脅かし
サツキ 「ふぁあー」
サツキは座ったまま思いっきり伸びをする
リン 「面白かったですね」
リンは私に教材を手渡す
私 (全然集中できなかった)
基本一人でゲームをしてるが隣に二人が居たから集中できなかった
私 「じゃあ私はここで」
サツキ 「あ、今日はありがとうございました」
私 「いえいえ」
リン 「帰るの?」
私 「もうこの後は無いので」
コハク 「なら良かったら別の道に行くまでは一緒に行きませんか?この辺のマンションに住んでるんですよ」
私 「あー」
私 (一緒にか)
思わず身構える
ここで何かをしてきそうで怖いから
リン 「行こ?」
リンが裾を引く
私 「まぁ分かれ道までなら」
私 (なんかあったら速攻逃げるか)
大学を出てサツキとリンと3人で並んで帰る
私 「そういえばこの辺に住んだのはいつくらいから?」
サツキ 「4月くらいからですね」
私 「なるほど この大学の入学を機に?」
サツキ 「ですね けどゴタゴタしてあんま行けなくって」
私 「ゴタゴタですか」
サツキ 「それで今日来た感じですね」
私 (なんか噛み合わないというか釈然としない)
リン 「始めてきたね」
サツキ 「そうね」
私 「あ」
足を止める
リン 「どうしたの?」
私 「あ、いえなんでも」
再び歩き出す
リンとサツキは不思議そうにこっちを見るが私が歩くと着いてきて2人で話し始める
私 (なるほど)
朝からの違和感
3人組に対して変な感覚を抱いてた
しかしそれの正体がわかった
私 (あいつら高校の時のクラスメイトだ)
いじめられていた記憶
最近よく見ていた高校の夢
途端に足が重くなる
動悸が激しくなる
私 (なるほどな)
リン 「大丈夫?」
サツキとリンは心配そうにこっちを見る
私 「あー、少し疲れて」
サツキ 「少し休みますか?」
私 「そうだねちょっと休もうかな」
近くの公園まで向かい休憩する
マンション前の公園
私 (ここまで動揺するとは)
サツキ 「家はどこです?」
私 「ちょうどそこのマンションだよ」
リン 「え?」
サツキとリンは再び驚いたような顔をする
サツキ 「私もここのマンションなんですよ」
リン 「奇遇だね」
私 「まじか」
何回驚くのだろう
サツキ 「なら肩貸すので部屋に一緒に行きますか」
私 「一緒に?」
私 (アンナとコハクがいるんだよな)
少し悩む
正直肩は借りたい
さっさと部屋で休みたい
しかしアンナとコハクがいる中でこの2人を連れてきたらどうなるか分からない
私 「途中まで借りてもいいです?エレベーター降りるまで」
折衷案
逃げた
私 (それに今日初めて会ったのに部屋までこられるのは怖いし)
サツキ 「ならそこまで一緒しますか」
リン 「私も」
私 「申し訳ない」
サツキ 「いえいえ今日親切にしてくださったしお礼になれば」
サツキは椅子に座っている私の前で立つ
サツキ 「ならそのまま肩に体預けちゃってください」
私 「お言葉に甘えるね」
立ち上がってサツキの肩に腕を乗せ寄りかかる
私 「重くないですか?」
サツキ 「そこまでですね」
私 「ならよかったです」
リン 「カバン持つ」
リンは私のカバンを持つ
私 「ありがとう」
マンションに向かって歩き出す
私 (香水の匂い?)
ほのかにいい香りがする
私 (あんま嗅ぐのも失礼だな)
そのまま身を預けて歩く
サツキ 「何階ですか?」
私 「4階です」
サツキ 「あ、1階下なんですね」
私 「5階に?」
サツキ 「えぇ」
エレベーターのボタンを押す
サツキ 「また明日良かったら一緒に行きませんか?」
私 「まぁ、都合が合えば」
サツキ 「いてくれると助かるんですよ」
私 (助かる?)
私 「まぁ、会った時に声かけてくれればって感じで」
サツキ 「なら探して声掛けに行きますね」
サツキはくすくすと微笑む
話していると4階に着く
私 「あ、ここで降りますね」
リン 「カバン」
私 「ありがとうございます」
サツキ 「私たちもありがとうございます」
リン 「また明日」
サツキから離れてエレベーターを降りる
サツキとリンはお辞儀をする
そして扉が閉まってエレベーターは上に向かった
私 (変な人達だ)
フラフラとした足取りで部屋に向かう
私 (これはこの後少し休まなきゃ)
1人になった
支えがない
そうした途端に不安と恐怖が襲う
私 (明日から行きたくないな)
さっきは考える余裕もなかった
サツキとリンがいたからそれに追われてた
しかし今あの3人を思い出してしまう
心が壊れた原因
人を信じれなくなった原因
他のことを考えようとしても
気を紛らわせようとしても
頭の中でぐるぐると回る
部屋の前までなんとか着く
私 (鍵どこだ)
バックを探る
私 (あった)
バックの奥底にあった
私 (アンナとコハクは平気かな)
扉を開ける
刹那
私「んぐっ!!」
後ろから口を塞がれる
私 (え!?)
次に上半身を押さえつけられる
腕一本で口を
もう一本で私の腕を
動こうと思っても動けない
後ろを見ようとしても
何故か体は動かなかった
私 (え?強盗?男なのに?)
そのまま部屋の中に押し込められる
がちゃん
ドアが閉まる音がする
私 (どうしよう力強すぎる)
抜け出そうともがくが一切動かない
「ダメですよそんな無防備に」
「こうされる」
後ろから声がする
聞き覚えのある声だ
私 (サツキさんとリンさん?声の位置的にさつきさんが私を拘束してる?)
口を抑えてた手を離される
私 「サツキさんとリンさん?」
か細い声が出る
恐怖心で動けない
サツキ 「さっきぶりですね」
鋭い声で言われる
私 (やっぱ強盗とか警戒してた方だったか)
私 「やっぱり私なんかに大学で喋ったのはそういう目的だったんですね」
サツキ 「まぁ、一応」
私 「私みたいな人間にあなた達みたいな美人が話しかけるなんてこういう理由以外ないですもんね?」
サツキ 「ははは」
乾いた笑いがする
リン 「落ち着いてる」
私 「そうでも無いし怖いですよ」
悲しいような虚しいような
けれど腑に落ちたような
そんな感情になる
諦め
今私はまた何かを諦めた
私 「どうせ逆らえないし抵抗できませんし盗みだろうかなんだろうが好きにしてください」
体の力を抜く
サツキ 「いいんですか?」
私 「いいですの騙されたのはこっちですし」
サツキ 「あっさり諦めるんですね」
私 「ははは あ、でも」
リン 「ん?」
私 「この奥にいる2匹と猫には手を出さないでください」
サツキ 「猫?」
私 「えぇ 大事な子達なので」
サツキ 「へーそんなに可愛がってるんですか?」
私 「まぁ 最近飼い始めたんですけど可愛いもんですよ」
私 (まぁ、この世のもんじゃないけどこのゴタゴタで来ないなら出かけたか寝てるかだな)
最初に襲われた時に2匹が来ない時点で半ば諦めていた
目を閉じる
また裏切られた
それだけだった
私 「何が目的で?金目のものならそんなにないので」
リン 「お兄さん」
コハクの声がする
真ん前から
私 「え?」
思わず目を開ける
そこに居たのはリンだった
リン 「ごめんね怖がらせちゃって」
しゃがんでこっちを見ていた
そして何回聞いてもその声はコハクの声だった
私 「コハク?」
リン 「アンナも1回ごめんなさいしよ?ここまでだとは思わなかったよ?」
サツキ 「ごめんなさい」
後ろからアンナの声がする
私 「え?へ?」
後ろを見る
いつの間にか体は動くようになっていた
後ろにいるのはサツキだった
顔は少し泣いていた
サツキ 「だってご主人があんな無防備だし驚かせれるかなーって」
リン 「だとしてもやりすぎだよ?完全に怯えてたし途中で全部諦めてたよ?」
サツキ「いや、それは」
リン 「アンナ」
サツキ 「ごめんなさい完全に悪ノリしてました」
私 (え?アンナとコハクがリンでサツキで?)
完全に混乱する
リン 「とりあえず1回お兄さん離そ?」
サツキ 「あ、そうですね」
サツキが私の腕を抑えていた腕を離す
すると体の力が完全に抜けてペタンと女の子座りになる
リン 「大丈夫お兄さん?」
私 「え?ダメかも」
体に力が入らない
恐怖心はあった
後ろから組み付かれた時に何も抵抗できなかった
それで腰が抜けてしまっている
リン 「とりあえずベットに行って色々話そっか」
リンは私をお姫様抱っこで抱える
私 「うわっ」
急に持たれてびっくりする
サツキ 「カバン持っていきますね」
私 「いや、そこそこ私重いよ?」
リン 「いや、お兄さん軽いよ?」
私 (それはかっこいい男性が言うやつ)
リンは私を持って移動する
リン 「お兄さんごめんね」
私 「何が?」
リン 「色々と」
私 「1回整理したいからその後でお説教かな」
リン 「はーい」
ベットに下ろされる
サツキをちらっと見る
しゅんと落ち込んでいて目が合わなかった
私 (というか部屋に女性がいるの初めてだな)
呑気なことを考えて逃避をしていたかった




