2話 再会
学校さんから今の状況を説明された。精神強化のおかげでパニックになることもなかった。
「異世界召喚ねぇ‥‥‥まさか本当にあるとはな。しかし俺たちがいるのは定番の森とか城ではなくて無人島‥‥‥いやっ、なんで無人島なんだよ」
『私がいたからですよ。お城にいきなり校舎が現れたらお城崩壊しますし、森とかに現れたら森林破壊ではないですか。女神となったばかりで破壊行動はちょっと‥‥‥。その点、無人島なら召喚されても土地は余りまくっておりますのでその島の一等地に現れることに成功しましたよ!』
「うーん、異世界で無人島スタートか。私たち大丈夫かなぁ‥‥‥自給自足なんてしたことないよ? 家もないし‥‥‥。あっ家がないってことはお爺ちゃんお婆ちゃんや両親の形見はどーなるの?」
二人が小学生の頃。家族同士で仲良く出掛けた時に信号待ちをしていたところ居眠り運転をしていたトラックに事故を起こされた。その時に2人は両親を亡くした。
中学生の頃には海の祖父母と楓の祖母は世界中に蔓延したウイルスに罹り亡くなってしまった。楓の祖父だけがウイルスに罹ったが亡くならずにすんだ。だが、その際の検査で癌が見付かった。
余命宣告された祖父だったが二人を残して死んでたまるかと最後まで気力と根性で余命宣告より4年も長く生きてくれた。
二人はそんな状況だったので中学卒業後すぐに働こうとした。しかし祖父からは「高校は絶対にいけ。いかねぇーなら俺はすぐ死んじまうぞゴラァ!」と謎の脅迫をうけた。
そんな祖父と話し合いを続けた。働くのは認めさせた。二人は高校卒業を目指すために定時制へと進学。
海は知り合いの紹介で雇ってもらえた造船所で働きながら土日は中華料理屋でアルバイト。楓はコンビニとスーパーの掛け持ちで仕事をした。
祖父も二人が高校を卒業出来るとわかると、騒がしかった祖父は最後は静かに息を引き取った。最後に二人が見た顔は笑顔だった。
二人には両親と祖父母の形見ともいえる家は何よりも宝物だった。それがどーなったのか気にならないわけがない。
『あっ大丈夫ですよ。あなた方の家は私が地球の神に交渉してスキルとして好きなとき好きな場所に呼び出せるようにしてやりましたから』
2人は安堵した!今は校舎の裏に二軒ともあるそうだ。この二軒は本物の家だからその場所からは動かせないが、そっくりそのままコピーされた家がスキルで呼び出し可能らしい。
「ありがとう学校さん。あの家は俺たちの思い出や宝物でいっぱいだから‥‥‥。本当にありがとう」
2人は学校さんへと深々と頭を下げ感謝を伝えた。それをうけた学校さんは、満面の笑顔で感謝を受けとった。
そんなしんみりムードだったところに、本来なら聞こえてこない人物の声が聞こえる。
「おぉーい。海ー!楓ー! そんなところで立ち話してねぇーで家に来いやー!」
2人は声が聞こえたほうへと素早く顔を向ける。そこには亡くなったはずの源が元気に立っていた。
「じっちゃん!?」
「お爺ちゃん!?」
2人は目を大きく開け、信じられないものを見た顔で源に急いで近づく。
「な、なんで!? じっちゃんは死んだはずじゃ‥‥‥」
「おぉー。そこの女神様の家来としてお前らの見守り係に任命されてよぉ!!元々お前らの守護霊してたんだが地球からいなくなるっつーじゃねぇーか! なら俺も連れてけコノヤローって思ったら神様の会議中のところへ飛ばされてよ!怒鳴りつけてやったんだよ! そしたら、家来として天使になったらお前らに付いていけるってんでな! すぐに了承して付いてきたんだよ! ばあ様も家にいるぞ!それに太一と巴さんもいるし海の祖父母と両親もな! 全員、天使になって付いてきたんだよ!がっはっはっ」
家へと急いだ2人。皆と再会したあとの2人のことは秘密。それはそれは幸せな雨が2人の瞳から降っただろう。
そんな2人を学校の女神様は微笑んで見守っていた。