脅かされた
意識が覚める
最初に重さを感じる
布団の重さ
次に腕の重さ
私 (あれ?)
感覚が違う
昨日寝る時には座っていた
しかし今は横になっていた
目を開ける
目の前にはコハクの顔があった
私 (なるほど)
昨日の朝のように
コハクは私と眠っていた
片方の腕は自分の頭を乗せて
もう片方の腕は私に乗せていた
私 (あれ?)
違和感を感じる
腕の重さは2本ある
しかしコハクは私の体に1本だけ乗せていた
ゆっくりと起き上がる
アンナ 「ん」
隣でアンナが寝ていた
私 (なるほど)
コハクとアンナは私を挟んで寝ていた
ゆっくりと布団から抜ける
私 (アンナとコハクは起きてないか)
2人は目を閉じてすやすやと寝息を立てていた
パソコンに向かう
私 (あ、契約できてないんだ)
昨日そのままにしていた画面
スマートフォンの契約画面がパソコンに映っていた
私 (昨日はコハクと…)
昨日のことを思い出す
途端に顔が熱くなる
私 (昨日のは仕方ない)
無理やり腑に落とす
私 (暖かったな)
自分の手を頭にかざす
そして撫でる
私 (自分で撫でても何も無いのに)
コハクに撫でられた時
明らかに暖かい何かがあった
私 (今は5時か)
まだ大学まで時間があった
私 (契約だけするか)
パソコンの前に座る
そして昨日の契約の続きをする
私 (普通の恋人とかああいうことをするのかな)
口座番号を打ち込みながら考える
これまで恋人がいた事もなかった
女性と手を繋いだこともないくらい女性と接する経験がなかった
気になる異性はいた
しかし告白をすることもなかった
私 (やばいな知識が無さすぎる)
漠然と気になっていた
女の人とイチャイチャしたり
行為を寄せあったりは
しかし自分がやるとは思っていなかった
私 (ましてやコハクやアンナみたいな美人とやれるとは)
自分から見たら二人とも可愛い
客観的に見てもそうだろう
一緒に歩いていて何回二人は見られていたか
私 (あ、住所間違えた)
入力した文字を打ち込み直す
私 (というか契約大変すぎる)
私 「はぁ」
ため息を着く
考えていたことが霧散してパソコンに意識が向く
私 (あ、でもほぼ終わってるな)
意外に進んでいた
パソコンで入力するのは終わっていて
後はスマホの設定、連携をすればいいだけだ
私 (これでスマホの設定すれば終わりか)
2人のスマホを起動する
私 (屋外でも使えるように最低限の設定をするか)
スマホの電源を入れる
そして設定を進める
私 (というかそうか昨日ハグして抱きついたのか)
不意に浮かぶ
コハクに抱きついたこと
アンナと眠って抱きしめられたこと
頭を撫でられたこと
ここ数日だけで新しいことが起こりまくった
私 (また撫でられたいな)
不意にそんなことを考える
私 (あ、いやでも甘えていいっていわれたけどやっぱ甘えすぎはダメかな)
頭の中で早口で喋る
私 (でも、頭撫でられた時にあったたかったな)
ダメだと思いつつも甘えたくなってしまう
これまで誰にも貰えなかった何かを求めてしまう
私 (どうしよう)
今二人に救われているのかは分からない
けれども私が貰えなかった何かを貰っている
そしてそれが心地いいとは感じている
私 (なんか、いいなぁ)
頬がほころぶ
何かを達成したわけでも
頑張った訳でもない
ただ何となく猫を保護しただけ
それだけだが二人は私を受け入れる
救われたと言ってくれる
私 (受け入れて甘えてもいいのかな)
二人に騙されてたり二人が居なくなったらそこまで
今は受け入れてもいいのかと考えてしまう
私 (あ、終わった)
2つのスマホがホーム画面を写す
スマホの初期設定が終わった
私 (これで2人と電話できるな)
一息つく
私 (アプリとか細かい設定はまた2人に任せるか)
自分のスマホを開く
6時になっていた
私 (1時間経ってるのか早いな)
深く椅子に腰かける
疲れては無いし寝れていた
しかし気だるさというか変な感覚がある
私 (気を張りすぎたからかな)
これまでは一人でいたから力を入れてこなかった
しかし2人がいるとさすがにきちんと物事を行うようになる
アンナ 「おはようございます」
私 「おはよ」
アンナが横から顔を覗き込む
アンナ 「ご主人昨日寝れましたか?」
私 「ぼちぼちかな」
アンナ 「そうですか」
アンナは私の椅子を少し後ろに下げる
そして私の膝の上に座る
私 「っ」
私 (定位置みたいになってるな)
アンナ 「ご主人昨日はさぞ楽しそうでしたね」
アンナはムッとした声で話す
私 「あー、いや、そのね」
言葉が出てこない
私 (昨日の夜コハクと色々したからな)
アンナ 「いいんですよ」
アンナはこちらに向き直って座る
昨日のコハクのように抱き合うように
アンナはそして私に抱きつく
私 「ちょ」
アンナ 「いいから」
アンナの心臓の音が聞こえる
トクントクンと音は早かった
アンナ 「私も同じことをするので」
アンナの顔を見たい
そう思い顔を上げようとする
アンナ 「ダメですよ」
両腕で頭を抱えて肩に押し付ける
私 「見たらダメなの?」
アンナ 「ダメですよ」
アンナの心臓の音がさらに早くなる
私 (あつい)
顔が熱くなる
アンナはコハクと違い
押さえる力が強かった
そのため肌が完全にふれあい
視覚と嗅覚がアンナでいっぱいになる
私 (やばい)
ぼーっとする
息がしずらいのもあるが
アンナとコハクに抱きしめられると何も考えられなくなる
されるがままになってしまう
アンナはさらに力を込めて私を抱きしめる
私 「まっへ、アンナ」
背中をタップする
私 (苦しい)
アンナは力を込めている
徐々に呼吸が出来なくなる
完全に抑え込まれて肌が密着して
酸素が取り込めなくなる
アンナはタップに気づいてないのかそのまま強く抱きしめる
コハク 「ちょ、お兄さんやられるって」
アンナ 「へ?」
アンナは力を緩める
私 「ぷはっ!!」
酸素を取り込む
私 (気絶するかと思った)
アンナ 「あ…ごめんなさい」
私 「大丈夫だよ」
深く呼吸をする
アンナは俯く
表情がちらりと見える
落ち込んでいた
私 「ねぇアンナ」
アンナ 「なんです?」
私 「ん」
目をつぶって頭を差し出す
アンナ 「ん?」
私 「撫でて欲しい」
アンナ 「いいんですか?」
私 「撫でて」
アンナ 「では」
アンナは私に抱きつく
私 「へ?」
そして引き寄せられる
さっきみたいに頭はアンナの肩に押し付けられて
そして片方の手で頭を撫でられる
私 「ん」
アンナ 「これでいいですか?」
私 「うん」
コハク 「なら私スマホ設定しよ」
コハクの足音が遠ざかる
ベットが軋む音
アンナ 「ふふ」
アンナはかすかに笑う
私 「なに?」
アンナ 「いえ、ご主人と抱き合うのいいなと思いまして」
顔が熱くなる
私 (アンナもそう思ってたんだ)
ゆっくりと撫でられる
壊れそうなものを優しく扱うように
私 「ねぇ」
アンナ 「なんです?」
私 「撫でられると落ち着くね」
アンナ 「ですね」
アンナを抱き返す
私 (受け入れようかな)
心が堕ちていく
ゆっくりゆっくりと
私 (意外に私って単純なんだな)
コハク 「アンナー とりあえず適当にアプリ入れていい?」
アンナ 「いいですよ いらないやつは勝手に消しておくので」
コハク 「んー」
アンナ 「ご主人まだ抱きついてていいですか?」
アンナの声が耳元で響く
私 「お願いしていい?」
アンナ 「分かりました」
声は嬉しそうだった
私 「アンナは嫌じゃない?」
アンナ 「何が?」
私 「抱きついたり頭撫でたり」
アンナ 「嫌ならこうしてませんよ」
私 「ならいいけど」
不意に不安がよぎる
受け入れようとするのと
嫌われたくないのと
無理してないかなど
色んな感情がよぎってしまう
アンナ 「むしろご主人が嫌って言っても私たちは抱きつくので」
私 「っ」
耳に口が当たるのかと言うくらい近く
耳元でアンナは話す
アンナ 「逃がしませんので」
押し付けるように
はっきりと
アンナは言葉を紡ぐ
アンナ 「なので大人しく撫でたり撫でられたり好きに抱きついたり色々してください」
私 「うん」
抱きつく力が強くなる
コハク 「私も逃がさないから」
私 「っ!!」
アンナが囁いたのと反対の耳
耳の中で声が響いた
後ろからコハクに言われる
驚いで後ろを見る
コハクはニヤニヤとこちらを見ていた
コハク 「お兄さん驚きすぎだよ?」
私 「いつの間に近づいてたの?」
鼓動が早くなる
コハク 「え?普通にお兄さんの後ろに立ったよ?」
気が付かなかった
コハク 「というかそろそろ準備しよ?」
私 「あ、そうだね」
アンナ 「今日は大学早めに行きましょうか」
アンナは私を離す
私 「そうだね」
椅子から立ち上がろうとする
しかし立てなかった
私 (腰抜けた)
私 「ごめん、少し腰抜けてると言うか動けないや」
アンナ 「なら私ご飯持ってきますね」
コハク 「私少し準備してくるー」
アンナとコハクはそれぞれ移動する
私 「ごめんね」
動くようになるまで椅子に座って待つ
私 (ゲームのログインしよ)
しばらくスマホを触っていた




