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ええ!?王女様に会うんですかぁ!?

 俺の知っている城といえば、某おねずみ様のあの城だ。しかしあの遊園地に行ったのは幼い頃、雰囲気は覚えているが明確な大きさは覚えていない。


 なぜ今そのことを思い出したのか。それはイーリュ王国の王様が住むとされるイーリュ城の美しさが俺の想像を超えていたからだ。


 細かい彫刻が白の壁面に多数彫られている。それは服の皺から、ちょっとした体の傷を全て表現されている。


 素人目で分かった。この国には勝てない。


 いや、勝つ必要はないだろう。喧嘩をしにきたわけではない、どうやらストラによると俺が作っていた例の水車もどきが、この国の王女の目を引いたそうな。


 おそらくこの国は日本の技術を使って発展している。より正確にいえば地球の知識を取り入れているのだ。そんな中、その問題の地球と同じことを考えている奴が現れた。


 もし地球からの異世界人がこの国にいる、もしくはいたのなら、同じ地球のやつがこの世界に現れたとわかるだろう。ここは炭酸飲料という知識がない世界なのだからな。


 だが、もし本当にこの国が一から携帯や銃火器を作ったとするなら?もし、完全にゼロから炭酸を作ろうとしていて、それをこの国のものしか知らない状況だったなら。


 もしそうなら俺というイーリュの国の人間でないものが見知らぬところで炭酸を作ろうとしているという事実はどう思われる?


 そう、殺される。


 いつの間にやら自分たちしか知らない情報を知っているなんていう状況、王政系のラノベでよく読んだ展開だからな。


 ははは、本来なら俺はその問い詰める側なはずなのだが。


 ヤッベェ本当に殺されないよな?


「イーリュ・フランぺール=ダナ第二王女、例の男を連れてきました」


「入れて」


 そんなことを考えていたらいつの間にか部屋に着いていたようだ。


 中から聞こえたのは少女の声。


 扉を守る憲兵は俺に対してだけ警戒する目を送っている。いや、ルージュにも警戒しているな。


 しかしストラは警戒されていないようだ。普通王族への報告ってのは執事とか兵士とかがやるんじゃないのか?それをなぜストラ本人がやったのだ?


 扉が開かれる。


 よくある王の間が広がる。騎士の格好をした配下たちがこちらを睨む。


 赤の絨毯、差し込まれる光。そして、厳重な椅子に座っている一人の少女。


 白髪、高校生くらいの面立ち、儚げな雰囲気。


 これが王女様。


「フラン!こいつだよ、この男が例のやつだ」


「おい例のやつっていう説明どうかと思うんだけど」


「貴様、王女の前で不敬だぞ!」


 え、俺だけ注意されるのは違くない!?


「いいんです、ルカカ。すみません、部下が失礼で。貴方様が異世界からやってきたダイという方で間違い無いですか?」


 おお、この王女様、おそらく相当偉いはずなのに全くかしこまらないな。それはそれで問題だと思うけど、俺みたいなやつにもわけ隔たりなく接してくれるのはありがたい。


「はい、私がダイで間違い無いです」


「あなたは、炭酸なるものを作ろうとしていることをそこのドラゴンから聞きました。間違い無いのですか?」


「あ、いやそれは、間違いはないんですけど……」


「けど?けどとはどういうことだ貴様!」


「ルカカ!」


 俺らの会話を怒鳴って遮る兵士に対して王女は怒る。まぁそりゃ、この国からしてみりゃ俺だけ得体の知れない人間だからな。


「すみません、お聞きしたいのです。あなたは炭酸を作れるのですか?」


「あ、いや、それは……」


 正直俺としては炭酸飲料は作ろうと思っただけで、あんまりあれを重要視していなかったというか……。しかも失敗に終わったし。


「すみません……単刀直入に聞きます」


 王女はその席を立ち近づいてくる。おお、なんかいい匂いがし始めたかも!


「あなたは、地球という世界からやってきたのでは無いのですか?」


「はい、そうです」


 ついうっかり素直に答えてしまった。だってしょうがないじゃん、こんな美人さんに詰め寄られちゃあ、秘密になんてできないよ。


 途端にざわざわし始める兵士。なんだろう、やはり俺の存在はこの国にとって厄介なんだろうか。


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