ。


 するとそこには腕がくっついたブラックゴブリンの姿があった!失った血の量が多すぎて青白くなっていた顔色も元の黒い肌へといつの間にか戻っていた。


 どーやら流れすぎた血も回復させたようだ。


 嫁と子供たちがまたも歓声を上げ今度は相手から近寄ってきた。カマキリに似た魔物も死んでいるので確かに危険はない。


 とりあえず2人は少し離れる。すると嫁ゴブリンは2人に感謝を伝えようと何度も何度も頭を下げるのだった。


「へぇー。感謝の仕方は俺たちと同じなんだな。ははっ!」


「ふふっ。そーみたいね!ところで海。この後はどーするの? 流石に言葉はわからないわよ?」


「ふっふっ。問題ない。これがあればな!」


 海は何かを握っていた。それは翻訳機のような形をしていた。


「‥‥‥へぇ。で、それは何かね海殿?」


「んえっ!? あ、あぁーこれはアレだよ。ほ、ほら僕ってネットサーフィンが趣味みたいなものじゃないですか。で、でさぁ。こないだ見てたらコレが売っててさ‥‥‥か、買っちゃった。へ、へへっ!」


【魔物翻訳機】

『魔物の言葉がわかるようになる魔法の翻訳機。これを通して喋る言葉は相手の魔物にも意味が伝わる優れ物! お値段なんと12万円! 在庫に限りが御座います!注文はお早めに!』


「‥‥‥あんた。テイムするか迷ってたわよね? なのに買ったの?」


「へ、へへっ! 実はテイムする気しかなかったっす!すんません! で、でも楓の分も買ってあるからさ!」


「えっ!それならそうと言ってよぉーもぉー海ったらぁー! ねぇーえ? じゃあー私も例の子をテイムして良いってことだよねぇー? キャーやったー!」


 い、今さら駄目なんて言ったら殺されそう‥‥‥いやっ、まぁさっきの治療みてたら魔法の暴発の心配はなさそうだし大丈夫だろ!


 さて、コレを耳につけてっと。


「あーあー、これ聞こえてる?」


『えっ!? は、はい聞こえてます』


 相手の言葉もちゃんとわかるな。よしよし!


「そーか、よかった!ところで倒れてるのは大丈夫そうか? 一応治療は上手くいったはずなんだか‥‥‥」


『はい!夫もまだ目をさまさないだけで命に別状はございません。助けていただきありがとうございます』


 夫‥‥‥ってことは目の前のは奥さんか!服装一緒だから男女の差がわからん!


 確かに少し胸の膨らみが有るような無いような‥‥‥やっぱりわからん!


 そんな混乱もあったが海は用件を嫁のブラックゴブリンに簡単に伝えた。


 あなたたちをテイムしたい!テイムでは伝わらなかったのでもっと簡単に仲間になってほしいとズバッと伝えた。


 嫁ゴブリンはビックリした!こんなにお強いのに私たちを仲間に? 嫁ゴブリンは素直にそのことを伝えた。


『私たちを仲間にしなくてもあなた方はお強い。なのに何故?』


「理由か‥‥‥んー。君たちのことが気に入ったからってのは理由にならないかい? それに仲間にするなら君たちみたいな勇敢な戦士達がいいからさ!」


 その言葉を聞いた嫁ゴブリンがポロポロと涙を流す。私たちを勇敢だと言ってくれた。


 強い者からコソコソと逃げ回るだけの能力しかない私たちを!この方たちが簡単に倒せるあの魔物すら倒せない私たちを戦士だと!


『はい!私たちを仲間にしてください。立派な戦士になってみせます!』


「そーか、ありがとう。ふふっ。立派な戦士にね。なら今日から俺たちは仲間だ! 君たちを立派な戦士にしてみせよう!任せとけ!」


 こーしてブラックゴブリン5匹は海たちの仲間となった。


 目を覚ました夫も仲間になることを了承。


 ここからブラックゴブリン強化計画がスタートする!強化出来るだけの能力が海たちにはある!そう。ショッピングだ!

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